第61話 池にて
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例えば食堂に行った時に、店主がロングソードで料理をしていた・・・・
例えが悪いかも知れないが、今の俺らはそのくらいシュールだ。
後方を歩くフレシアとアビゲイルこそ杖と警棒だが、俺はマイク、リューガルドがエレキギター、クリスはカホンだ。
酒場をまわる流しの歌手かよ。
っていうか客いないけど。
この世界には写真は無いが、あったら見てみたいものだ。
間違いなく滑稽な絵になるだろう。
(しゃがんで。すぐ先にいる。かなりの大物だよ。)
上にいるムートンから念話で指示が入る。
素早く従う俺ら。
場の空気に緊張が走る。
俺はハンドサインを出して、みんなを止めた。
「集合。」
俺らは周りを警戒しつつ、身を寄せる。
「ムートン、念話はするなって言ったろ。大妖精女王に見つかったらどうするんだよ。」
「ごめんね。声を出すよりは良いかなと思って。」
「気持ちは分かるけどな。念話は無しで頼む。みんなはここでちょっと待っていてくれ。俺とムートンで様子を見てくる。くれぐれもアビゲイルは一人で突っ走るなよ。リュー、みんなを頼む。ハンドサインを出すから注意して見ておくように。」
「「「「オッケー。」」」」
みんなを残し、しゃがみ歩きでゆっくりと進む。
どうやら、少し先で森が開けているようだ。
警戒をしながらゆっくりと進む。
森が開けた先には小さな池があっ・・・・・って、なんだよあの大きさ。
池のほとりに大きな虎のモンスターが横たわって寝ていた。
横たわっているのに、俺の身長より高い。
かなりの大きさだぞ。
少なくとも、俺が知っている虎のモンスターの大きさではない。
できれば長い牙が無いと助かるんですけど。
やっぱ、ありますよね。
まあ、ご立派なのをお持ちですこと。
「ヘルタイガーだね。寝てて良かったね。」
ムートンが俺の肩に座って言った。
恐らく、ここら辺のボスなのだろう。
油断したな。
隙をつくっているのが悪い。
ムートンを残し、俺はみんなの元に戻り、素早く作戦を指示する。
リューガルドが池を挟んでヘルタイガーに対峙し、クリスとアビゲイルは正面で、俺は背面に周り、フレシアが後方で待機。
ちょうど池を取り囲む形だ。
攻撃のタイミングは初手のリューガルドに任してある。
それぞれハンドサインを出して、準備が調った事を伝える。
リューガルドがスッと立って、ギターを構える。
ギューン
少し歪みのあるギターの音色が池に響いた。
突然の音にヘルタイガーは素早く起き上がり、音が鳴った方向に警戒の体勢をとる。
これはデカい。
家の高さくらいあるぞ。
しかもなんだよあの爪。
ショートソードくらいある。
一発入るだけで、あの世行き確定だな。
いつ聞いてもあいつの速弾きはヤバい。
指の残像が見えるようだ。
しかも圧倒する音ではなく、引き込まれる音。
意識と音が溶けあって一体になって空に上昇していくような感覚。
ヘルタイガーは低い唸り声をあげながら、今にもリューガルドに飛びかかろうとしている。
もうそろそろ良いんじゃないか。
もう十分な威力になったでしょ。
サンダーボルト撃っちゃえよ。
俺達もいるんだし。
他の追撃メンバーも武器を構えながらこの状況を固唾をのんで見ている。
我慢できずにヘルタイガーが動いた。
対岸のリューガルドに向かって飛び上がる。
ちょうどヘルタイガーの体が浮き、池の真上に来た時だった。
ドーンという轟音と共に、丸太のような太さの雷がヘルタイガーを撃ち抜いた。
瞬時に雷が池で増幅して、今度は池の太さの雷が再びヘルタイガーを下から撃ちあげる。
ヘルタイガーだった黒い塊は、空中に投げ出され落下し、大きな水しぶきをあげて池の中に落ちていった。
スゲェ・・・・ヤベェ・・・・
そんな言葉しか出てこない。
何?この威力。
リューの奴、いつの間にここまで出きるようになったんだ。
「リュー、スゲーな。何だよあの威力。」
「凄いっすね、リューさん。」
「まあな。」
「リューちゃん、凄いわね。やっぱリューちゃんといえば速弾きよね。」
「凄いですね、リューさん。けど、全部持ってかれちゃった。あーあ、私もヤりたかったな。」
「ありがと。」
リューガルドは嬉しそうに少しはにかんでる。
一人残念そうなのはムートンだ。
恨めしそうに池の中を覗いている。
俺も覗いて見たが、何も見えない。
水に濁りはなく、水質も良さそうだ。
「・・ょかったね・・・倒せて。あーあ、素材がぁ~。」
ムートン、お前な(怒)
とは思うけど、気持ちがわからなくもない。
一応声かけておくか。
「そんな落ち込むなよムートン。またチャンスはあるから。またサーチしてくれよ。次はがんばるから。」
「元気出しなさい、ムートン。この森にいる限りまだまだチャンスはあるわ。」
「姉さんの言う通りよ、ムートン。私だってヤリたかったんだ。次は私が仕留めてあげる。」
「そうだぞムートン、俺達とこのゴリラ女に任せておけば大丈夫だからな。」
次の瞬間、クリスは顔をガードした体勢のままふっとんでいた。
どうやら、ガードごと持っていかれたようだ。
「アビゲイル、おとこの子の言葉にいちいち相手にしないの。レディになるんでしょ。」
「すみません、姉さん。」
「クリスもだ、無駄な体力を使うんじゃねえし、使わせんな。この森ではまだまだ俺達は弱者だ。なあ、リュー。」
「だせえぞ。余裕ぶっこいてんじゃねえ。」
「すみませんでした。」
空を見上げれば、少し日が落ちてきたようだ。
ちょっと早い気もするが、今日はここまでとしましょうか。
やはり水が確保できるのは大きい。
まだ奥に突っ込んで行っても良いが、まだこの森の初日だ。
少しは体力に余裕を持っておきたい。
手分けして野営の準備に取り掛かりる。
慣れたもので、あっという間に準備を調えて食事が済んだ頃には日が落ち、綺麗な月が池の水面に映っていた。
アコースティックギターの綺麗でゆったりした音色が流れてくる。
それにカホンのリズム入るとさらに心地よさが増す。
俺がハミングでそれに合わせる。
曲名などまだ無い。
即興だ。
「ヤバい、ヤバいよ。・・・・本当に来ちゃうよ。どうしよう。ああ・・・どうしよう。」
黙々と道具のメンテナンスをしていたムートンが、突然騒ぎだした。
「落ち着けムートン。どうした?強そうなモンスターでもいるのか?」
「いや違うんだ。あの大おばあさまが来るんだ。来るんだってば!」
「大おばあさまってあの?」
「そう、大妖精女王ローツシルツ様だよ。かなり気難しいらしいからみんな気をつけてね。」
それを聞いて俺らに緊張が走る。
池の上に小さな光が、一つまた一つと現れだした。
見た事があるぞこの風景。
(ごきげんよう、マルゴー、ムートン、そして皆さん。)
念話に突然誰かが入ってきた。
とても威厳がありとても冷たい声。
(マルゴーとムートン、この森に来たのに、私に挨拶がないとはどういう事ですか?今度ルミタリスに厳しく言っておきましょう。)
(申し訳ございません、大おばあさま。)
(あら、マルゴーはどうしたんだい?)
(も、申し訳ございません、大おばあさま。)
マルゴーが慌てて、隠れていたリューガルドのアイテムボックスから出てきた。
池を見ると真っ白に光っていた。
Respect B2K/グレイテストヒッツ
棚から一枚適当に取ったらこのアルバムでした。このグループは題名は忘れましたが、ダンスの映画で知りました。最近はこういうザ・R&Bみたいなグループもかなり減ってしまったのではないでしょうか。ちょっと寂しいです。




