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第60話 ここヤバい

このページまで来ていただき誠にありがとうございます。ようやく更新できました。よろしくお願いいたします。

ブルンゴ島の大森林は、村のすぐ裏にある大きな崖の上に広がっている。

森への入り口はその崖の下にある料金所のみだ。


料金所には、大きく入森料一人につき金貨5枚と書いてあるゲートがあり、男が一人立っている。


料金所の奥には、崖に設られた簡易的な階段が見える。


料金所の男が俺達をみて、表情が険しくなった。


「フン、ゴミ共が。森を汚しに行きやがる。どうせお前らも森の肥料になるんだろうな。早く入森料よこせ。書いてある事位は分かるんだろ。」


そう言葉を吐きながら料金を回収する。


クソ、何でこんなに高いんだよ。

俺が王都にいた頃の月収が金貨5枚だったんですけど。


ってか、合計金貨25枚も貰ってこの対応なの?


もっと安かったり対応が丁寧だったら、隠れている妖精の分をチップとして払うつもりだったけど、絶対にくれてやるものか。


とは思うものの、スゲーなここの島民。

全くブレない。


ここまで徹底してると、尊敬するね。

島民で気の良い人なんてどこにもいないもん。

普通、一人位はいるぞ。


そういえば昨日は結局、路上ライブしなかったな。

マルゴーがあの状態じゃ、敢えてライブをする気にはならないな。


久しぶりに昨日思い出した、前世でのあのコンサートは、本当に地獄だったよな。


目の前には先が見えない位に多く入った観客。

さすが、世界最大のフェスだって思ったよな。


今まで見た事がない数の観客を見ても、何故かその時は緊張はしてなかった気がする。


当然、俺達はこの場を盛り上げて、あわよくば全米デビューそして全米ツアーと夢を膨らませていた。


俺達の持ち時間30分。

日本でこれをやれば確実に盛り上がる6曲やる予定だった。


煽るような長めのイントロの後、最初の曲のワンコーラスが終わる。


日本ではこの時点でかなり盛り上がってるはずだが、観客の反応はほとんど無い。

俺達の音以外無い、静寂の空間。


想定外の事態だ。

パニクッてもいい場面だったが、以外に冷静に事態を見れていた。


アマチュアバンド時代以来の経験。

もっとも、その時の観客は2人だったが。


ギターソロに入り、前列の男がブーイングをすると、瞬く間に会場全体に拡がった。


舞台に一つのゴミが投げ込まれたのをきっかけに、土や雑草などいろいろなものが投げ込まれる。


それでもどうにか、この一曲だけでも終えたいと思って演奏を続けていたが、事態を重く見た運営によって強制的に演奏を打ち切られてしまった。


日本に戻っても、あれからしばらくの間はあれがトラウマでライブができなかったな。

今では懐かしい思い出だ。


結果的にはそのトラウマがあったらから、ファンには語り草となった全国ツアーファイナル、あの6.21武道館の盛り上がりに繋がるんだけどね。


よし、早く雷の魔石をいっぱい手に入れて、あの村でライブをしよう。


この世界で活動し始めてアウェイには慣れているが、ここの村はアウェイ感のレベルが違う。


音楽だけではなく、個人の人間性すら認めてもらえて無いのだ。

結果はどうであれ、俺達にとって今後の糧になるに違いない。

俺らCo・Ryuの正確な現在地がわかるに違いない。


あの時もそうだったように。


階段を上りきると、そこは大森林だった。

1本くらい道があっても良いものだが、それすらも無い。


木の幹には無数に引っ掻き傷がついている。

この傷はモンスターによる物とみて間違い無いだろう。


家の高さ位の所まで傷がついているので、最低でもその大きさのモンスターがいるという事だろう。


早速森に入っていく。



森の中は、あまり日が入ってこないので薄暗いが、下草が繁っているのは日が当たる所だけなので、影の所はかなり歩きやすい。


「前方に何かいるよ。気をつけて。」


ムートンが警戒を促す。


手にしているマイクに力が入る。

リューガルドがギターを構え、クリスが小型のカホンを抱える。

フレシアは俺達の後方をステッキを構えている。


アビゲイルはというと、最近ムートンが開発した、水の魔石が練り込まれた警棒を取り出し笑顔で立っている。


「あそこね。」


アビゲイルが指差す。


森の奥から現れたのはロングホーンディアだった。

かなり立派な角を持っており、身体も今まで見てきた奴より一回り大きい。


俺らを警戒しているらしく。頭を軽く下げて角で威嚇しながらゆっくりと近づいてくる。


「クリス、アビゲイル、例のいけるか?」


突進型のモンスターと対峙した時に最初にとる作戦だ。


「ウッス。」

「もちろん。」


クリスがカホンを叩くとストーンバレットがロングホーンディアの頭部めがけて飛んでいく。


ストーンバレットがヒットし、ロングホーンディアが俺達めがけて角をつきだして突進してくる。


アビゲイルはロングホーンディアの前に立つと、突進をひらりとかわし、首をめがけて警棒を振り下ろす。


アビゲイルの魔法によってうみだされたウォーターナイフをたずえた警棒が、

ロングホーンディアの首を見事に切断した。


ロングホーンディアの身体が力なく倒れる。


サポート役のリューガルドが安堵した顔で、手を緩めた。


リューガルドとクリスがそれぞれの拳を付き合わせている。


「やっぱこの森はかなり強えーな。」


「そーっすね、トラさん。やっぱこの森ヤバいっすよ。いつもより強めでいったけど、全然ダメージは入ってなさそうでしたもん。」


「私も。思ったよりダメージが入ってなさそうだったから、ちょっと強めにいって良かった。じゃなきゃ切り落とせなかった。」


「この森でも俺達は弱者だ。気を引き締めていくぞ。」


「「「「「オー。」」」」」


少しでも慢心や過信すると生きて帰れない。


それはこの雷の魔石を探す旅で、痛切に感じた事だ。

今までも、慢心や過信をした覚えは無いが、経験豊富なオーブリーがいてくれてたから、頼ってしまっていたのは否定できない。


みんなに俺達の曲を聞いてもらう為の旅だ。

早く帰ってライブがしたい。


みんなで手分けして、ディアを解体する。

正直、ディアはありがたい。

肉は貴重な食料、他の部分も素材として売る事ができるからだ。男性陣が解体、血抜きし、素材を切り取る。、女性陣が手際よく肉を塩漬けしアイテムボックスに入れる。


「よし、出発するぞ。」


俺達は大森林をさらに奥に進んでいく。

途中、角ウサギや牙イタチなどのモンスターに遭遇したが、どの個体も他の場所にいた個体に比べ、大きく力が強いので、倒すのに時間がかかってしまっていた。


相変わらず、所々の木に引っ掻き傷がついている。


ん、何か臭いぞ。

まさかと思い、引っ掻き傷がついている木の匂いを嗅いでみる。


くっさー。


かなり強いアンモニア臭。

モンスターの縄張りを誇示するマーキングに違いない。

しかも、あまり日が経っていない。


みんなに警戒を促し慎重に大森林を進んでいく。


進んでいくにつれ、捕食されたモンスターの死骸や足跡など、木にマーキングしているらしいモンスターの痕跡が多くなっていく。

間違いなく肉食のモンスターだ。


ただでさえ、ここの大森林の草食モンスターは他の所のモンスターより大きくて強いのに、更に強い肉食モンスターはどれだけ強いのだろう。


この大森林ヤバいかも。

まだ序盤も序盤だぞ。


あらためて大型肉食モンスターへの警戒を促し進んでいく。


土が湿り出した。

所々に水溜まりができている。


ここでモンスターに遭遇したらヤバいな。


「ちょっと待って。」


突然アビゲイルが俺達を止めた。

アビゲイルがしゃがみ、濡れた土をさわりながら、目を閉じて集中する。


「ねえムートン、ちょっと先だけど、大きなモンスターいるかも。サーチしてみて。」


「本当?わかった。サーチの範囲を広げてみるね。・・・・・・・・・あっ、本当だ。過去最大クラスのモンスターがいるよ。そいつがマーキングの主だったらかなりヤバいよ。それにしてもよくわかったね。」


「実は前にオーブリーに教えてもらってたんだ。私もサーチできる条件だったからやってみたの。」


「お前、戦闘以外もできるんだな。」


「うるせークリス。」


「ヴェッ」


綺麗に腹パンが決まった。














Respect Jay Z/ブループリント3

ヒップホップ史上最も稼ぐラッパーの有名なラッパー、Jay Z のアルバムブループリントシリーズ3枚目のアルバムです。購入当初はニューヨーク・ステート・オブ・マインド以外好きではありませんでしたが、久しぶりにに聞いたらなかなか良いアルバムでした。(ちょっと客演が多すぎだとは思いましたが。)ニューヨーク・ステート・オブ・マインドはとても聞きやすい曲だと思うので、この曲だけでも聞いてみてください。

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