第6話 旅の始まり
このページまで来て頂き有難うございます。今回、私の実力不足でアップが遅くなりました。
旅が始まったばかりなのに、二人共テンションが上がりきらない。
見送ってくれたみんなは、寂しがっちゃって、とか言っていたが、実は違う。
本当の理由それは、初めての旅とギターの材料の不安が大きかったのだ。
話は1週間前まで遡る。
剣術の卒業試験のダンジョン攻略をした後だ。
創造主様は約束通り、雷の魔石3個と分厚い『白い本』!?を2冊ドロップしてくれた。
ダンジョンを攻略したばかりで、ハイテンションの俺らは、ワクワクしながら本を開いた。
『白い本』は、前世の世界の言葉で書かれており、英語で書かれているバージョンと日本語で書かれているバージョンだった。
さすがです、創造主様。
英語は喋れる位は勉強したけどね。
早速家に帰り、親父にダンジョン攻略とドロップ品の報告。
両親とも、一般人には滅多に手に入らない雷の魔石が3個もあった事にビックリしていたが、本に関しては、何だこりゃ?な反応だった。
その後俺達が、自室に籠もり一心不乱に本を読んでいる姿を見て、
両親が『あいつらが本を読んでる!?』と嬉しそうに騒いでた。
よっぽど嬉しかったのか、その夜は、親父の親友であるサムおじさん家族(フレシアの家族)を呼んで、ダンジョン攻略と本を読んだ記念の宴会にになった程だ。
それにしても、子供達そっちのけで真剣に話をしていたが、何だったのだろう?
宴会はそこそこに俺達は、再び自室に籠もって本を読む。
フレシアも当然の様についてきた。
邪魔するなよ、と注意したらムスッとしてた。
本の内容は3部構成で、第一部は説明、第二部は魔法陣、第三部は白紙だった。
第一部はこの本の使い方と魔石の使い方と魔法陣の曲(!!)の再生方法が書いてあり、第二部の魔法陣にも、下の方にアーティスト名と曲名が書いてある丁寧さだった。
第三部のページを開き、何で白紙なのだろうと思っていたら文字が浮かびあがってきた。
トーランド君、リューガルド君、民衆に『本物』を届けて下さい。前世で一流にまでなった貴方達にはできるはずです。これから必要になりそうな物を、この世界の道具で造る為の楽器や、機材の設計図を準備しました。参考にして下さい。
PS,今度こっち来たら1人コントに挑戦します。楽しみにしてちょ!
『本物』という言葉が心に突き刺さった。
失敗した。
やらかしてしまった。
俺達はどこかで慢心していた。
俺は正直そう思った。
これから俺達がしようとしてるのはこの世界には無い楽器で、この世界には無いロックを広める事。
『知らないから、この位で良いだろう』とどこかで思ってた。
当然、俺達は、前世では名の知れたアーティストで、自分で使用する楽器の製作にも関わっていた為、十分な知識もあった。
自分で使用していない楽器も、ライブ会場やスタジオで触れる機会が多く、どんな造りをしているかは知っている。
それを基にこの世界で得た大工の経験で再現すれば良いや、と思ってた。
そうだ、俺達は『プロフェッショナル』としてこの世界に戻って来た。
『本物』をみんなに聞いて貰うんだ。
俺は前世では『音』に妥協しなかった。
リューガルドもそうに違いない。
創造主様有難うございます。
精進致します。
俺は目を閉じて、そうつぶやいた。
横を見たらリューガルドもかなり凹んでいた。
「リューガルド、お互いに気合入れて行こうな。俺達ができる事、全てを注ぎ込むぞ。」
「ああ、そうだな。ベストを尽くそうな。」
それからトーランドとリューガルドはギターの材料を話し合った。
ギターのボディーは設計図と身近にある木材で、対応できそうだった。
しかし、弦だけがどうしても、既存の動物の腸で作られたガットでは強度が足りず、更に強度がある材料が必要だった。
そこで、親父に相談した所、遠い南方の砂漠にある都市オデリアでは、家を建てる際、あまり釘は使わず、強いロープみたいな物で木材を縛るらしいから、それを見てみればという事だった。
それを聞いた俺達は早速、オデリア製のロープを王都で探したが、残念ながら見つからなかった。
それだったら、俺達がオデリアまで行って見てみようという事となり、今日に至るのである。
俺の頭の中はごちゃごちゃだ。
ギターの件、他のメンバー、そもそも何を歌うか、どんな曲が良いか、歌詞はどうする、エレキギターの音に興味を示してくれるかな?とか、考えだしたらきりがない。
(どうしたら良い?どうしよう?けど、やってやる。絶対やってやる)
頭の中は、常にそんな状態だ。
リューガルドも黙って厳しい顔をしている。
「遅かったわね。」
突然、聞き覚えのある声がしたかと思ったら、街道の木の影から女性が出てきた。
フレシアだ。
そういえば見送りに来てなかったな、どうしたんだろう?と思ってた。
「お前ここで見送ってくれるの?」
「トラちゃんハズレ〜、次はリューちゃん。」
「まさか、一緒に来るんじゃ······」
「リューちゃん正解!」
「無理、帰れ。」
「ひどーい。トラちゃんは良いでしょ、ね。」
「やだ。ってゆうか、両親には話してるの?」
「トラちゃん、私を誰だと思ってるの?そこら辺の根回しは完璧よ。うちの両親は当然の事、あなた方の両親も了承済みよ。それに、私だって剣術を特訓して、あのダンジョン攻略したんだよ。一所懸命に頑張ったんだから、褒めてよ。まあ、喋ってばかりじゃいつまで経ってもたどり着かないわよ。さあ、オデリアに行くわよ。」
ちょっと喋ったら倍になって返ってきた。
いつも通り、フレシアのペースに飲み込まれてしまっている俺ら。
リューガルドは早々に諦めたのか、反論もせず、面倒くさそうな顔をさっさと歩き出してるし。
それに、いつの間にか親までフレシアの味方になってるし。
はいはい、分かりましたよフレシア様、一緒に行きましょう。
旅のご同行有難うございます。
「しょーがねーなー、フレシア。ちゃんと俺達の言うこと聞くんだぞ。今回は俺らの旅なんだから。」
「リューちゃん、待って。先に行っちゃ駄目。トラちゃん、そんなのわかってるよ。けど、二人揃って喧嘩っ早いから、そこが心配で私も行く事にしたんだから。リューちゃん、トラちゃんも無駄な争いは避けるのよ。二人共わかった?」
「ハイハイ。」
「ハイハイ。」
きたー、双子シンクロ。
リューガルドの方が元気ないけど。
そうして、俺らの異世界ロックスターへの第一歩がスタートした。
あっそうだ、フレシアにも楽器させて、バンドにいれちゃおうですか?。
やっぱり止めておこう。
俺らはまだ、彼女に勝つ術を知らない。
前回でトーランドとリューガルド編は最後と書きましたが、今回で正真正銘最後です。次回から新編です。よろしくお願いします。
最近、ブラジルの音楽『バイレファンキ』にハマってます。レゲエとかヒップホップが好きな方におすすめです。夏!海!って感じ。能天気な感じが◎です。




