第59話 気分が悪いな
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「帰る時は手紙を寄越してくれ、2日もあれば迎えに来れるさ。宿は打ち合わせした所に泊まってくれよな。無理しなくて良いから無事に帰って来てくれ。」
「「「「「ありがとうございます。」」」」」
「またな。」
ムルコフさんは、船を出して帰っていった。
そんな温かいやり取りがあった約10分後、今の気分は急降下中だ。
イタズラがばれておふくろに怒られている時に、よく言われた言葉を思い出す。
「悪い事ばっかりしてると、小人が来て、地の底にさらっていっちゃうんだからね。」
どうにか俺とリューは運良く、小人に目をつけられずに現在まで、さらわれていない。
案外良い子だったかも?
いや、運が良かっただけか。
いやいや、あいつらこそ、よく小人にさらわれなかったな。
本当にムカつく。
俺達は上陸5分で、さっそく島民からの洗礼にあった。
この島に来た者は、この島唯一の村に決して安くない入島金を払わなければいけないのだが、船から降りてお金を払っている時に、早速やられた。
「君たちみたいなのは、森に入ったきり、帰って来れないかも
な。」
と言って、入島金を受けとる職員。
「君達みたいな野蛮な人間を、森の精霊様がお守りくださる訳ないな。このまま帰った方が身のためじゃないか?」
「ハハッ、まったくだ。」
何の用でここにいるかわからない住民達。
これを聞いている外の島民らしき奴らも、ニタニタした顔で俺らを見ている。
しかも奴らは、こんな暴言を俺らだけではなく、外の島外の人らしき人達全員に吐いている。
何様だよ、まったく。
俺達はいろいろと承知の上でここに来てるんだよ。
っていうか、ずっと暴言を吐くのって疲れないか。
かえってストレスが溜まるだろ。
何やってんだあいつら。
そもそも、『森の精霊』ってなんだよ。
聞いた事がないな。
気になる。
大森林攻略のヒントになるかも?
宿屋についたらマルゴーやムートンに聞いてみよう。
船つき場から出る。
そこは、思ってたのとは違う光景だった。
ごく小規模の村って聞いていたが、建物がたくさん建っていて、店も思ったより多く便利そうだ。
本土と違うのは建物の高さ。
ブルンゴ島の建物が低く造られているのだ。
もしかしたら、砂嵐対策なのかも。
塀がある家も多く、本土よりかなり高めに造られているようだ。
人通りも想像以上だ。
冒険者の格好をしてる奴らは多いし、商人らしき達も結構見かける。
どうやら、ここが島唯一の繁華街のようだ。
ここの島民はわかりやすい。
人に蔑んだ目を向けていて、文句ばっかり言っている人を探せば良いのだ。
景色も良いし、町並みもきれい。
人さえ良ければ、本土からもそう遠くないので、立派な観光地になりそうなのに。
非常に残念な島だ。
あっ、ここだ。
ムルコフさんと打ち合わせた宿だ。
宿屋を何件か見かけたけど、一番立派かも。
ちょっとでも愛想があればいいな。
曲がりなりにも、冒険者が多く利用する宿屋だぞ。
・・・・いや、ないな。
ゆっくりと扉を開ける
「チッ・・・・いらっしゃぃ。」
店主らしき年配の女性が、機嫌悪そうに対応する。
やっぱりこんな対応か・・・・(笑)
ここの島民ってぶれないな。
なんだか楽しくなってきたぞ。
店主が、無愛想に一通り説明した後、部屋に通してくれた。
蔑むような島民の目や嫌な言葉が入ってこない、プライベートな空間が嬉しい。
そういえばアビちゃん、街中ではずっと目がヤバかったよな。
クリスがつきっきりで抑えていたっけ。
「おいアビゲイル、いい加減に落ち着け。まだ目がヤベーぞ。」
「ウッセー、クリス。あいつらマジで腹立つ・・・・」
「そうよアビゲイル、切り替えなさい。これから準備もしなきゃいけないし、打ち合わせだってしたいの。愚痴は後で御飯の時にゆっくり聞いてあげるから。じゃなきゃ、幸運の女神様が微笑んでくれないわよ。」
「すみません姉さん。」
アビちゃんがシュンとしている。
「そうっすよね。姉さん、流石っす。」
クリスが安心した表情で、こっちに顔を向ける。
「何もしていないのに、どアウェイって凄いっすね。ここで路上ライブしたらどうなっちゃうんっすかね?」
「面白そうだな。ちょっと気合い入れてやってみっか。 なあ、リュー。」
「良いけど、お前ら絶対に喧嘩すんなよ。」
リューガルドがギターを手入れしながらボソッと口にする。
「リュー、お前が言うな(笑)。」
「悪いっすけど、いつもヤバいのってリューさんっす(笑)。」
「・・・・」
「じゃあ、喧嘩は絶対に無しって事で。ウザい事があったら即撤収な。」
「・・・・フン。」
「ウッス。」
まだマルゴーは出てきていない。
ムートンに『森の精霊』について聞いてみたが、わからないみたいだった。
ムートンは、好きな事しか頭に残らないもんな。
マルゴーだったら何らか知ってそうなんだけどな。
ムートンは楽器の手入れを楽しそうにしている。
「ムートン悪いけど、マルゴーの様子を見てきてくれないか?」
「うん、良いいよ。ちょっと見てくる。」
「そう言うと、ムートンはリューガルドのアイテムボックスに入って行った。」
しばらく経ったがマルゴーはおろか、ムートンすら出て来ない。
大丈夫か?
ちょっと心配だな。
何があったんだろう?
しばらくして、二人が出てきた。
珍しく、ムートンがマルゴーの手を引っ張ってリードしている。
いつもと逆じゃねえか。
マルゴーはうつむいたままだし。
「みんな、マルゴーを連れてきたよ。」
「マルゴーどうした?」
リューガルドが慌てた表情だ。
「ごめん、みんな。心配させちゃったね。」
マルゴーはどうしてか、怯えた顔をしている。
みんなも心配して、優しい声をかけている。
「マルゴー大丈夫か?何があった?」
あえて落ち着いた声色で、声をかけてみる。
「ほら、マルゴー。言うことあるんでしょ。」
「そうね。えっーと・・・・・・うん、・・・・・・・・あの・・・大森林には行かない方が・・・良いかもよ。・・・ごめん、私は怖い。・・・・できれば・・・・・行きたくない。」
マルゴーは何かを知っているんだな。
「大丈夫だよマルゴー、大森林に何があるの?」
こういう時は慌てて聞いちゃいけない。
「トーランド、マルゴーに代わって、ここからは僕が説明するね。」
答えようとするマルゴーを抑えて、ムートンが入ってきた。
「この大森林には、僕たちの高祖母、つまり僕たちのおばあちゃんのおばあちゃんである、大妖精女王ローツシルツ様が住んでいるんだって。僕も噂は知っているけど、かなり厳しい性格で、魔力だけではなく、武力も妖精界最強。身体は小さくとも、大抵のドラゴン位だったら魔法を使わずに倒せる位の実力の持ち主。実は僕も会っているらしいんだけど、生まれたばかりの時だったからから、覚えていないんだ。マルゴーは、僕が生まれた時にローツシルツを怒らせてしまい、母上だけではなく、曾祖母まで出てきざるをえないような、かなり大変な事になったんだって。マルゴーはその時のトラウマで、外に出て来れなかったんだ。」
つまり大森林には魔物だけではなく、大ボスがいるって事か。
よし、腹くくるか。
何故か俺は、前世で経験した、アメリカで開催された世界最大のフェスに特別枠で出たライブを思い出した。
Respect サントラ ロード・オブ・ザ・リング
毎年、最低でも一回は見てしまう映画、ロード・オブ・ザ・リング。このサントラはまさに聞く映画そのものです。曲を聞くと思い浮かぶ映画の場面。クラシックって聞くと、高尚でかなりハードルが高いように思えますが、この作品を聞くと、モーツァルトやベートーベンがやりたかった事ってこういう事だったのかもと、おもってしまいます。彼らが現在に転生したら映画監督を目指すかも?クラシックをそう聞くようになってしまったら、勉強のBGMには使えなくなってしまいますね。




