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第58話 ブルンゴ島へ

このページまで来ていただき、誠にありがとうございます。ではよろしくお願いいたします。

ずっと下を向いていて首が疲れた、ちょっと顔を上げよう。


手に持っていたマイクをそっとタオルの上に置く。

その横には手入れしたてのギターが横たわっている。


久しぶりの砂海、体を抜ける朝風が気持ち良い。


胸によぎる不安がこの風に乗って、どこかに飛んで行ってしまえば良いのに。


俺は今、鬼鯨の件でお世話になった、魚問屋のガンムさんの所のムルコフさんの操る船に、みんなで乗っている。


男連中は音楽用と戦闘用の楽器の手入れ、女性陣はフレシアが黙って何かを思案中、アビちゃんは武器の手入れ、マルゴーはずっとリューのポケットから出てきていない。


ムートンは元気に道具の手入れをしているのに、どうしてだろう。

何かあったのかな?


リューとフレシアはわからないって言ってたし。

しばらくそーっとしておこう。


俺達が向かう先は、オデリアから船で半日ほどかかる場所にある、ブルンゴ島だ。


ブルンゴ島と言えば?と言われて、オデリアの人達が思い浮かべるのは、島のほぼ全域を占める"祟りの森“とか"帰らずの森"と言われる大森林だろう。


とはいえ、この島にも住民が居ない訳ではなく、ごく小規模の村が船着き場近くにあるらしく、ごくたまに買い出しにこのオデリアまでやって来るらしい。


しかし、その時の島民が何故か上から目線で接してくるそうで、オデリアの人達からはかなり嫌われている。


俺達がブルンゴ島に行きたいって言ったら、ガンムさんとムルコフさんの顔がこわばっていたっけ。


実際、ブルンゴ島周辺はかなり良い漁場らしいそうなのだが、オデリアの漁師達は、この大森林の名前を嫌ってあまり近づかないようで、もしここで漁をするにしても、お供えとしてメスカルを10本以上木箱に入れて、砂海に置いていかなければいけないという慣習があるそうだ。


昔に、それを怠ってしまった為に、帰って来なかった人がいるとかいないとか。


じゃあ、それは具体的にどこの誰なの?とか、だったら島民はどうしてるの?とか思ってしまうが、縁起を担ぐ人が多いと言われる漁師らしい話だ。


要はオデリアの人達が、島の住民や慣習が大嫌いで近づきたくないって事かな。


今日は漁をしないけど、一応お供えを準備してある。

早く帰ってまたライブをしたいから、念のため縁起を担いでおこうと思って準備しておいた。


ちょっと待てよ、ここの砂の下にはもしかしたら年代物のメスカルが眠っているって事?


あー潜れるんだったら潜りてー。

俺は売るんじゃなくて、飲む、飲みまくる。


今晩メスカル呑みてーな。

今晩の為に1本取っておこうか。


やっぱやめた。

お供え物に手を出すのは止めておこう。

それこそ縁起が悪い。


そもそも俺達がブルンゴ島を目指すきっかけは、『白い本』だ。


何気に白い本を出してページをめくっていたら、白紙のページに文字が浮かんできたのだ。


~~~


君たちが頑張っているようなので、ヒントをあげちゃう。


強き者が住まいし処。

人が近づけぬ処。

魔物が住まいし処。

とにかく東へ進め


そこに、古き者達ですら知らない太古の鉱山あり。


追伸 1人コントのネタを思案中。ネタがなかなか思い浮かばない。やっぱり生み出すのって難しいね。じゃあ頑張ってちょ。


~~~


ありがとうございます、創造主様。


早速みんなを召集して、会議。

候補に挙がった場所を手当たり次第に潰していって、今回のブルンゴ島で4か所目だ。


ちなみにリューガルドの本には、トラップやドリルといったヒップホップのサブジャンルの曲が追加されていた。


正直いって、俺にはわからない音楽

なのだが、これを機に聞いてみて、曲作りのヒントにしたいと思う。


「みんな、あれがブルンゴ島だ。」


ムルコフさんの一声で、みんなが顔を上げる。

うっすらと霧に包まれているが、大きな山が見える。


「ここら辺でいいか。」


ムルコフさんがそう言うと、船のスピードを緩め停泊する。


「お供えを納めてくれ。」


男連中でメスカルが入った木箱を、砂の上に投げる。


「みんな目を閉じて、手と頭を下げるんだ。」


ムルコフさんからの指示だ。


「みんなが祟られず、無事に帰れますように。」


ムルコフさんが唱えた。


目を閉じていると、ふつふつと湧き出てくる不安。

戦いでのリーダーであり、経験が豊富なオーブリーが不在で、経験不足の俺らだけで本当に大丈夫なのか?


結果が外れだったから今回があるのだが、過去3回も大変だった。


鬼鯨クラスの、めちゃくちゃ強いモンスターとの戦い。

迷宮での迷子。

ポーションが切れそうな場面で、大量のモンスターと遭遇した事もあった。


俺達はどうにか生き延びる事ができ、いろんな面で貴重な経験をつめたのだが、

オーブリー不在は大きい。

しかも俺達のオリジナルポーションがなければ本当にヤバかった。


普通のポーションだけだったら、また創造主様に会っていたかも。


結局、鉱山は無かった訳だが、マルゴーからすると、俺達はまだ『魔物』にすら出会って無いらしい。


『魔物』とは、体力勝負メインで、使えても簡単な魔法しか使えないモンスターとは違い、『魔物』は豊富な魔力を持ち、高位な魔法を使い、体力も桁外れの人外の者の事らしい。


「おーい、トー。」


「トラさん。大丈夫っすか?」


「ねえ、トラちゃん。」


「あー悪い悪い。ちょっとお願いが多すぎた。」


不安だったとは言えないな。

あー恥ずかしい。


リューガルドが近づいて、呟いた。


「トー、大丈夫だからな。俺達がいる。」


「サンキューな,リュー。」


やっぱりリューガルドには感づかれてたか。

さて、気持ちを切り替えていきましょうか。


壁にぶち当たっても、またみんなで乗り越えれば良いって事よ。

壁の横を抜けたって良いし、最悪、逃げたって良い。


一番大切なのは命なのだから。


生きているから日は沈むし、また昇る。

暗いだけの人生なんてある訳がない。


気がつけば、メスカルが入った木箱が砂の中に沈んでいた。


ブルンゴ島がはっきり見えてきた。


山が思ったより高い。

山頂には雪が積もってる。


雪にワー、キャーと、テンション高めな女性陣。


マジかよ。


それを尻目に、前世で雪に良い思い出がない俺は、テンションが急下降したのであった。

Respect 水曜日のカンパネラ/たまものまえ


何気にYouTubeで流れて来たPV。海外のEDMが日本のポップミュージックのフィルターを通ると、こうなりますか。PVを見ればわかって頂けるとは思いますが、ライブで♪コーンコッコ♪の所は盛り上がるんだろうな。大好きです。

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