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第57話 サプライズ

このページまで来ていただき誠にありがとうございます。ようやく更新できました。ではよろしくお願いいたします。

やっぱり今日も長くは眠れなかったか。

どうしても早く起きてしまう。


今後の不安も無いわけではないが、どちらかというと最近の早起きはワクワクの方だ。

まるで、遠足の前の小学生の気分。

朝だから、声は出せないけど、ギターに触れていたい。


早速、ライブハウスに降りるか。


今日も灯りがついているな。

絶対にあいつらだろう。


「ウッス。」

「おはっす。」


やっぱりな、リューとクリスだ。


ここはオーフェリエ王国のオデリアにある、ライブハウス虎の穴。

ランスーク教本部の偵察から約1ヶ月が過ぎた。


2日前に戻ってきて、ドリンクショップが無事に営業しているのを見た時は正直泣きそうになった。


シン国のランスーク教の状況を見てから、店がランスーク教に何かされていないかずっと不安だったのだ。


店に近づくと、俺達に気がついた行列の人達から歓声が上がった。


「おかえり。あの音が早く聞きてーぞ。」


「ライブ早くしてくれ。」


「キャー、リューガルド様♥️」


「あれ、オーブリー様は?」


どれも嬉しい反応ばかりだ。


その次にドリンクショップの店主ネーサルちゃんの笑顔が、エナジードリンクで俺達を出迎えてくれた。


久々のエナジードリンク。

やっぱ、この味だよ。


「ただいま。」


自然にこの言葉が出た。


けど、店前に行列ができていたから、出迎えは手短に済ませて、フレシアとアビちゃんは早速手伝いに入っていった。


一方の俺らは、荷物の片付けもそこそこに、ギターやドラムに触れていた。


久々の音色だった。

ロックに飢えていたその日の俺らは、時間を忘れてずっとセッションしていた。


今、ライブハウスで流れている音がシン国出発前の音とは少し異なる。

シン国出発前は4ピースバンドだったのが、現在3ピースバンドになっている為だ。


これはオーブリーがまだ帰ってこれてない為の苦肉の策だ。


オーブリーはシン国を離れる際に別行動になった。

ランスーク教対策で、単身で遥か北方にあるエルフの国レントスの故郷に戻る為だ。


オーブリーを見送るシェルリーさんの満面の笑みが忘れられない。

ちょっと位寂しい素振りをしてもいいのに、と思ってしまった。


あれがあの夫婦の形なのだろう。

オーブリーも最高の笑顔だったもんな。


オーブリーと別れる前にリューガルドが、隠語を駆使してスラップ奏法を教えていたよな。


オーブリーの事だから、それなりの形に仕上げてくるだろうな。

上達スピードを間近で見ていれば、そのくらいのセンスがあるのはわかる。


オーブリーが戻ってくるまでの体制に関しては、みんなで話し合って、ボーカル兼ギターが俺、リューガルドがベース、そしてクリスはドラムでやっていく事に決めてある。


ギターがんばるぞ。

リューガルドにテクニックでは劣るが、ロック魂は負けちゃいない。


今回から、ライブで初めてミクスチャーもやる予定だ。

白い本の魔法陣で聞いた時のここでの反応は最悪だったが、スベルバニアでの経験から、ライブに取り入れる事にした。


ラップしながらのギタープレイ。

しかも、スラップ奏法含め、ファンク系テクニック満載。

ちょっと不安はあるけど、練習あるのみだ。


初めて聞くラップに対して、ここのみんなはどんな反応をするんだろうか?

楽しみだな。


ラップと言えば、スベルバニアの保護施設のあいつら元気にやっているかな?

多分施設のどこかでラップしてるだろうな。


いつかランスーク教の件がどうにかできたら、シェルリーさんにお礼をして、保護施設のあいつらとセッションしたいな。

少しの期間であれだけ音とラップ共に成長できたのだから、このままいけば、次回訪問時にはかなりの物になっているだろうな。


どんな音楽を聞かせてくれるかが楽しみだ。


何だかんだやっていると昼前になった。


みんなはフロアーで開店準備をしている。


「やったー、できたーっ。やっとで終わったー。リューガルド、みんなもこっちに来て。」


「できたよー。」


突然、マルゴーとムートンの大きな声が部屋に響いた。


ようやく『あれ』ができたか。

これは凄い事になるぞ。

俺はそう確信している。


マルゴーとムートンは、初めて白い本の魔方陣で音楽を聴いてから、ずっとこの魔法陣の研究に没頭していたのだ。


最初の頃、魔方陣の解析がうまくいかずにヒステリー状態のマルゴーと、ずーんと落ち込んでいるムートンをみんなでなだめた日々が懐かしい。


ここ1ヶ月二人がほとんど姿を見せず、心配して声をかけても、素っ気ない反応しかなかったから、二人が元気そうなのは、まず一安心だ。


「みんな聞いて、録音再生用魔法陣完成したの。。再生のみ対応の魔法陣も完成済み。もちろん、量産もできるように考えてあるわ。それと私達からのサプライズプレゼントがあるの。早く見たいでしょ。ムートンお願い。」


「はーい。」


ムートンは満面の笑みだ。


「すごいのができたんだよ。準備するからみんな後ろを向いててね。」


おいおい、何だよ。

何があるんだよ。


「ジャジャーン、DJセットだよ。ターンテーブル2台とミキサー、それにサンプラー、それにヘッドフォン。どう?白い本の通りでしょ。」


スッゲー。

いきなりこの進化はヤバいぞ。


リューの奴、珍しく口を開けたままポカーンとしている。

いつもカッコいいから、この面の間抜け具合は半端ない。

あーあ、写真があったら良かったのに。


フレシアが真剣な顔をして、何やら考え込んでいる。

きっと今後の展開を考えているのだろう。


クリスとアビちゃんは顔に?が浮かんでいる。


「トーランド達がいた世界では、これを本当に1人で動かしていたの?すごいわね。私達は2人で動かすのがやっとよ。準備してあるから。ムートンいくわよ。」


マルゴーとムートンがターンテーブルに魔法陣をのせる。

まずはDJテクニックといえば・・・のスクラッチだ。


あの音源通りじゃねえか。

しかもいろんなDJが音源でやっているスクラッチを再現しやがる。


白い本にテクニック教本なんてついてたっけ?

ついてたところで、こんな短期間でこんなに上達は普通無理だぞ。


その次は、ジャグリングを駆使して、いろいろなドラムパターンを産み出していく。

ドラムパターンの間にスクラッチも挟み込むところなんて、もはや、DJバトルを聴いてる気分だ。


ふと見ると、クリスが焦った表情をしている。

きっとこの後猛練習だろうな。


「じゃあ次、この曲聴いてね。」


ムートンが勝手に俺の白い本を出して、ヒップホップの名曲をかける。


「この曲を再現するよ。待っててね」


マジかよ。


ターンテーブルにいろいろな魔法陣を入れ替えながら、サンプラーを駆使してビートを作っていく。


「できた。いくよ。」


ムートンがボタンを押すと、今できた音が流れる。

あの音源通りだ。


「「「「「おーっ」」」」」


もはや、これで飯を食っていけるレベルだ。

凄いとしか言い様がない。


「だから、こんな事もできるんだ。ちょっと待っててね。」


2人で何やらサンプラーに音を覚えさせている。


「いくよ。」


流れてきたのは、ピアノの音。

ガーナードの大ヒットバラード『Road to Exit 』のサビのフレーズ。

そう、2人でサンプラーを使って弾いているのだ。


フレシアが嬉しそうに口ずさんでいる。

フレシアはガーナードの大ファンだったもんな。


「エフェクターもついてるよ。」


ほんとだ、スゲー。


と言うことは、シンセサイザーみたいな使い方ができるって事?


創造主様、本当に俺達で短期間に音楽をこんなに進歩させてよろしいのでしょうか?

エレキギターだって、思いきった冒険だったのに。


俺は本気でそう思ってしまった。


「この武器バージョンも別であるよ。武器と楽器に併用も考えたけど、安全対策で別にしておいた。どう、ビックリした?」


俺も含め、みんな頷く事しかできない。

そのくらいのカルチャーショックだ。


「マルゴー、ムートン凄すぎて言葉にならないよ。ありがとう。物凄い発明だ。これで俺達はバンドとして、かなりの進化ができる。どうしよう、誰が演奏する?」


見渡したが、みんな目をそらす。

まあ良い、後で考えるか。


「ありがとう、トーランド。けど、一つだけ大きな問題があるの。」


マルゴーが前に出てきた。


「確かにライブでは大きな進歩が期待できるわ。けど問題は音源。私達は音源を魔法陣に録音して、売る事までは出きる。コストもそれほど高くはないわ。けど、聴くには雷の魔石が必要なの。雷の魔石って滅多に出回ってないわよね。持ってる人は一部の金持ちだけのはず。多くの人は魔法陣を買う事ができても、雷の魔石を持ってない多くの人は、音源を聞くことができないの。」


音源の販売は、俺達の音楽を広めるのにいずれ必要だと考えていたが、暗礁に乗り上げてしまった。

Respect ビターチョコデコレーション/syudou

ヒップホップって元々は、アメリカのアンダーグラウンドミュージックだと私は認識しているのですが、では日本では何?っていうと私はボカロだと答えます。曲のスタイルも良い意味で雑多。ロック、テクノ、ジャンル分けできないようなマニアックなポップまでいろいろとあります。日本で次に大ブレイクする音楽のジャンルはボカロかもしれません。音楽を聞き込んできた人達にこそ聞いてほしいジャンルです。

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