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第49話 オーブリーの・・・・・

このページまで来ていただき誠にありがとうございます。よろしくお願いいたします。

※ 10/28 年代入力と魔除けの文章をミスを修正いたしました。

薄汚れた高い壁の向こうには、所有者の威厳を示すかのような、多くの綺麗で巨大な建物が迫って来ている。

しかしその全ての建物にはこちら側向きの窓は無い。

まるでこちらの景色を無視しているようだ。


唯一こちら側を向いているのは、国軍兵士の等間隔に設置してある、貧民街見張り台の兵士だけだ。


通りの道幅は狭く、小さく質素な造りの家が密集して建っている。


歩く人こそはそこそこ多いが、すれ違う人々の服装は、薄汚れていたり破れたりしている。

つい先程まで壁の向こうで見えた景色とは、かなり異なっている。


ここはシン国王都スベルバニア。

“砂漠の宝石”と謳われるこの街は、昔から大陸交通の要所として栄えている。

『世の中の全てがあるスベルバニア』という例えは俺でも知っている。


しかし、この街にも悲しい歴史がある。

それが150年前の内乱だ。


突然の国王崩御により、王位継承権をめぐり第一王子派と第二王子派との間で始まったこの内乱は、王都が主な戦場となり、市民をも巻き込み、人、物共に多くの被害をもたらした。


しかし、勝利した第二王子が現国王に即位すると、破壊された街は急ピッチで復興される事となる。

次第に人々も戻り、復興前をも凌ぐ様相を呈するその姿は“シン国の神がかり”として近隣諸国に知られているそうだ。


その現国王も最近は、高齢のため病気がちで、以前から関係が深かったランスーク教に帰依しているようだ。


また、次期国王を巡る権力闘争もあるらしく、政治面では3派に別れているそうだ。


しかし経済面は盤石で、未だに広がり続けている街のインフラ整備の工事などもあり、一般市民の生活は潤っているらしい。


宿も良かったよな。

窓からの眺めが最高だった。

いかにも異国に来ましたって感じで。

料理も美味しかったし、今日も同じ宿でも良かったのに。


今気がついたが、壁の向こうとこちら側で共通して見える物がある。

恐らく“魔除け”だろう。


ランスーク教のマークが、ある建物には壁に描かれ、別の建物には玄関に札が張られている。


それが目に見えるほぼ全ての建物にあるのだ。


俺はオーブリーに近づき、小声で質問した。


「オーブリーあれ全部、本当にランスーク教なのか?」


オーブリーも小声になる。


「そうだ。それだけじゃないぞ。ランスーク教は衣食住全てに関わっている。この街の全てのモノは辿って行くと、必ずどこかでランスーク教にぶつかるんだ。」


王都への旅の途中でオーブリーから聞いてはいたが、現実を見て改めて驚いた。


ここまで搾取するシステムを作り上げるとは。


俺らの国での様々な出来事もあいつ等の仕業という事は、入り込んでいるレベルの違いはあるが、奴らは少なくとも2つの国で、朝から夜まで、表から裏の仕事まで行っているという事だ。


お金が欲しいだけだったら、シン国がこの状況だったら、表の仕業だけでもかなりの額を稼げるだろうし、暗殺なんて、リスクのある仕事はする必要がない。


奴らの目的は一体、何なんだろう。

全く俺には想像ができない。


「おっ、ここだ。ここの筋道を入ってしばらくしたら“裏町”だ。ここの夜は凄いぞ。ここを知ったら他の街に行けなくなる。けど今日は酒場1軒だけだ。別な店に来たかったら、自分の責任で明日以降に来いよ。」


これは、もうすぐ目的地到着の合図だ。


スベルバニアには2つの”夜の通り“がある。

1つ目が、一般の街にある通称”表町“で、もう一つが貧民街にある“裏町”だ。


通りから筋道に入ったら少し先に、賑やかな声と共に夜の町独特の妖艶な光が見える。

近づいたら、かなりの人だかりだった。


オーブリーによると、スベルバニアもドゥルスコウ同様、酒場ブロックと娼館ブロックに別れているそうだ。


圧巻なのはその規模で、酒場が2ブロック、娼館が4ブロックもあるらしい。


早速通りを、トラブルを避ける為に、女性陣を真ん中にして、酒場ブロックを人を避けながら歩いていく。


早速、客引きが声をかけてきた。


すれ違う人々は明らかに金持ちな人から、いかにも貧民街の人まで様々だ。


店の中からは賑やかな声が聞こえ、時折見かけるホステスやホストは、胸元が開いたセクシーな衣装を身に纏っている。


歩いていると時折、客引きの声に混ざり


「いいのあるよ。」


「楽しくなるのあるよ。」


そんな声が聞こえた気がした。


少し先で人だかりができている。

どうやら、あそこからが娼館ブロックらしい。


オーブリーが看板を見て立ち止まった。

今日はここで飲むらしい。


「久しぶりだな。みんな、入るぞ。」


実はこういう店に入るのがこの人生では初めてなので、俺は少しドキドキしていた。


入ると、ウエイティングカウンターと、座り心地が良さそうなソファーにテーブルが5組あり、全てのテーブルが埋まっていた。


当然、セクシーなお姉さんもいらっしゃいます。


リューやクリスもだらしない顔をしてるのかな?


野郎どもの顔を覗こうとしたら、殺気だった般若のようなお顔がいらっしゃいました。

恐らく、アビちゃんだと思います。


「いらっしゃいませ。」


白いシャツと黒い細身スラックスのエルフの男性が出迎えてくれた。


「申し訳ございません、あいにく今夜は満席でございまして、このままカウンターでお待ちになるか、後ほどご来店されるかどちらになさりますか?」


「カウンターで待とう。」


「かしこまりました。ではこちらへどうぞ。」


通されたカウンターチェアーの座り心地が良い。

あまりにも座り心地が良いので、座りながらピョンピョンしたくなる。


ゴン


横で、叩く鈍い音がした。


「バカクリス、恥ずかしいでしょ。ピョンピョンしないで。」


アビちゃんがクリスを叱っていた。

俺もピョンピョンしないで良かった。


それにしてもクリスは大丈夫か?

まだ起き上がらないぞ。


「飲み物はいかがされますか?」


先程のエルフの男性だ。


俺らが一通り飲み物を伝え終える。


「あと、シェルリーを頼む。」


オーブリーが一言付け足した。


”シェルリー“って飲み物?

聞いた事ないけど。


「シェルリーですね。かしこまりました。」


しばらくすると、別のエルフの男性がカウンター越しに俺らを出迎えてくれた。


女性と言っても通用しそうな、金色の髪の毛が美しいイケメンだ。


男の俺でも見とれてしまいそうになる。


一瞬、イケメンの目が見開いた気がした。


「いらっしゃいませ。お待たせいたしました。お2階の特別ルームをご準備させていただきましたので、こちらへどうぞ。」


まじかよ。


特別って何?

かなりお高いんじゃないの?

何も言ってないのに、何でそんな所に通すの?


階段を上がると、大きくていかにも重厚そうな扉があった。

取っ手は金色である。


確か、ここは貧民街だったよね。

そんな所でこんな内装って・・・・・


これはもう絶望しかない。


エルフの男性がその扉を開ける。


見えたのは、これまでに見た事がないような、ダークブラウンで調和のとれた内装の、いかにも高級な部屋だった。


「こちらへお座りなって、お待ち下さいださい。」


俺たちはフカフカのソファーに座った。

座ったら落ち着くはずだが、部屋が俺には異空間過ぎて、頭がクラクラする。


エルフの男性がゆっくりと扉を閉める。

エルフの男性はこの部屋に残って待機するらしい。


シーン

静寂が訪れた。


この部屋は外からはもちろん、下の階からの音すらしない。


何故だろう、この部屋の空気が張り詰めている。


おいおい、ここを選んだのはオーブリーだろ。

あんたが喋らないでどうする。


っていうか、エルフの男性はここに一緒にいて良いの?

俺らの飲み物だってまだだし、他にする事はないかな。


「はあ。」


どこからか大きなため息が聞こえた。


「何か言う事はないのかよ?オーブリー・・・・・てめえ何で定期的に連絡しねんだよ。連絡はいつも突然で、急用ばかり。こっちの身にもなれって言うんだよ。何回同じ事言わせんだこの野郎。」


先程まで、丁寧で静かだったエルフの男性が、黒髪を振り乱して、手に金髪を握りしめながら、何故かオーブリーに怒っている。


へ?

オーブリーを知ってるの?

カ、カツラ?


「ごめんね。いつもありがとうシェルリー。」


最高の笑顔で答えるオーブリー


「オーブリー、この方は知り合い?」


ナイスだ、フレシア。


「ええ、シェルリーは大切な私のパートナーだもん。」


「へーっ、“大切”ねえ。よく言えたもんだな。連絡すらまともにしてくれないのに。」


周りを見ると、みんなの顔がビックリした顔のまま固まっていた。



Rspect Earl Klugh /LIVING Inside Your Love

イントロのフェンダー・ローズの音色と女性コーラスが美しいこの曲はリラックスするには最適の曲です。是非リラックスしたい時に聞いてみてください。


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