第47話 光と影
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「いらっしゃいませ。店主のワーレイよ。いいわ~、いい男がいっぱいいる♥️。あら、こっちには美人さん。肌がプルっプルね。肌のお手入れはどうしてるの?後で教えて。」
ワーレイさんの勢いに圧倒される俺ら。
「みんな、この子は私の古い友人なの。見た目はこんなだけど、気立ては良い子よ。わからない事があったら、気軽に何でも聞いてね。」
「オーブリー、それ褒めてないからね。遠回しにブスって言ってるだけよ(笑)。それより聞いてよオーちゃん、最近~~~~。」
「そうなの?私も~~~。」
俺らそっちのけで延々と続く、美形のエルフと小太りのおじさんの会話。
面白いので、聞いているこっちまで楽しくなってくる。
久しぶりの再会だろうし、積もる話も沢山あるだろうな。
俺らはちょっとゆっくりしよう。
しばらく経ち、日も落ちてきて部屋が少し暗くなってきたので、俺はランプを点けた。
「あら、ごめんなさい。つい話し込んじゃったわ。みんなお腹が空いたでしょ。準備してくるわね。ごゆっくりしていって下さいね。」
ワーレイは丁寧にドアを閉めて、部屋から出ていった。
楽しそうだったオーブリーの表情が真剣な顔に戻る。
オーブリーの温度の代わり具合に俺は少し戸惑った。
「みんなちょっといい?」
表情に反して声だけは明るい。
「この国はあの教徒が多いの。この宿屋は大丈夫だけど、外で聞かれているかわからないから、みんな大きな声で喋らないでね。ワーレイから奴らの近況報告があったわ。」
は?
いつ?
楽しそうに話していたさっきの話で?
みんなも呆気にとられた表情をしている。
「敵地でストレートに話をするのはタブーよ。隠語を使ったの。念話は便利だけど、かなり高いレベルの魔法使いだったら盗聴なんて簡単だし、盗聴対策が大変なのよね。けど本当に半分は楽しい会話だったのよ。で状況だけど、悪くなる一方ね。奴らがものすごい勢いで、他の宗教を駆逐しているそうよ。みんなは今回の旅で『日と影』をしっかり見ていってちょうだいね。日が明るいほど影は濃いものよ。早速、ちょっとこの町を散策しようか?」
おれたちは晩御飯の準備をしているワーレイにひと声かけ、町に出た。
さすがシン国第二の都市だけあって、町は賑やかだ。
人通りが多く、道幅もオデリアより狭い事もあって、人の声で溢れている。
みんなが忙しく動いているのが、いかにも俺らのシン国人のイメージ通りだ。
また、新しく綺麗な建物も多く、建築様式も俺らの国とかなり異なるので見ているだけで楽しい。
まさに『異国に来たぞ』って感じだ。
しかしなんだろう?明るいだけじゃない感じ。
そんな気がする。
その理由がわからないまま俺は歩いていた。
オーブリー以外のみんなも似た気持ちだったのだろう、町の雰囲気に反して、あまり会話が弾まない。
「なんか座ってる人が多いっすね。」
クリスが呟く。
「そういえばそうだな。あそこにもほら。」
そうは言ったが、口調からすると、オーブリーが先程言っていた『光と影』の一つなのだろう。
町を歩いていると、たまに見かける座ってる人。
ぼーっとしていて、ただ座っている。
たまに2、3人で座ってる場合もあるが、会話もせずに、やはりぼーっと座ってる。
共通しているのは無気力感。
生気が感じられない。
まるでゾンビのようだ。
町の人達はそれを気にする事なく、普通に生活している。
そうか、これだったんだ。
違和感の正体。
しかし、これとランスーク教、一体何の関係があるのだろう。
しばらく散策していたので、空がだいぶ暗くなった。
先程まであんなに多かった人通りが、気がつけばだいぶ減っている。
遠くを見ると、ひときわ明るい通りが見える。
どうやら人通りも多そうだ。
先頭を歩いているオーブリーが振り返る。
「あそこに見えるのが『夜の通り』だ。お前らには刺激が強いかもしれないけど、ちょっと見てみようか。あの通り、ほんの10年くらい前までは、小さな娼館が3件くらいしかなかったんだけど、今ではかなり増えて立派な町の裏名物なんだよ。おそらく、ドゥルスコウに訪れる人達の大半がここ目当てだろうな。男女入り交じる欲望の通りだ。トラブルを避ける為に女の子を真ん中にして歩くんだぞ。」
ドゥルスコウの夜の通りは俺が想像したよりも長く、人通りも、かなりのものだった。
はっきり言って、オーフェリエ王国の王都フィラインより大きいだろう。
王都に住んでいた時、娼館通りを友達と大人ぶって、ドキドキしなが歩いたのが懐かしい。
ドゥルスコウの夜の通りは、意外に女性が多く見えるのには驚いた。
オーブリーを先頭にみんなで通りに入ってみる。
恥ずかしいけど、ちょっとドキドキした。
一人では到底入れないな。
オーブリーの説明によると、夜の通りは2ブロックに別れており、1ブロック目が異性とお酒が飲める酒場のブロックで、もうひとブロックが娼館のブロックらしい。
「イイ子いるよ。」
「かっこいい子いるよ。」
客引きが俺たちに近づき、声をかけてくる。
中には、聞いているだけで恥ずかしくなっちゃうような文句で客引きをしている。
店の軒先から中を見てみると、美女やイケメンが自らの美貌を通行人に見せつけながら、愛想を振り撒いている。
周りの人の服装を見てみると、いかにも上質そうな服から、少し質の悪い服を着ている人までいる。
ここにはあらゆる階級の人達が来ているらしい。
通りの景色を見てふと気づいたのだが、なぜかこの2ブロックには、座ってる人は見かけなかった。
娼館通りを抜けたら普通の通りに戻った。
「ワーレイも待ってるし、そろそろ帰ろうか。こっちの通りは人通りが少ないから、こっちから帰ろう。ちょっと暗い分、危険かもしれないから気をつけろよ。」
オーブリーはそう言うと、夜の通りのすぐ裏に位置する通りを歩いて行く。
夜の通りが明るかったからだろうか、この通りはかなり暗く感じる。
何の臭いだろうか、ちょっとくさい。
表の店の裏口らしき所には必ず、用心棒らしき人が立っており、睨みをきかせている。
裏口も意外と人の出入りが見受けられる。
恐らく従業員や配達の人だろう。
すぐ先の裏口が開いた。
中から人が出てくる。
「ありがとうございました。」
中から声が聞こえた。
あれ、子供の声?
女の子ぽいけど。
まさかな。
この通りの職種からして、さすがにそんな事はないだろう。
女性でもそんな声の持ち主だっているだろうし。
それにしても『光と影』か。
俺だって、こういう歓楽街や風俗が必要な職業だというのは、十分理解している。
前世で行った事があるし、唄にもした。
けど、無理やり働かされていたら?
ランスーク教と何が関係してるの?
この町の『光と影』って?
悔しいが、俺にはこれだという答えがまだ出てこない。
けど、心に残る違和感は何だろう。
色々と考えていたら、いつの間にか宿屋についていた。
風呂に入り、食事をすませる。
今日の食事で会話は弾まなかった。
みんなも今日、見聞きしたものを頭のなかで整理しているのだろう。
オーブリーが食事をする手を止めた。
「みんな聞いてくれ。明日には王都に向かう。しっかりと身体を休めるようにな。」
食事をすませ、部屋に戻る。
しばらくして、女性陣が部屋に入ってきた。
ずっと俺らの服の中に隠れていたマルゴーとムートンが出てくる。
「あーやっぱ広い所がいいわ。リューの服の中だから、幸せだけど♥️ムートン、ずっと臭くなかった?最初だけいい匂いなんだけど、ずっと嗅いでると臭いの。ムートンはなんだかわかる?」
それを聞いて、反射的に自分の匂いを嗅ぐ俺ら。
よし、俺はきっと大丈夫だろう。
妖精って匂いに敏感なのかな。
それとも、隠れていて視覚が使えない分、他の感覚が敏感になるのかな。
「安心して、みんなの匂いじゃないわ(笑)。」
「マルゴーも?僕も思った。けどわかんない。で、何なの?」
「あれはグ・・・」
「そこまで。」
オーブリーは小声で静止した。
「後は道中で話すわ。」
『グ・・・』って何?
もしかして、やはり・・・あれかもな。
あれだったらヤバイな。
俺はこの旅が少し不安になった。
Respect INO hidefumi/Satisfaction
フェンダーローズのジャケットを見て買いました。フェンダーローズの優しい音色が大好きです。フェンダーローズの音を聞いた事がない方、是非YouTubeで調べて見てください。癒されますよ。




