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第31話 告白

今回も更新できました。宜しくお願いいたします。

「はい、差し入れのレモーヌ水とクッキーよ。急いで作ったから、お口に合わなかったらごめんね。」


「ありがとう。」


お、持ってみると、結構重いぞ。


みんなも先程まで疲れた顔してたのに、最高の笑顔でお礼を言っている。


「あ〜重たかった。この世で一番重たい荷物って水だと思うの。フレシアもそう思わない?あ、そうか、フレシアは自分が持つ前に、男子に持ってもらうか。」


「あら、失礼ね。私だって自分で持つわ。自分で持たないのは、マルゴー(笑)よ。」


「確かに!そうよ私、お嬢様ですもの。ごめん遊ばせ(笑)。アビちゃんは、持ってもらいたい人がいるもんね~。」


「い、ぃないもん。・・・私だって自分で持ちますぅ。マルゴーひどーい。」


あははは


女性陣の笑い声が響いた。


「ねえ、トーランド。店はどの位できたの?入って良い?」


勝手に店内に入っていくオーブリー。


俺はまだ「いいよ」とは言ってないけど・・・


みんな慌ててついて行く。


「あーら、おしゃれな店内ね。壁の色、くすんだ白?良い色ね。グレーのテーブルと椅子もおしゃれ〜。秘密基地みたいな薄暗い店内に合ってるわ。そうね・・・・これは女子が選んだんでしょ。このセンスは絶対に女子よ。」


オーブリーが得意顔だ。


「残念っした。選んだのは俺達です〜。オーブリーも以外に見る目が無いっすね。」


「ふっ(ニヤリ)。」


リューガルドも得意顔だ。


「あらそうなの?負けちゃった~、悔し〜。見直したわ。あなた達センスあるのね。良い感じよ。あーあ酒持ってくれば良かったわ。この店でお酒飲みたいな。」


「オープンしたら当然お酒出すわよ。今、段取りを済ませてきたとこ。オーブリーにはお世話になったし、た~っぷりとサービスするからね。」


「ありがとう、フレシア。楽しみにしておくわ。」


「オーブリー、ここに座ってくれ。おーい、みんな。せっかく差し入れを貰った事だし、休憩入れるぞ。」


テーブルに荷物を置き椅子を引いて、オーブリーをエスコートすると、みんなもそれぞれ椅子を持ってきて、テーブルを囲んで座った。


「そうだ、みんな魔法を練習してる?調節できるようになった?ちょうど良いわね、今、練習の成果を私が見てあげる。」


そう、魔法の練習も取り入れた。

あの晩にアドバイスをもらっていたのだ。


あれから毎晩、マルゴーとムートンに教えてもらっている。

おかげで、少しは調節ができるようになりバリエーションも少し増えた。

まだ全員が初心者レベルだけどね。


思ってみれば、メンバーそれぞれにやらなければいけない事が増えてきて、朝から晩まで忙しい。

みんなの目標の為に、それぞれ手を抜く事無く、精一杯頑張っている。


オーブリーが、立ち上がりキッチンに行き、大きなボウルを持ってきて、テーブルに置いた。


「アビちゃん、水を少しずつ出して。なるべく冷たい水よ。トーランド、その水に冷たい風を送って。水をこぼさないように風量調節してね。」


俺とアビちゃんが立ち上がる。


ちょっと緊張するな。

調節が難しいんだよな。


アビちゃんを見てみたら顔がこわばってる。

俺も似たような顔をしてるんだろう。


失敗しても練習を重ねれば良い。

それだけの話か。

そう考えたら少し気が楽になった。


「アビちゃん、落ち着いて。いつも通りにすれば良いだけだ。大丈夫だよ。」


「おいアビゲイル、何だよその顔、ヤベーぞ。ビビってんのか?」


「トラさんありがとうございます。クリス、てめえは黙れよ。」


アビちゃんが俺には笑顔を、クリスには鬼の形相で返す。


「アビちゃん、言葉!」


「すみません、フレシア姉さん。・・・・よし、やるぞっ。」


俺とアビちゃんがボウルに手をかざす。


アビちゃんの手から水をポタポタと落ちてきた。

俺はその水を凍らすのをイメージして、手に魔力を送り込む。


最初こそ風が少し強く、こぼしてしまったが、調節して丁度良くできるようになった。

ボウルの中で、アビちゃんから出た水が氷になっていく。


「あら、上手じゃない。2人共合格よ。」


「しゃーっ。」


思わずガッツポーズが出た。


アビちゃんも嬉しそうだ。


みんなも自分が褒められたように喜んいる。


オーブリーがボウルに手をかざすと、氷が粉々になった。


フレシアが慌てて立ち上がる。

それを見て、アビちゃんも後に習ってついていった。


2人でコップと小さなスコップを準備して、コップに氷を入れる。


アビちゃんがレモーヌ水をついでいく。


「「「「「「「いただきます」」」」」」」


キンキンに冷えて旨い。

レモーヌの酸味が爽やかに喉を過ぎていく。

クッキーも旨い。

良いバターを使ってるな。


「美味し〜い。ねえオーブリー、両方共ある程度の量を作れる?できたらオーブリーから仕入れたいんだけど。」


「それは嫌。面倒くさい。レシピ教えてあげるから、自分で作って。」


「そう言うと思ってた(笑)。ただで教えてもらうのは私が嫌だから、教えてくれる代わりに、オープンして1ヶ月間はお酒代は半額。それで良いかな?」


「ただで良いのに。気を使ってくれてありがとう。じゃあ、それでお願いね。けど、きっと後悔するわね。遠慮しないでジャンジャン飲むわよ。」


「こちらこそ条件を飲んでくれてありがとう。望む所よ、いっぱい飲んで。」


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


差し入れをいただいた後、俺達はオーブリーに演奏依頼された、現在練習中の『大いなる父母よ』を聞いてもらった。

今の所、俺達の中では7〜8割の出来という所だが、依頼主の反応を見たかったのだ。


オーブリーは「そういえば、あなた達の演奏を聞くの初めてね」なんて最初は言っていたが、一通りの演奏を終えると、納得した表情で「あのミリタリスがあなた達を信用した気持ちがわかるわ。あなた達良い、凄く良いわ。合格よ。」って言ってくれた。


それからオーブリーは黙り込んでしまった。

オーブリーの真剣な表情を見ると、他の話をする訳にはいかず、場が静かになってしまった。


オーブリーがはっと明るい表情になった。


「ところでトーランドとリューガルド、あなた達、他の楽器やってた?何か独特の癖?があるのよね。そこがクセになるのよ。そこが良いのよ。みんなそれが聞きたくなるの。今ではあまり吟遊詩人ってのも見かけなくなっちゃったけど、明らかにそれとは違う何か。これは自然に身につかない物だと思うんだけどな~。なんだろ?」


俺とリューガルドの目が合う。


仲間が増えてから、二人きりになったと時に、俺とリューガルドの本当にしたい事(ロックミュージックをこの世に広めたい!!)を言う機会が必要だとは話し合っていた。


もちろんその為には、俺達の秘密を明かさなければならず、タイミングを計っていた。

特に、創造主様との約束と『白い本』は気を使う必要があった。

当然、創造主様の名前を出して、証拠として『白い本』を見せびらかし、その事で有名になり、そこでロックを広める事もできる。


けど、そんなつまらない事はしたくないし、それは俺達のプライドが許さない。

そもそも創造主様の本心でも無いだろう。

そこで二人で話し合った結果、創造主様の事は伏せて『白い本』は俺達の前世での特別な道具で転送できたという、多少強引な言い訳も二人で決めている。


ルミタリス様に同じ様な事を言われた時があったが、その時はその場にいる妖精さんの数が多く、俺達の秘密を告白しても、噂として広まる可能性があった為、秘密を告白する気にはなれなかった。


リューガルドに目線で、秘密を言って良いか、確認をする。

リューが笑顔で頷く。


それを見て、みんなが不思議そうな表情だ。


俺はひと呼吸して、意を決した。

静かに椅子から立ち上がる。


「実は、俺とリューガルドには秘密があります。これはフレシアにも言った事がありません。」


突然の告白に、部屋が張り詰めた空気になる。


「あれは旅に出る前の王都での出来事でした。俺とリューガルドは自分達の無鉄砲さで、事件に巻き込まれ、瀕死の重傷を負い、意識不明となりました。そして運良く教会に運び込まれ一命を取り止めました。と、ここまではオーブリー以外は知っているでしょう。実は俺とリューガルドは意識不明の間、別にある、同じ世界で、それぞれ別人生を送っていたのです。二人共偶然、同じ事をしていました。この世界で言う“吟遊詩人”です。」


改めて思い出してみると懐かしいな。

あの時ロックして見た、あの光景。

演者と観客が一体となって創り出すあのグルーヴ。

あの熱さをこの世界の人達にも味わってもらいたい。


リューガルドを見てみたらあいつも懐かしんでそうだった。


他のみんなは、理解を超えた話に、唖然とした表情をしている。


俺は、みんなが信じてくれる事を信じて話を続けた。


Respect Foo Fighters/PRETENDER

イントロがめっちゃ格好良いです。デイブ・グロールの歌声とベースの入り方が最高!テンションを上げたい時に聞いて下さい。


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