第30話 リフォーム中
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俺達は今、ライブハウスになる予定の元食堂の前で昼休憩を取っている。
簡単な舞台造りから防音を兼ねた内装まで、1から自分達だけでやっている。
ムートンも小さな身体で、所狭しと動いて作業をしており、かなり助かっている。
昼間は元食堂の改装、夜は練習の日々が続いている。
女性陣は3人で営業にでかけていった。
マルゴーをどのように役立てるかは俺にはわからないが、フレシアが声をかけて連れて行ってしまった。
今頃、フレシアが
訪問先でコミュニケーションお化けぶりを発揮している頃だろう。
オーブリーの家で、みんなと飲んだあの日から1週間が経った。
あの日は、かなり良い刺激をもらった日だった。
早速、翌日の朝にグループ内のルールを決めるミーティングをしたのは言うまでも無い。
そこで俺達の叶える目標も決めた。
『絶対に王都で大きなライブをする』
今までも、俺とリューガルドの2人の中ではこれが目標だったが、あらためて俺達グループの目標にした。
それから、オーブリーのアドバイスで、目標を叶える為の、中期及び短期の目標を設定した。
中期目標が『各街で有名になる事』、短期目標が『毎回、充実したライブをして、観客を一人でも増やす事』だ。
元々、俺達って真面目に頑張ってるかもとは思っていたが、オーブリーからアドバイスをもらったあの日から、メンバーの行動が更に変わった。
それぞれが、それぞれの役割をしっかりと意識して行動するようになった。
俺とリューとクリスは、街に出た際、ライブの参考にするために街の雰囲気や住人の生活を今までより細かく観察するようになったし、他のサポートする側のメンバーも、それぞれの得意分野を生かして、それをどうライブにつなげるかを考えて行動するようになった。
思ってみれば、ゆっくりできたのはあの日だけだったな。
翌日からは、良いライブをする為の準備期間に入った。
みんなで飲んだ翌日、宿屋を出てまず最初にした事は、ステルでのパーティで、元食堂を俺達に貸してくれる約束をしてくれた、魚問屋のズスーキ=ガンム氏への挨拶だ。
あのパーティでは、俺達から逃げまわって結局会えなかった、娘のネサールちゃんともようやく会う事ができた。
ちょうど、店頭に立って仕事をしていた社長に声をかけたら、奥にある事務所まで通してくれた。その事務所でネサールちゃんが働いていたのだ。
俺達が訪問してリューガルドを見た瞬間、「いや〜無理無理無理。」って言って泣き崩れてしまった。
さすがフレシア。絶好の機会を逃す事無く、しっかりと絶妙なフォローでネサールちゃんを落ち着かせ、社長との実務的な話をスムーズに進めていった。
そこから男性陣は別行動になり、番頭さんの案内で、貸してくれる予定になっている元食堂に行って先に内見させてもらった。
店内の広さから舞台の大きさを差し引いて、MAX200人位入るかなという広さだ。
客の反応もしっかりと見れる、ちょうど良い大きさだ。
カウンターとキッチンもちょうど良い大きさで感じが良い。
一言で言えば、最高!だ。
問題点は1つ。
1軒家だが、隣の家と距離が近い事。
この点は俺とリューガルドでしっかりと対策を致します。
ちゃんと挨拶にも行かなきゃ。
みんな揃ってから行くとしよう。
フレシア様、サポートお願いいたします。
あなたのコミュニケーション能力にかかっています。
よっしゃー、なるべく早く、ライブを満員にしてやろうじゃないの。
そして、毎回ソールドアウト。
想像するだけでワクワクするな。
あー早くライブがしたい!
居住スペースも、広さ、部屋数共にちょうど良く、番頭さんの話によると1,2階共に自由に改装して良いらしいので、トータルで見てもこの物件は最高!!でした。
番頭さんの話でビックリしたのが、社長は当初、今後を考えて改装の許可までは反対だったらしいが、ネサールちゃんが社長を説得してくれて、改装の許可がおりたらしい。
最後の殺し文句は「許可しないと家から出て、元食堂にみんなと住む」だって。
どの世界でも、父親は娘に弱いものなのですね。
頑張れ、数多いる娘持ちの父親。
今日はネサールちゃんのお世話になったので、明日から応援する予定です。
それから女性陣が合流し改めて内見。
その場で賃貸契約をした。
女性陣にはそのまま、ズスーキさんが紹介してくれたれた店に挨拶回りをしてもらい、俺達は、この旅の当初の目的である、ギターの弦候補の“オデリア製のロープ”と“ドラムの革”を探す為、道具屋を巡る事にした。
ロープ自体は一軒目の道具屋で、すぐに見つかった。
どうやら“オデリア製のロープ”とは、砂漠に生息している『鬼鯨』の髭を加工して作られるらしい。
早速購入して、店主の了解を得て、アイテムボックスから、アコースティックギターとエレキギターを出して、ロープをつけて軽く演奏してみた。
ん〜久しぶり。
けど、音が柔らか過ぎる。
おもちゃのギターみたいだ。
ギターの弦としての太さは申し分無かったが、硬さが足りないようだ。
もっと硬いのが無いか聞いてみたが、ロープの硬さは鬼鯨の大きさに比例しているが、最近はこれより硬いロープを作れる大きさの鬼鯨が揚がっていないとの事だった。
ダメ元で他の道具屋をまわってみたが、どこも同じ答えだった。
そして、ドラムの革は3件目で見つけた。
これも鬼鯨の材料だった。
鬼鯨の背革だ。
まさに鬼鯨様々だ。
革の厚さ、硬さ共に申し分ない。
しかし、さすがに、ここでドラムセットを出して、つける訳にはいかない。
革購入後、ズスーキさんの所に戻り、大きな鬼鯨の髭情報を聞いてみたがやはり、最近は揚がって無く、在庫もどこも持っていないだろうとの事だった。
そこで、大きな鬼鯨の情報が入り次第、教えてもらう約束をして、ズスーキさんの店を再度出た。
そして次は、ムートン希望の魔道具屋巡り(とは言っても一軒しかない)をした。
ムートンは魔法で身を隠し(普通の妖精よりかなりレベルが低いらしい)た。
ムートンは大喜び。
俺を使って、あれやこれやと丹念に見ていた。
念話だったものだから、頭に響くこと、響くこと。
その日は買わずに、欲しい物をリストアップして価格を調べて、フレシアに相談する事にした。
そして、早速元食堂に戻り、みんな揃った所でご近所に挨拶を済まして、急いで2階の居住スペースを片付けて、その日の用事は終了。
食事中みんなで話し合い、元食堂を『ベースキャンプ“虎の穴”』と命名した。
女性陣は大反対だったが、男性陣の必死の説得により、渋々了承した形だ。
その場で以前から気にしていた、バンド名をそろそろ決めようかと、俺が発案したが、みんなの希望がバラバラで話し合いにすらならなく、次回に持ち越しとなった。
食事終了後は、防音対策していない一階で、ドラムセットに鬼鯨の背革をつける。
取り付け終了後に、クリスが椅子に座ってスティックを丁寧に握り、一通り叩いた。
俺とリューには懐かしい響きだが、クリスにとっては新しい響きが部屋いっぱいに響いた。
クリスはうつむいて震えている。
「凄いっす。ヤバいっす。トラさん、リューさんありがとうっす。」
確認の為、心で「ご近所の皆さん、申し訳ございません」と思いつつ、クリスに精一杯叩いてもらった。
これだよ、これ、この音。
ギターはちょっと残念だったけど、ドラムはこれで大丈夫だな。
「俺、やるっす。ドラムものにしてやるっす。」
「じゃないと困る。」
リューガルドが優しく微笑んだ。
「虎の穴とギターが完成したらドラムの本格的な始動だ。街角での弾き語りはカホンでやってもらう。クリスには今までも頑張ってもらってはいるが、それ以上の努力が必要だけど大丈夫か?」
「余裕で頑張れるっす。やるっす。」
「頼むな。じゃあ、いつもの練習だ。」
まずはいつもの街角での弾き語りを想定した曲を一通りあわせた。
その後、あの晩、オーブリーからお願いされた『大いなる父母よ』も練習した。
曲自体はギーリさんに教えてもらっていて、神々を讃える歌だというのは知ってはいたが、ライブで全くやっていなかったので、自分達の形が見えるまで時間がかなりかかった。
この曲はかなりスローな曲で、クリスがカホンで合わせるのに苦労をしていた。
オーブリーはどういうつもりなのだろう。
あの日
「ところで、私からの相談があるんだけど良いかな?『大いなる父母よ』って知ってるでしょ。練習しておいてね。これをやってもらう日は、みんなに頑張ってもらうからよろしくね。詳しくはまた今度ね。。お、た、の、し、み、に♥あなた達も好きな所で寝なさいね。じゃあお休み。」
と言って寝てしまった。
それから何だろう?何をするんだろう?と考えて悶々とする日々が続いている。
考えても仕方がないので、虎の穴を早く完成させよう。
あと3日もあれば完成できるだろう。
それにしてもこの弁当美味いな。
フレシア、アビちゃんどっちかな?
なんて思ってた時だった。
「「「ただいま。」」」
女性陣が帰って来た。
暑さにやられたのか、
ちょっと疲れた表情をしている。
「あーらみんなお元気?差し入れ持って来たわよ。」
その後ろからあらわれたのはオーブリーだった。
Respect マボロシ/ファンキーグラマラスpart2
この曲はKREVAのアルバムに入っている曲のパート2です。自分はこっちのほうが好きです。昔はライムスターの良さ(特にマミーD)が嫌いでしたが、今はライムスターが大好きです。是非聞いて下さい。ラップって、言葉遊びがベースにあるのが良くわかりますよ。




