第3話 創造主様との出会い
ここまで来て頂き有難うございます。第3話です。よろしくお願い致します。
白い装束の男は足音をたてずに近づき、俺達の足元にたった。
「トーランドさんとリューガルドさん、お二人とも意識はあるようですね。まずは身体を動かせる様にしないといけませんね。」
リューガルドも無事なのか。
意識もあるのか。
それだったら、まず今は、自分の事だな。
白い装束の男は手を胸の前まで挙げると、パンと手を叩いた。
すると、ずっしりと重たい、乾いた砂のような俺の身体に、じっくりと水分が染み込んでくるような感覚が来た
しばらくすると感覚が元通りになった。
久しぶりに感じる身体の感覚。
恐る恐る、ゆっくりと動かしてみる。
(ヨッシャー、動くーーーっ!!)
ゆっくり立ってみる。
立てた。
それだけが嬉しい。
とりあえず自分の事はそれ位にしておいて、リューガルドを確認する。
リューガルドの指先が動いている。
「リューガルド、俺の声が聞こえるか?手を貸してやろうか?」
「うるせえ、そんなのいらねえよ。」
そう言ったと思ったら、すくっと立った。
負けん気が強く、俺より少しだけ身長が高い、いつものリューガルドだった。
俺達は抱き合った。
しっかりと肉体の感触がある事に安心する。
もしかしたら、幽霊になったかもって、少し不安だったから安心した。
とはいえ、まだ二人でいられる事が、すごく嬉しかった。
それから、これまでの事を確認し合った。
どうやら先に消えたのは俺だったらしく、リューガルドの方は、俺が消えた事に驚き、俺の名前を叫んだのが、あの通りのでの最後の記憶らしい。
「トーランドさん、リューガルドさん、お二人ともよろしいでしょうか?」
白い装束の男が静かに言った。
その一言で我に返る、俺達は現状を何も理解できていない。
白い装束の男に聞いてみよう。
「ここはどこです?」
「そうですね、あなた方の言葉で言うと『天国』が一番近いでしょう。しかし、ここは誰でも来れる所ではございません。これからあなた方には『ある方』に会っていただきます。しばらくここでお待ち下さい。他聞きたい事はございませんか?」
えっ、『天国』ってか。
俺達やっぱ死んじゃったんだ。
ある程度覚悟はしていたが、改めて言われると結構ショックだ。
「ある方って誰ですか?」
リューガルドが冷静に聞いた。
スゲーなあいつ。
「それはご自分で確認した方がよろしいかと思います。」
白い装束の男の口元が微笑む。
「他、質問はございませんか?無いようでしたら失礼します。静かにお待ち下さい。」
言い終えると、白い装束の男は静かな足取りで部屋を出ていった。
壁から扉が消えると同時に、壁も消えた。
ただの白い広い空間になった。
遠くから壁がものすごい勢いで迫って来る。
あっという間に先程よりかなり大きい部屋が出来上がった。
しかし今回は天井が無い。
どのくらい時間が経っただろう、どこからかおじいさんの笑い声が聞こえてくる。
「あはははは、あははははは。」
何それ、正直怖いんですけど。
横は、相変わらず壁しかないので、上を見上げてみる。
かなり遠くに何かがあるようで、黒い点が、近づいてくるように見える。
何だこりゃ?
訳分かんねえ。
隣ではリューガルドもポカーンしてるし。
白いおじさんの話からして、偉い方のようなんだけど·····
かなり近づいて来た。
あれはブランコか?
座っているのか?
やっぱりおじいさんだ。
見慣れない、ダボダボの白い衣装に、何か字が書いてある。
「あはははは、あははははは。」
相変わらずの笑い声。
もういい、くどい。
そんな事を思っていたが、高さが天井位の所に来た時に急に飛び降りて来た。
きれいに着地したと思ったが、すぐにしゃがんで足を擦る。
「ぐぅぅぅ」
かなり痛いらしい。
呆気にとられる俺達。
あっ、そうだった、偉い人かもしれなかった。
「大丈夫···ですか?」
恐る恐る近づき、声をかけてみる。
その瞬間、おじいさんはパッと立ち上がった。
「嘘でっした〜。ねえ、ビックリした?ビックリした?」
笑えねえよ、おじいさん。
横では、リューガルドはおじいさんを睨んでいる。
リューガルド、お前の気持ちはよく分かるが、ここは抑えるんだ。
本当に偉い人?
見た目はそんな感じだ。
頭は白髪で、爆発したみたいにボサボサ、丸くて黒い眼鏡をかけている。
しかも、上品そうな白い衣装に『偉い人』って書いてある。
「呼ばれて、飛び出て、ジャジャジャジャーン。」
おじいさんは、テンションが高く、最高の笑顔だ。
はぁ、呼んでないよ。
ウザい。
俺だけでも落ち着かないと。
まだ睨んでいるリューガルドを横目に、一番気になっていることを聞いてみる事にする。
「あなたはどんな方ですか?」
「何て?」
おじいさん、耳が遠いのかな?
大きな声で言ってみよう。
「あなたはどんな方ですか?」
「とんでもない、わたしゃ創造主だよ。そんな大きな声を出さなくても聞こえとるぞ。」
そ、創造主ウザい。
「ははは、冗談はここまでじゃ。前からやってみたかったんじゃ。楽しんでもらえたかの?」
「ははは····」
俺は愛想笑いしかできない。
リューガルドは唖然としている。
そういえば『創造主様』だった、俺達は慌てて跪く。
「そんなに気を遣うな、好きな体勢で良いぞ。」
ずっとこの体勢はきついので、とりあえず立ってみる。
リューガルドも俺に続く。
「トーランド、リューガルドお前らを呼んだのは私じゃ。創造主とはいえ、全ての人を見れるのでは無い。しかし、人の『願い』や『努力』から出てくるエネルギーは感じる事ができる。お前らが、吟遊詩人になりたいと『願い』『努力』したエネルギーを感じて、時間を遡って、お前らを見ておったのじゃ。そうしたら、夢半ばで死んでしまい、可愛そうになってここへ呼んだという訳じゃ。さて、ここからが本題じゃが、お前ら、もっと歌を勉強してみないか?」
俺達は顔を見合わせる。
目を見てみればすぐ分かる。
おう、やっぱりそうだよな。
「はい。」
「はい。」
俺達は死んでしまったが、歌の事に関しては答えは一つだ。
「おお、そうか。そう言うに違いないと思っておったぞ。とはいえ、お前らが居た世界に戻るのでは無い。もう一つ別の世界に生まれ変わってもらう。そこは文化とか芸術という面では、独特で多種多様の進化をしておる。そこでお前らの思うように勉強して来るが良い。お前らの結果次第では、再び元の世界に戻してやるのも可能じゃ。」
「おいリュー、聞いたか?俺達の結果次第で生き返れるってよ。頑張るしかねえな。」
「そりゃやるしかねえだろ。絶対やってやる。」
「一つ言い忘れておったが、お前らは赤の他人として生まれ変わってもらう。それでも良いか?」
喧嘩をしつつも、ずっと一緒だったリューガルドと離れるのは、正直寂しい。けど頑張ればまた会える、頑張って結果を残せば良いのだ。
「はい。」
「はい。」
きっとリューガルドも同じ気持ちだ。
「創造主様一つよろしいでしょうか。 ここまでの記憶はどうなりますか?」
リューガルドが冷静な声で聞いた。。
「当然、生まれ変わっている間の、ここでの記憶は私が預かる。再びここに戻って来た時に戻してあげよう。ただ、普通の記憶とは別に、魂の記憶というのもある、私も魂の記憶だけは変えられん。」
「そうですか。分かりました。」
「それでは、早速行ってもらおうかの。二人とも良いか?」
はやっ、心の準備がまだだよ。
手短に、リューガルドとお別れだ。
「リューガルド、頑張ろうな。信じてるぞ。絶対結果を残して、元の世界に戻るぞ。」
「おう、頑張って戻ろうな、トーランド。またここでな。」
「二人共それでは行くぞ、ホイ。」
そう言うと共に創造主様が手をたたく。
すると、俺達の周りが光り、何も見えなくなる。
しばらくしたら、ぼやけてはいるが目が見えてきた。
どうやらここはどこかの部屋らしい。
「おぎゃー、おぎゃー、おぎゃー」
俺は泣く事しかできなかった。
Respect フー・ファイターズ/All my life トーランド リンキン・パーク/Somewhere I belongリューガルド ド直球の感じがトーランド、内面に秘めたエネルギーが、リューガルドのイメージにピッタリだと思います。良ければ聞いてみて下さい。※あくまでもイメージです。歌詞の内容と一致して無いかもしれません。
本作品のタイトルに追いつくまでは、書き終え次第投稿致します。
その後は週一の投稿を予定しております。




