第26話 再会
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リューガルドが通行人を避けながら、店の正面の小道に向かって歩いて行く。
リューガルド、てめえ待てよコラァ。
普段は無口で冷静なのに、何でこんな場面だけ何も考えずに、本能で行動するんだ?
今回のリューガルドの行動はどう考えてもリスクは高い。
こんな場面こそ、みんなで考えて行動するべきだろうが。
全く、後で説教だ。
あと、グループ行動の基本をみんなで確認しないとな。
しっかりとルールを設けないと、個人の突発的な行動はグループの存亡に関わってしまう
「フレシア、アビちゃん緊急事態だ。俺が合図をするまでここにいてくれ、いいな。」
「トラちゃん、もしかしてこの前言っていた、ステルでの事件と同じじゃ・・・?」
フレシアとアビちゃんの顔が青ざめている。
俺は黙って、頷く。
「クリスは。一緒に来てくれ。おそらく相手は魔道具使ってくるから、警戒しておけよ。ムートンはフレシアに隠れて、フレシアとアビちゃんに何かあったら、手助けしてやってくれ。」
「うっす。」
「・・・・わかった。」
下手すれば死ぬかもしれない場面だ、クリスの表情が硬い。
一方のムートンは、相変わらず表情を変える事なく、そそくさとフレシアのポケットに隠れた。
「良かった。ようやく繋がった。みんな、聞こえるよね。」
この声はマルゴーだ。
「今、リューガルドが向かっている小道の上から、魔法で身を隠して見ているんだけど、相手は二人よ。1人は普通の人と一緒の様な格好で、小道の入口で壁に持たれかかっているわ。もう一人は、この町でよく見る異国人みたいな格好で、フード付きの白いマントを着て、もう一つ奥の筋から状況を見ているわ。あっ、そうだった。時間かかっちゃたけど、みんなの魔力に、私の魔力を補助する事で、念話のネットワークを構築しておいたよ。会話したい人をイメージして心で喋りかけるとその人に伝わるようにしたの。一応、私の魔力が持つ限り使えるからね。」
「状況報告ありがとう、助かるよ。けどマルゴー、魔力を使っちゃ駄目だろう。相手が魔力を感知できる奴だったらどうするんだ。ただでさえ俺達より強い可能性が高いのに。」
「トーランドその点は安心して、妖精や魔力を感知される可能性は無いよ。二人からは魔力は感じないもん。けど、相手の目的を考えると、魔道具を持っているはずだから、魔道具への対処法は、私とムートンで指示するね。あと、フレシアとアビゲイルも魔法でサポートできる様に近くに来て。なるべく自然にね。指示を待って。」
「みんな、聞いてくれ。みんなに相談無く、勝手に行動してごめん。今の状況を食堂の前にいる護衛に説明して、奴らを捕まえてもらおうとも思ったけど、信用されないか、もしくは警護が動いてくれたとしても、店の警護が手薄になって、結果的に俺達が暗殺の手助けをしてしまう可能性もある。自分達の事だけを考えて、このまま知らないふりをしようとも少し考えたけど、俺はやっぱり奴らが許せない。奴らには俺とトーランドも殺されかけたが、まだ捕まる事なく、未だにこの国で人を殺し続けている。確かに、殺されているのは貴族が多いが、俺達のように巻き込まれた人も多いと思う。長い内戦が終わり、俺らのおじいちゃんの世代の人々が、必死で復興してくれてたおかげで、平和に暮らせる『今』があるんだ。このまま暗殺が続いたら、もしかしたら、また内戦が始まるかもしれない。だから、俺達の手で捕まえて、食堂にいる貴族に引き渡そう。暗殺をし続ける奴らの尻尾を掴んでもらおう。」
やっぱ、熱いなリューガルドは。
俺はみんなに相談してから動こうと思っていたが、あいつは思ったらすぐ行動。
それ故、上手くいかない場面も多く見てきたが、お構いなしにあいつは我が道を行っている。
『自分の信じた道をひたすら進む』リューガルドのそういう姿勢を、つい人の顔色を見て行動してしまいがちな俺は、尊敬している。
よっしゃ、やりますか。
「おーいみんな、あの無口なリューガルドが、あんなに長く喋ったんだから、やってやろうぜ。けど、怖かったら、正直に言ってくれ。無理をしなくて良いぞ。恐怖は判断を鈍らせるからな。それでも仲間のままでだから安心してくれ。」
「トーゼンっす。」
「やるわよ〜。」
「私の大事なリューガルドになんてことを。覚えておきなさい。」
「・・・・わかった。」
「リューちゃんとトラちゃんの恨みをここで晴らしてやるわ。」
「みんなありがとう。絶対死ぬなよ。トーランド、まずは二人で行くぞ。クリスはまず、近くで様子を見ていて、二人目が来たら入って来てくれ。フレシアとアビゲイルはちょっと離れた所で周りの動きを見張って欲しい。もし俺達が呼んだらすぐ来てくれ。」
俺はリューガルドと合流し、小道まであと少しの所での出来事だった。
ピューピュー。
指笛の音が小道から聞こえた。
「リューガルド、トーランド、白いフードの男が指笛を鳴らした後、町の北側に逃げ、壁にもたれかかっていた男も、指笛を聞いた後、町の南側へ逃げたわ。片方だけ?だったら追えるけど、どっちを追う?」
マルゴーからの報告を聞いた俺は、暗殺者を追うか追わないかで迷ったが、追跡するのをやめさせた。
やはり、深追いするのは危険だ。
リスクがあまりにも大き過ぎる。
リューガルドは悔しがっていたが、仕方が無い。
この国の情勢はどうなってるんだろうか?
俺達が暗殺騒動に巻き込まれるのは2度目だ。
王都にいる時は感じなかったが、まだまだこの国はヤバいな。
この国は昔の内戦時代と、根本的に変ってないのかもしれない。
今回の件を、みんなでどうするか話し合った結果、冒険者にギルドに報告をする事にした。
それにしても腹減った。
まあ、ちょっと我慢するか。
もしかしたら、報告完了後にこの店に戻ってきたら、店に入れるかもしれない。
っていうか、行列にならんででも、この店の魚の煮物を食ってやる。
宿を出てから、口が魚の煮物モードに入ってるんだよね。
早速、俺達は今回の件を報告する為に、冒険者ギルドに戻った。
事が事だけに(妖精さんの事は伏せて)、ギルド長に直接言う事にした。
報告の内容を伝えて無かった為に、渋々と出てきたギルド長は、俺達の話を最初こそ疑って聞いていたみたいだったが、余りに具体的に言うので、次第に真剣な表情で聞くようになっていった。
ギルド長も、この国で頻発している暗殺や暗殺未遂事件を憂慮しており、以前から対策を領主と話しあっていたり、実際に起こった事件の情報を集めていたそうだ。
それにしても、見た目よりもかなり正義感が強く、熱い人だった。
ギルドを出る際に「ありがとう、感謝している。」と言って、一人ひとり両手で力強く握手する人なんて滅多にいないもん。
リューガルドは「暑苦しいのはトーランドだけで十分だ。」と言って、多少ウザがっていたけど、俺は嫌いじゃないぞ。
また何かあったら、ギルド長に報告しよう。
外はだいぶ暗くなった。
ようやく、店の前に着いた。
それにしても、すげー腹減った。
俺を含め、みんなの顔がそう言っている。
店の中を覗いてみたが、貴族は帰ったみたいで、多くの人で賑わっている。
席が空いてるか心配だったが、どうにか確保ができた。
オデリアのお酒といえば、サボテンのお酒“メスカル”が有名なのだが、かなり強いお酒で乾杯には向いてないので、とりあえず乾杯の定番“エール”を頼む。
ここで心配なのがフレシアだ。
彼女はお酒が大好きな割に、めっぽう弱く、しかも酒癖が悪い。
彼女は自制心が強いので、仕事が絡めば大丈夫なのだが、こんな場面は注意が必要だ。
「「「「「カンパーイ。」」」」」
みんなで乾杯する。
妖精さんの二人は可哀想だが、俺とリューガルドの膝の上で隠れる様に座っている。
ムートンが飲みたそうにしていたので、俺のを飲ませてみたが、けっこう飲んだ。
かなりイケる口らしい。
「間接キスできたら良かったけど、私はお酒無理なの。」
リューガルドの方から、小さい声が聞こえた。
マルゴーは下戸みたいだ。
先に来た料理をつまみながら、みんなで賑やかにやっていると、名物の魚の煮物がやってきた。
大きな皿に、お頭付きで二枚におろされた、骨まで軟らかそうな煮魚が乗っている。
見た目で旨いのは確定しているので、安心して頬張る。
うっめ~っ。
エールが止まらない。
積み重なっていく、皿とエール。
フレシアも旅の疲れが気になるらしく、自制をしているようだ。
久しぶりに気兼ねなく、楽しく食べれる食事。
純粋に楽しい。
「あ〜らアンタ達じゃない。偶然ね。」
そこにいたのは、昼間に会った、あの酒臭いエルフだった。
あのバンド/結束バンド
この曲はアニメ「ぼっち・ざ・ろっく!」で作品の中で出てくる曲です。このアニメは息子に教えてもらいました。見てみたら私もドハマり。イッキ見してしまいました。ロック好き必見です。アニメのフィルターがかかってないストレートなロックを聞ける作品です。




