第25話 またかよ
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それは、砂漠の町オデリアの門の前にできている行列に、並ぼうと向かっている時の事だった。
一人で歩いている女性が、ゆっくりと対面から俺達に近づいて来てるように見える。
しかも、かなりの美人だ。
「ヤバい、こっち来てるっすよね。」
「だな。どうしたんだろ。お前、ガンを飛ばしたろ。」
「そんな事するわけないっすよ。ガンを飛ばしたのは兄さんでしょ(笑)。」
美人がこっちにくる事に緊張しだしたのか、横のクリスの声が、少し上ずっている。
あれ、耳が横に長いぞ。
エルフだー!
初めて見た。
やっぱ噂通り綺麗だな。
雪の様に透き通る白い肌と柳の様に細い身体のライン、そしてエルフ特有の美しい白銀の長い髪。
人間とは次元が違う綺麗さだ。
「エルフ見るの初めてっす。綺麗っすね。」
やっぱり、俺達の目の前に来た。
うぇー、かなり酒臭い。
「まぁ〜っ、いい男ばっか!ねえ、ちょっといいかしら?あなた達、『妖精連れ』ね。今時珍しいわね。けど、妖精の扱いは気をつけた方が良いわね。、『妖精連れ』ってバレると、あんた達みんながさらわれちゃうわよ。あと、そこの妖精ちゃん達、それでも気配を消しているつもり?魔法がつかえる人が見ればバレバレよ。もう少し魔力の使い方を考えなさい。最後にお兄さん達、今度会ったら一緒に呑みましょう。いっぱいサービスしちゃうわよ。私、こう見えて、色々と凄いんだから。ごめんねぇ〜、お姉ちゃん達。あら、よく見たら、あんた達も綺麗よ。じゃあ、またね。」
唖然としている俺達に構う事なく、小さい顔を少しかしげて胸元で手を振ると、酒臭いエルフは、街道に消えていった。
「あ~酒臭かった。マルゴー、ムートン、気をつけてよー。けど何?あの女。あと、あのしゃがれた声。きっと酒焼けね。呑み過ぎよ。エルフだか何んだかわからないけど、なんかムカつく。ねー、姉さん。」
「・・・・そうね。けど、あの人の言う通り、みんな気を付けるべきだわ。」
「かなりの手練れだったな。隙が無かった。」
「だよな、リューガルド。俺達なんか足元にも及ばないぞ。皆んなで一斉に斬りかかっても、きっと瞬殺だろうな。皆んな、気をつけるぞ。マルゴー、ムートン、もっと気配を消せるのか?」
「やってやるわよ。何なのよあのエルフ。あー悔しっ。」
「・・・・・・・」
「っていうか、あれ男だろ。」
皆んなが驚いた顔で俺を見ている。
「俺達は・・・・女と・・・・思うぞ。」
「そう言われれば・・・・・いや、女よ。」
「いやーそれは無いっすよ、トラさん。どう見ても女っすよ。あの声は酒焼けっすよ。」
「そうだよ、トラ兄さん。あれはぜーったい女。」
とまあ、皆んなにそんな反応をされた。
俺は“男”だと思うんだけどな。
かなり自信がある。
具体的に何処がどうとは言えないが、そう感じる。
あと、言葉にはできないけど、何か引っかかるんだよな?
今、俺の心のどこかが重い。
そんな気がする。
けどまた会う可能性は、この町の規模と人の数で考えると低いかな。
できれば、また会いたい・・・・かな?
俺は何故か、その時にそう思った。
「トラさん、・・・トラさん。」
「お、おう。クリス、どうした。」
またエルフの事を考えてたか。
思い出す度に色々と考えてしまうな。
「考え事中ごめんっす。ちょっといいすか?聞いてくださいよ。まったく、マルゴーの奴ったら・・・・・・」
いかんいかん、俺達の事に集中しないと、俺達は今、知らない街にいるんだ。
俺もしっかりしないと、たった一人の油断でも足元をすくわれる。
気を入れ直そう。
それにしても、クリスはまたマルゴーと喧嘩か。
マルゴーとクリスって本当は仲が良いんじゃないか?
そもそもマルゴーはムートンと共に、他人から見えないように身を隠し、魔力もなるべく使わない様にしているはずなのにどうやって喧嘩するんだ?
喧嘩をする方が難しいぞ。
「あ〜っ、あった。ここだ。皆さん宿屋に着きましたよ。聞いてた通りだ、大きい。」
オデリアで、フレシアからナビ役を引き継いだ、アビちゃんが嬉しそうだ。
アビちゃんの言う通り、宿屋の大きさが、森の町ステルと比べてかなり大きく、しかもきれいだ。
ステルの宿屋は、アットホームな感じで、俺は大好きだったけどね。
砂漠の町オデリアは町が大きいだけに、宿屋も格安、普通、高級と3種類あったのだが、フレシア様の鶴の一声により、今晩だけ高級な宿に泊まる事にしたのだ。
大きな扉を開けて、入ってみると受付が広い。
呼び鈴を鳴らすと、落ち着いていて、感じの良さそうなお姉さんが出てきた。
空き部屋を聞いた所、希望通り男女別に、2部屋取れた。
この雰囲気だと、部屋も期待ができるな。
なんかワクワクしちゃうな。
みんなも、部屋への期待でソワソワしている。
フレシアも、一見落ち着いて見えるが、小さな声で鼻歌を歌って、指先でリズムを取っている。
最近はお姉さんキャラを装って、落ち着いてみせてるけど、ありゃ結構テンション上がってるぞ。
明日を休みにして良かったな。
階段を上がり、指定された部屋に到着した。
男女に分かれて、それぞれゆっくりとドアを開ける。
うわー、スゲー広い。
ベッド以外にくつろげるスペースがあり、座り心地の良さそうな椅子があるぞ。
ベッドをチェックしてみる、ふかふか具合スゲー。
「こりゃやばいっすわ。」
クリスが本当に嬉しそうに部屋を動き周り、色々確認をしている。。
リューも笑顔で据え付けてある椅子に座り、リュートを取り出し、遊びで弾いている。
朗らかなメロディラインが心地良い。
「ムートン、もう良いぞ。」
そう言い終える前に、ムートンは隠れていた俺のバッグから出て、珍しく嬉しそうな表情を浮かべて、部屋中を飛び回っている。
そういえば、隣の部屋の音や声が聞こえないな。
そう、ステルの宿では当たり前だったそういった騒音が、一切無いのだ。
やっぱ、良い宿は違うなと思っていたら、ドアをノックする音がした。
女性陣だ。
女性陣は想像通り、かなりテンションが上がっていた。
部屋の感じも良かったが、風呂が期待以上に大きく、雰囲気も良かったらしい。
3人共、ワーキャーと満足するまでしゃべった後、「もう少しゆっくりしてから、街を散策しようね。」と言い残し、部屋を去って行った。
俺達の部屋が、まるで嵐の後のように静かになった。
「テンションが上がってる時のあの三人は最強だな。」
と俺が呟いたら、三人が黙って頷いていた。
ゆっくりと椅子に座っていると、旅の疲れが出てくる。
あ~あ疲れた。
コン コン コン
扉を叩く音がする。
どうやら俺達は寝てしまったらしい。
俺以外はまだ寝てるし。
コン コン コン
うるせーな、とか思いつつ扉を開ける。
「「「おじゃましまーす。」」」
元気な3人が入ってきた。
風呂に入ってきたのか、この部屋に良い香りが漂う。
「ハイ、みんな起きて。外に行くわよ。せっかく良い所に泊まったんだし、美味しい物をい~っぱい食べましょ。」
「「はーい!」」
反応したのは女性陣で、男性陣は反応できていない。
「起こせ~っ。」
「「はーい。」」
フレシアが指示すると、アビちゃんとマルゴーが男性陣を起こしにかかる。
テンションが低く、うざそうな反応の男性陣。
迫り狂う嵐に、抵抗を試みる男性陣。
だが、抵抗も虚しく、無理やり外に連れ出されてしまった。
オデリアは今、夕方に差し掛かっているところで、まだ明るい。
当然、人通りもまだ多い。
うちらの女性陣は楽しそうだ。
隠れていなきゃいけないマルゴーも、会話だけは(直接頭に響く声を小さくして)参加している。
それに対し、まだ眠たいのか、周囲を警戒しつつも、ダラダラと歩く男性陣。
向かう先は、アビちゃんが宿屋で聞いた、老舗の食堂だ。
砂漠で採れる魚の煮物が名物らしい。
店の前に着いたが、さすが人気店、行列ができている。
やはり、オデリアの人気店だけに、扉の前に屈強なゲートキーパーが二人ついている?
窓から店中を見てみると、客でいっぱ・・・・いじゃない。
客は一組だけ、しかも服装から見て貴族だ。
周りの客もブーブー言っている。
「おい、あそこを見てみろよ。」
リューガルドが俺に近づき、耳うちしして、顎で俺の視線を促す。
リューガルドが指しているのは、店の対面にある、小さな小道だった。
建物の影になっており、暗くてはっきりとは判らないが、人が隠れるように、壁にもたれかかっている。
この景色、どっかで見た事があるぞ。
あれー、嫌な予感がビンビンする。
リューガルド、絶対に行くなよ。
絶対い、く、な、よ。
「どうしたんっすか?リューさん。」
クリスの声がしたと思って、リューガルドへの目線を外してしまった。
あれ、いたはずの場所にリューガルドがいない。
あーあ、やっぱりか。
気がつけば、リューガルドは店の対面にある、小さな筋へ向かっていた。
Respect 新しい学校のリーダーズ/大人ブルー
このグルーブはユーチューブで突然オススメに出てきて知りました。楽曲もいいのですが、ダンスを含めた、パフォーマンスがとっても楽しく、ライブがとても楽しそうです。ユーチューブのコメント欄を見て思ったのですが、もしかしたら日本国内よりも、海外からの評価が高いのかもしれません。
また、彼女達による、Beastie BOYZの名曲、インターギャラクティックのカバーもオススメです。




