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第24話 えっ?

このページまで来ていただき誠にありがとうございます。ようやく更新できました。宜しくお願いいたします。

目の前に続く長い街道。

見渡せば、砂と岩ばかりになり、足首より高い植物がなくなった。

砂漠での旅を、実感できる。


俺達が歩いている街道もかなり人通りが多くなってきた。

国境に接している町らしく、王都フィラインでは見なかったような背格好をしている人達も見かけるようになった。


二人の妖精が仲間になって2週間が経つ。

二人の過ごした2週間は対照的だ。


「おい、ムートン。オデリアまでもうすぐらしいぞ。」


「・・・・・・」


「ムートン、オデリア着いたら何がしたい?」


「・・・・・・」


ムートンはこの2週間ずっとこんな感じだ。

しかも、仲の良かったマルゴーにも同じ態度をとっている。


自分の魔力量が、俺達並になってしまったのがよっぽどショックだったのかもしれない。


親睦を深めようと、俺や他のメンバーが何度も話を振ったが、ほとんど反応が無く、もし反応があったとしても、YesかNoの意思を示すのみだ。


もう一人の妖精ののマルゴーはというと、既に彼女なりに、旅を存分に楽しんでいる。

マルゴーはリューガルドが大のお気に入りで、いつもリューガルドの肩の上に座り、みんなを相手に、あーでもないこーでもないと、ずっと話をしている。

たまにリューガルドが相手をすると「キャ〜ッ、リューガルドが話しかけてくれた〜。ん〜〜〜リューガルド好き♥」と言って、リューガルドの周りを飛び回る始末だ。


そんなマルゴーと毎日のように口喧嘩をしているのがクリスだ。

どうやらクリスは、大好きな師匠をマルゴーに取られて悔しいらしい。

マルゴーが来るまでは、リューガルドの横はクリスの指定席だったもんね。

お前の気持ちは良くわかるよ。


そしてマルゴーに口喧嘩でコテンパンにやられたクリスをフォローするのが、アビゲイルや俺の日課となっている。

クリスと話をする機会が増えて嬉しいのか、アビちゃんは最近すこぶる機嫌が良い。


それにしても、この妖精の姉弟は妖精女王の子供として、かなりのプレッシャーと共に育ってきたのかもしれない。

プレッシャーから開放されて、自由を手に入れた姉と、プレッシャーを正面からまともに受けて潰れかけてる弟。


お姉ちゃんは今の所大丈夫そうだけど、まだ弟くんは心を開いてくれていないので、何かきっかけがあると良いのだが。


一方、うちのブレインであるフレシア様はというと、色々と考える事が有るようで、オデリアが近づくにつれ、口数が少くなってきている。

彼女の頭の中では、オデリア到着後の、しなければならない事やしたい事がグルグル回ってるんだろうな。


そんな雰囲気を察して、フレシアの横が指定席のアビちゃんも、ここ最近、なかなか話しかけられないでいる。


「フレシア大丈夫か?最近、ちょっと雰囲気が暗いぞ。」


「あっ、ハイ、トラちゃんね。気を使ってくれてありがとう。大丈夫だよ。ちょっとオデリアに到着後の段取りを考えてただけ。そんな雰囲気悪かった?気をつけるね。」


「いつも頑張ってくれてありがたいけど、考えすぎるなよ。」


一応フォローは入れたが、俺の経験上こういう時のフレシアは、なるべくそっとしておいた方が良い。

触らぬフレシアに祟りなし(笑)。

この旅に出るまで、本当にそう思ってたもんな。


冗談はさておき、彼女はこのチームの大事な存在だ。

彼女無しでは今の俺達は無いと断言できる。


昔からだが、ここぞという時にきっちりと結果を出すのがフレシアの強みだ。

おそらく、彼女は昔から『最高の結果』を出す為に、『最高の努力』をしてきたのだろう。

彼女が皆んなから信用されるのは、それがバックグラウンドにあるからだと思う。


だから、オデリアでも彼女の働きを期待もしているし、俺も最大限、できる限りのサポートをするつもりだ。


けど、フレシアの奴、明らかに気持ちが入り過ぎだよな。

気持ちが入り過ぎて、精神的に疲れているよな。


そうだよな・・・・疲れた心と体では、しっかりとした仕事ができるはずが無いか・・・・。


よし、今日中にオデリアには到着するから、俺の権限で、明日を休みにして、オデリアをみんなで観光しよう。

旅に出る前に親父から聞いていた、砂漠を泳ぐ魚を見てみたいし、できれば砂漠の王“鬼鯨”も見てみたいな。

鬼鯨の髭と皮は楽器の素材の候補だし。

美味しい物も食べたいし、オデリアの人にいっぱい出逢いたい。

出会った街や人の持つエネルギーを全身で受けて、生まれるのが俺達のグルーヴだ。


そもそも、俺にどれだけの権限があるかわからないけどね。


そんな事を考えてたら、俺がフレシアに話しかけたのを見たのか、リューガルドが小声で話しかけてきた。


「おい、トー。」


「リュー、どうした?」


「フレシア大丈夫かよ。フレシアの悪い癖が出てんじゃね?ありゃ、フレシアの頭の中はパンパンだぞ。」


「だよな、悪い癖が出ちゃってるよな。ちょうど俺もそう思ってた所だ。そこでだ、明日は休みにしてオデリアを楽しんじゃおうか。オデリアを見て、美味しい物を食べようぜ。けど、フレシアが乗り気にならないかもしれないから、その時は援護ヨロシク。」


「おう。協力するよ。」


「トラ兄さん、リュー兄さん、私も賛成です。最近、姉さんに話しかけても、笑顔が無いので寂しいです。クリスにも伝えておきます。」


アビちゃんもかなりフレシアを心配しているようだ。


話が決まれば早速実行だ。


「フレシア、ちょっといいか?」


「えっ、何?どうしたの皆んなで。」


「オデリア到着後の話しなんだけど、・・・・・・・・・」


〜〜〜〜


「皆がそう言うなら・・・・そうしよう!皆心配してくれてありがとう。」


「よし、皆明日は楽しむぞ。」


「「「「「おう!!!」」」」」


「・・・・・ぅん。」


俺の肩から小さな声が聞こえた気がした。


「ムートン、皆で一緒に楽しもうな。」


「・・・・・・・」


「どうした?ムートン。た、の、し、も、う、なっ。」


ムートンはうつむいて、ほんの僅かに首を縦に振ると、そっぽを向いてしまった。


フレシアに笑顔が戻った。

そうなると、皆の雰囲気が良くなった。

そして、俺達の移動スピードも上がった。


俺の肩のムートンも、皆の雰囲気につられて、少しだけ表情が柔らかくなった気がする。

相変わらず、誰が話しかけても反応しないが(苦笑)。


そうこうしていると、オデリアの入口が見えてきた。

思ったより大きいぞ。


国境の町らしく、大きな城壁に囲まれており、入場チェックしている町の入口では、多くの人が列に並んでいる。


1時間後、ようやく俺達はオデリアに入る事ができた。


あービックリした。

多くの人々とレンガ作りの大きな建物。


ここ最近にすれ違った人達の多さと身なりから、町の様子をある程度想像していたが、想像以上だった。


オデリアはオーフェリエ王国に於いて、王都フィラインに次ぐ第二の都市という位置づけだが、多くの国の人が集まり、交易や文化という面では王都フィラインを凌ぐと言われている。


落ち着いていて、重厚な雰囲気の王都フィラインとは対照的に、常に騒がしく忙しい町、そんな印象だ。


先ずは(旅に出る前に王都で加入済の)冒険者ギルドヘ急ぐ。

場所は、町の入口で前に並んでいる人から聞き出し済みだ。


冒険者ギルドは教えてもらった通り、町庁舎の大広場に面していた。


建物が思ってたより大きい。

これは、王都より大きいぞ。


入ってみるると、オデリアらしく人が多く、とても騒がしかった。

俺が知っている冒険者ギルドの景色とは全く違った。


リューガルド達には待っていてもらい、俺とフレシアで受付の列に並び、ようやく俺達の番が来た。


ステルからオデリアまでの行程で狩猟したモンスターの報酬の確認と、預金残高を確認する。

モンスターの報酬は想定通りだったが、預金残高を見て俺は絶句してしまった。

ステルを出る際の預金残高は金貨10枚と銀貨50だったはずだが、金貨30枚と銀貨75枚になっていたのだ。


おいおいおい、おれがフィラインにいる時の収入は1ヶ月に金貨3枚だぞ。

おれがちょっとビビっているのに、横のフレシアは澄まし顔。

“当然”といった感じだ。


「あら、トラちゃん。このくらいのお金でビビってちゃだめよ。これはオリジナルポーション初回ロットの分だけなのよ。オリジナルポーション作りが軌道に乗れば、もっと入ってくる予定よ。ちなみに、この金額は他の必要な費用を差し引いた私達の収入よ。ステルのポーション生産組合にはもっと入ってるはずよ。私達はお金が欲しいから吟遊詩人をやってるんじゃないでしょ。みんなの夢を実現するには、倍以上のお金がかかるわ。その資金は私がどうにかするから、トラちゃんたちは音楽に集中してね。」


笑顔だったが、目だけは笑って無かった。

ほんのちょっとだけ、お金に目が眩んでしまった自分が情けない。


お金の事はフレシアに任せて、俺達は音楽に集中しよう。

自分の精神衛生の為にも、貯金額は知らなくて良いな。

俺は、そう心に誓うのであった。



Respect Bring me life /evanecence


自分のCDラック唯一の女性ボーカルのメタル(?)ロックです。女性ボーカルと男性ボーカルのサビでの絡みが良いです。仕事帰りの、適当な英語でのカラオケが最高な曲です。

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