第19話 池のほとり
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森の町ステルを出てから1週間が過ぎた。
相変わらず俺達はステルとオデリアを結ぶ街道を歩いている。
景色も随分と変わった。
ステルを出てからしばらくの間は、高い木々に囲まれていたが、今は見渡す限りの草原だ。
夕焼けに照らされて、風になびく草原が美しい。
俺達は、砂漠の町オデリアまで、あと3日といった所にいるらしい。
昼過ぎにすれ違った、ステルに向かっている気の良さそうな中年夫婦が教えてくれた。
聞いたのはアビちゃん。
フレシアがしっかりと後ろに付いていた。
森の町ステルまでは、情報収集はフレシアの役目だったが、アビちゃんの加入で、情報収集はアビちゃん担当に代わった。
しばらくの間はフレシアが一緒に付いて、基礎からキッチリと教育するらしく、今回もフレシアがアビちゃんの後ろに付き、自然な感じでフォローを入れていた。
今回も中年夫婦と別れた後、フレシアとアビちゃんで恒例のミニ反省会があり、話かけ方や聞き出すタイミングまで指導があったようだ。
多少厳しい指導もあったようだが、アビちゃんも落ち込む事なく、真剣な表情でフレシアのアドバイスを聞いていた。
こういったメンタルの強さも、フレシアがアビちゃんを連れてきた理由の一つだと思う。
しかも飲み込みが早い。
最初こそギクシャクした場面があったが、場をこなす度に、より自然な笑顔と丁寧な言葉遣いができてきているのが、この俺でも分かる。
では、旅での男どもの役割はというと、リューガルドとクリスは先頭で、俺は後ろに立ち、女性陣を守っている。
基本無口のリューガルドだが、クリスとは馬が合うらしく、前々からも結構喋ってはいたが、ステルでの事件の後からもっと距離が近づき、『クリス』『リューさん』と言いながら、練習の時も含めてずっと一緒にいる。
二人の話題が気になり、休憩の時に二人の間に入り話を聞いていたが、ずっと『音楽』か『戦闘』についての話題だった。
俺はリューガルドと双子だから、当然リューガルドが、好きな事はとことん突き詰めるいわゆる『オタク気質』なのは知っていたが、どうやらクリスもそうらしい。
クリスが、暇さえあればカホンに座って叩いているのは、もちろん練習をしているのだろうが、それ以前に『リズムオタク』になってしまったのだろう。
余った木材で簡単なドラム練習セットも作ったのだが、クリスは俺達の指導の下、一生懸命で楽しそうに練習しているし、3人で合わせてセッションしながら練習している時も、本当に楽しそうだ。
まだ楽器も完成してないし、ベースもいないが『俺達の音』が、おぼろげながらも見えてきた気がする。
これからが楽しみだ。
『戦闘オタク』の面でも日課の戦闘訓練の際に二人して俺に「こういう時はこう動こう」とか「こういった動きはどうかな」とか積極的に言って来るしね。
おかげで、我々の戦闘技術も上がった気がする。
いやー、クリスがメンバーになって本当に良かった。
リューも言っていたが、加入当初はこんなにやるとは思ってもいなかった。
アビちゃんもそうだけど、我がチームに新鮮な風を運んでくれている。
俺も頑張らないと、みんなに置いてかれちゃうぞ。
そんな事を考えつつ、少し暗くなってきたので、今日の野営場所を探しながら歩いていると、街道から少し入った所に、小高い丘が見えた。
見渡しも良く、野営に丁度良さそうだ。
「おーい、今日はここまでにして、あそこの小高い丘で野営しよう。リューガルド、クリス見てきてくれ。」
「おう。」
「ヨッシャー、メシだメシ。」
俺達は、夜に練習をしたり楽器を制作したりと、騒音を出すので、人が近くにいると迷惑をかけてしまう。
野営の際は安全の確保と共に、近くに人がいない事も重要なポイントだ。
クリスが丘の上でOKサインを出している。
「ごっはん〜ごっはん〜♪」
アビちゃんも嬉しそうだ。
「トラちゃん、肉を切り分けるの手伝って、アイテムボックスの中の肉が、大きい物しか無いの。」
「りょ~かいっ。おーいリュー、クリス今日は二人で薪を集めてくれ、俺は晩ごはんの準備するから。」
「おう。」
「オッケーっす。」
二人の姿が丘の向こうに消えた。
間もなくして俺達が丘の上に到着すると、少し下った所に池が見えた。
リューガルドとクリスが、池のほとりにある低木の周りで薪を集めているのが見える。
「やったー、池がある。暗くなっちゃうから、ご飯の準備の前に汗を流したいなー。姉さん、良いでしょ?姉さんも一緒に行こーよ。」
「そうねアビちゃん、一緒に行こう。」
フレシアはハイテンションのアビちゃんに笑顔で頷く。
「悪いけどトラちゃん、肉切っておいてね。」
そう言い残すと、フレシアはアイテムボックスから肉を取り出して、アビちゃんと飛ぶように水辺に向かった。
二人が水辺に着くと、フレシアがアイテムボックスから、俺達が作った目隠し用のプライバシーボックスを取り出し、二人で組み立てる。
組み立て終えると、すぐに女性陣のキャッキャした声が聞こえる。
女性陣の楽しそうな声が聞こえて、クリスが気になるのか、プライバシーボックスをチラチラと眺めているのが、丘の上に居る俺からでも分かる。
「おーいアビちゃん、クリスが覗きたいってよ。」
クリスの様子に気づいたリューガルドが冷やかしている。
「ふざけんじゃねえぞ、馬鹿クリス。こっちには姉さんがいるんだからね。」
「リューさん、やめてくださよ。誰があんな奴の絶壁を見たいと思うんっすか?」
「クリス、テメーなんつった?」
「アビちゃん、気持ちはと~っても分かるけど、言葉遣いは気をつけなさい。」
「すみません、姉さん。でもー。」
「ざまあみろ、アビゲイル。」
リューガルドが腹を抱えて笑っている。
「クリスも言い過ぎだ。女性の恨みは怖いんだぞ。ていうか元はというと二人をけしかけたリューガルドが悪い。お前が謝れ、リュー。」
「そーっすよ。」
「リューさんが悪い。」
「そうね、悪いのはリューちゃんね。」
「えっ俺かよ。・・・みんな悪かった、ごめん。・・・・何か気に食わないな。トーとクリスは戦闘訓練の時を覚えておけよ。俺の恨みも怖いんだからな。」
「返り討ちしてやるよ。」
「リューさん、今日は勝つっすよ。」
「覚えとけよ、二人共ぶちのめしてやる。」
「じゃあ、私達がジャッジをしてあげる。負けた方は、明日のご飯係ね。アビちゃんもしっかりジャッジするのよ。」
「りょ〜かい。」
「何でそうなるんだよ。」
「何でそうなるんだよ。」
「何でですか、姉さん。」
みんなの笑い声が池に広がった。
しばらくして、汗を流した女性陣が戻って来て、3人では晩ごはんの準備に取り掛かる。
後は、リューガルドとクリスが薪を持って来るのを待つだけだ。
「おーい、飯の準備中悪いがこっち来てくれ。見てもらいたい物がある。」
リューガルドとクリスが、水辺から少し入った所で大声を出し、手を振っている。
俺達は手を止めてリューガルドのもとに向かう。
(何があったんだろう?深刻な感じの口調では無かったけど・・・)
丘の上から見ていて知ってはいたが、足もとは膝丈の草むらだ。
「これを見てくれ。」
リューガルドが指を差した先には壊れたほこらがあった。
木材の腐食具合から見て、壊れてからかなり時間が経過しているのが分かる。
石像は、池を眺める様に鎮座されていたのだろう、ほこらの足らしき物があるが、かなり長い。
よく見ると、ご神体らしき石像も転がっている。
こちらも風化がはげしく、元の姿が判別できない状態だ。
「簡単でいいから、俺はこのほこらを立て直したいと思っている。大事な木材を使う事となるが、みんなはどう思う。」
楽器関連と親父の手伝い以外で工作道具を握らない、あのリューガルドが『作りたい』って頼むなんて、何があったんだろう。
「俺は良いと思うぞ。けど、何があった?どうした?」
「信じてもらえるかわからないが、『お願い』という声が聞こえたかと思ったら、景色がふと浮かんだんだ。美しい月明かりに照らされる池とほこら、そして風になびく草原。美しいと思わないか?ここで出会ったのもなにかの縁だ。俺はほこらを作って、俺の頭に浮かんだ美しい景色を、みんなで見たい。」
「しょうがねえな。」
「私、そういうの好き。良いと思う。」
「さっきも言ったけど、おれも良いっすよ。」
「私は、何をお手伝いすればいいの?」
「これで決まったな。みんなでほこらを作ろう。けど、まずはご飯からだ。薪はどうした?」
「みんなありがとう。二人で集めた薪は、もう俺のアイテムボックスに入ってる。」
こうして、俺達は晩ごはんの後にほこらを作る事になった。
先程も確認したが、俺達以外に周りは誰もいない。
当然だが、音も、俺達が出してる以外は、草原が風になびく音と虫の音くらいだ。
けど何故か、辺りが騒がしくなった気がした。
Respect King&Prince/ichiban
最近、かみさんの影響でキンプリを好きになったのですが、イチバンのPVを見てびっくり、ヒップホップダンスがめちゃくちゃ上手いじゃないですか!高橋のダンスのダイナミックさとキレ、平野のダンスのキレと抜きのコントラスト、見応えありました。楽曲のプロデュースはラッパーのクレバ!そう思って聞くと、クレバらしいトラックだと思います。何にでも言えますが『出会い』って良いですね。




