第18話 旅立ち
このページまで来ていただき誠にありがとうございます。今回でステル編が終わります。宜しくお願いいたします。
出発の日、沢山の人々が俺達を見送りに来てくれた。
誰から聞いたのか、大勢のファン達が、旅立つ俺達を見送りに来てくれた。
毎回のようにライブに来てくれた常連の女の子達や、ライブの時に毎回騒ぎを起こさないか心配したヤンチャそうな男達、そして数こそは少ないが、立派な大人のファンの方々、みんなライブで知り合った大事な仲間だ。
女性人気はリューガルド、男どもからの人気は俺と、この構造はどこに行っても変わらないのか(笑)
少し贅沢が言えるのならば、少しだけでいいから俺も女性からの人気が欲しいなー。
とは言っても、野郎ども大好きだぞ。
良い意味で『馬鹿』、いや『純粋』と言っておこう。
その『純粋さ』が俺達のライブを盛り上げてくれる。
無くてはならない存在だ。
見送りに来てくれた人の中には、俺も歌ってみたいとか楽器を弾いてみたいなど、とても嬉しい事を言ってくれる奴らもいた。
お前ら、一緒にライブができる日を楽しみにしているからな。
俺達の演奏で、人に『夢』とか『希望』を与えられる事が嬉しい。
前世でもそうだったが、こういう場面に出会う度に、もっといっぱい『ライブをしよう』とか『歌っていこう』と思う。
そして、それこそが創造主様から俺達に与えられた使命だ。
みんなから抱えきれない程の差し入れをいただいた。
旅は長く野宿もするので、大事に使っていこう。
本当に有り難い。
クリスはデビューして間もない事もあり、ファンこそは少ないが、アビゲイルちゃんと共に、セルスやその彼女のエーテルちゃん、フューリーとルートや孤児院や仕事でお世話になった人達など多くの人々に囲まれ、希望に満ちた面持ちでお別れの挨拶をしていた。
そんな中に少し奇妙な集団がいた。
アビちゃんを遠巻きで見守っている若者達だ。決してアビちゃんに近づく事なく、とても悲しそうに見守っていた。
アビちゃんがその男達に気づいて、笑顔で手を振って大声で「行ってくるね」て言うと、男達は恥ずかしそうに照れた顔で手を振っていた。
きっとあれは、アビちゃんのファンだろうな。
確かにアビちゃんは、ショートヘアがボーイッシュな感じでかわいいし、活発で愛想も良いので、人気があったに違いない。
俺の経験上、ああいう属性が好きな男は大勢いる。
今は違うが、俺もそういう娘が好きな時期が、小さい頃にあった。
これで頭も切れるとなれば、フレシアが連れてきたのも納得する。
現在、彼女はフレシアに付いて1週間だが、何度も怒られながらもめげず、与えられた仕事を一生懸命にこなしていて、確実に成長している気がするし、いつもハキハキと笑顔で人と接しており、アビちゃんの仕事ぶりを見ているととても気持ちが良い。
素直で嫌味無く喜怒哀楽を表現できる所は、彼女の長所の一つだ。
一方のフレシアはというと、オリジナルポーション生産組合の面々や俺らのライブ場所を提供してくれた人々、その他この町でお世話になった人々、偉い人やその代理で来た人など、様々な年代の多くの人々に囲まれていた。
もちろん、フレシアの両手にも抱えきれない程の差し入れ。
まさしくうちらが誇る『敏腕コニュニケーションおばけ』と言って差し支えないものだった。
そんな中でも、一部の若い男達の残念そうな顔があった。
きっと、フレシアを好きだったんだろうな。
けど、失恋の顔というより、寂しそうな顔って言ってもいいかも。
もしかしたら、前世で例えると、アイドルの握手会の後と言えば良いのだろうか、きっと彼らは、次にフレシアがこの町に来たら、嬉しそうな顔をして、「おかえり」って言うに違いないと思う。
あっそうか、という事はフレシアのファンだ。
それにしても、この前のパーティーでも見たが、フレシアにアプローチを試みる男達と、それを彼女がサラリとかわし嫌味なく実務的な話へという状況が目に浮かぶ。
まあ、年頃の男達がフレシアの事を好きになるのも、わからなくもない。
他人から見れば、フレシアは魅力的に映るとは思う。
栗毛でロングヘアのシュッとした美人だし、結構スタイルも良いしね。
あくまでも『黙っていれば』だけど。
いずれにしろ、フレシアの本性を知っている俺は、間違っても彼女をそんな目で見る事はありませんな。
そうして俺達は、みんなとの再会を約束し、森の町ステルを出発した。
背中でみんなからの声援を受けた。
何度もふり返って手を振った。
いつまでたっても止むことが無かった。
気がつくと俺は泣いていた。
周りを見るとみんなも泣いていた。
それぞれの心に刻まれた『思い』。
俺達はその『思い』を歌にして人々に運び、また新たな『思い』を色々な人々から頂いて旅をしていくのだろう。
先ずは良い曲を書こう。
この世界みんなの事を歌っていこう。
Respect パブリック・エナミー&アンスラックス/ブリング・ザ・ノイズ
私が知る最古のミクスチャーロックです。(もっと古い曲があるとは思います)最初聞いた時はぶっ飛びました。かっこよさに何度もリピートしました。彼女(現在の妻)とのデートの際、何回もリピートして聞いていたので、迷惑をかけた曲でもあります。元々はパブリック・エナミーの同名曲です。ユーチューブに両方ともあると思いますので聴き比べしてみて下さい。




