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第16話 抜け目が無いですね

このページまで来ていただき誠にありがとうございます。すみません、更新が遅くなりました。仕事の都合上、年内は更新が遅くなる事がございますので宜しくお願いいたします。

結局、ドレイク=モルス卿は一命を取り留めた。

というか本当に死にそうだったの?と思ってしまうぐらいに、元気だ。


そんな彼は今、一生懸命にフレシアを口説いている。

彼にはフレシアが、瀕死の状態から救ってくれた天使に見えてるに違いない。

まあ、フレシアも黙っていれば美人なんだけどね。


当のフレシアは困った顔で、曖昧な受け答えをしている。


頑張れフレシア。

フレシアだったらこのピンチ?なんて、難なく切り抜けられるさ。


当然、自家製ポーションを飲ませる際にひと悶着あった。

白い本に書いてあるポーションが信用できないという意見だ。


それもそうだろう、素性がわからない奴の、訳のわからない本に書いてある事を簡単に信じる方が馬鹿だ。

相手の立場だったら俺も反対するだろう。


幸い、原材料は入手可能、というか少し探せば見つかるような葉っぱ5種類(薬効があるなんて誰も聞いた事が無い物)を準備し調合すればいいだけであった。

しかし、葉っぱ5種類の調合の割合が繊細で、時間が無く慌てている事もあり、調合には苦労した。


そこで、できた自家製ポーションをまず俺とフレシアで試飲して、異常が無かったらモルス卿に飲んでもらうという案を俺たちが提案し、それが採用された。

時間も無く、従者も見つかって無いこの状況で考えられる最善の策を取った形だ。


幸い、原材料に毒があるとされる物が無かったのも大きい。


早速、先程作った自家製ポーションを少量飲んでみた。

少し青臭いが思った程不味くはない。かえって、口の中がすっきりする、爽やかな味だ。

飲んだ途端に、今日の演奏の疲れはある程度無くなった。


「トラちゃん、これ凄く効くね。良いじゃんこれ。けど、これって甘くなったらもう少し美味しく飲めると思わない?」


フレシアが俺に近づき、小さな声で喋りかけてきた。


「けど、あまり効かなくなるんじゃない。」


「ちょっと、良い事を思いついたのよ。後で、実験してみる価値あるわね。」


フレシアはまた何か思いついたらしい。

ほんと、スゲーなフレシア。


飲んでしばらくしたが身体に異常は見られなかった。

この時点で、モルス卿の具合も良くなっておらず従者もまだ見つかっていなかった為、お偉い様方にはかなり苦渋な決断になったが、俺達のポーションを飲ませる事になった。


タンカレイ卿の従者がモルス卿に俺達のポーションを飲ませた。

固唾をのんで見守る周囲の人々。


モルス卿の顔色が見る見るうちに良くなっていった。

意識がはっきりしてきたのか、自分の体の色々な所を触って無事かどうか確認していた。

しばらくして、モルス卿がすくっと立ち上がった。

もう大丈夫みたいだ。


「皆さんありがとう、ご心配をおかけ致しました。もう大丈夫です。私としたことが油断しておりました。」


その瞬間、扉が開いた。

リューガルドとクリスだ。

それぞれ、モルス卿の従者らしき人を抱えていた。


二人ともモルス卿と同じ様な状態で衰弱しており、急いで俺達のポーションを飲ませた。

しばらくして、二人も無事回復した。


リューガルドによると、従者達はトイレの用具室に口を塞がれ縛られた状態で見つかったそうだ。


モルス卿達には着替えてもらい、戻ってきてから3人に話を聞くと、アフターパーティーの途中に、かなり酔っ払ってご機嫌な若い女性が話しかけてきて、しばらく談笑をした後、別れ際にハグをして去っていった事があったらしく、それ以外心当たりがないという。

ちなみに女性とは面識は無く、一日を通してアフターパーティーで初めて見た顔だったらしい。

背格好や服装を聞いてみたが、誰も思い浮かぶ人物がいなかった。 


それにしても、フレシアが呑んでなくって良かった。

もし、フレシアが呑んでいたら俺達が疑われてたもんな。

頑張り屋のフレシアが、こんな日に呑むなんてありえないか。


女性が去ってしばらくして、従者二人ともお腹が痛くなりトイレへ行ったところで、周囲が暗くなり平衡感覚がなくなるトラップ型の魔法陣(!)を使われ、気がついたら気分が悪い状態で身体は縛られている状態だったようだ。


俺は今回使われた、トラップ型の魔法陣が気になり、王都で俺達がダリオ達に魔法陣を使われ、瀕死の重傷を負わされた事や、本を取りに帰る際に、ダリオらしき人物に魔法陣を使われた事をなるべく詳細にモルス卿やタンカレイ卿に伝えた。

当然、リューガルドも本人の目線で、ダリオの知り得る情報を事細かく伝えていた。


俺が本を取りに帰る際の出来事を聞いて、リューガルドが顔を真っ赤にして怒っていたっけ。

後で宿屋に帰ってから、みんなにダリオと会ったら冷静になって対処しないと、あいつの殺人術で確実に殺されるとアドバイスしておこう。


俺達がミュージシャンとして腕を磨いている以上に、あいつはアサシンとして腕を磨いている。

ダリオは、おそらく実行犯グループのリーダーもしくは、それに準ずる立場になった可能性がある。

町で対峙した時のダリオは、その位の怖さと風格があった。

モルス卿達に毒を盛った可能性のある女性はダリオの部下の可能性が高いと俺は考える。


結局、この件はモルス卿が持ち帰り、国が動くように働きかけるよう国王に話をし、タンカレイ卿もこの街を統括している者の責任を持ってこの件を捜査する事で話はついた。


お披露目パーティーは事件が起こった事もあり、これで終了となり軽い締めのあと、ほとんどのみんなが帰って行った。

モルス卿一行も、毒からの回復直後で当然すぐに帰ると思われたが、モルス卿の「命の恩人のフレシアにお礼が言いたい」と言って聞かず、現在に至るのである。


従者の人たち帰りたいんだろうな、モルス卿が「まだ帰らない」って言った時、慌てた表情をしてすぐに帰るように必死で説得してたもんな。


今、従者の人達は仕方なくモルス卿とフレシアを警護し、タンカレイ卿とフルストさんも帰れずに残っている。

従者の人達は事件直後だという事もあり、真剣に警護しているが、明らかに表情は疲れている。

まあ、疲れた表情はモルス卿以外みんな一緒か。


従者の方々はじめ、まだ帰れない方々お疲れ様です。

正直に言うと俺も同じ気持ちです、早く帰りたいです。


「モルス様、ありがとうございます。」


そんな中、フレシアの明るい声が会場に響いた。


モルス卿がタンカレイ卿とフルストさんを呼ぶ。

俺達もフレシアにご機嫌な声で呼ばれた。


俺達の周りには今回のパーティーのVIPが集まっている。

帰れなかった人達でもあるが。

そんな中俺達は改めて自己紹介をした。

その後、フレシアが満面の笑みで言った。


「ねえ、リューガルド、トーランド、クリス。あのポーションを安定して生産できるようにしたら、フルスト様を通してモルス様が全て買って下さるそうです。」


おいおいおい、ホントかよフレシア、今日は本当に凄いな。

って生産はどうするんだよ。

まあ材料があれば、切羽詰まった状況の俺達でも作れたんだから作れない事は無いけど、生産はどうするんだよ。

俺達だけで大量に生産するのは無理だよ。

人も足りないし、俺達はお金も必要だけど、一番やりたいのは『ロック』なの。


とは言ってもフレシアは、言い出したら中々曲げないので、恐る恐る生産はどうするのかをフレシアに聞いてみる。


「それは思い当たりがあるから、調整する時間をちょうだい。リューガルド、トーランド、クリスには悪いけど、すぐにこの町を出る予定を変更して、この町を出るのはこの件の調整が済んでからにして下さい。」


と頭を下げてお願いされた。


『本日のMVPフレシアからのそういうお願いだったら仕方がないよね』という表情でリューガルドとクリスに目配せをする。

どうやら異論は無いようだ。

もっともそれ以前に、いつも俺たちを影になって支えてくれてるフレシアから、あの口調で頭を下げてお願いされたら、断る訳にはいかないだろう。


という事で、この町に滞在する期間が増えた。

木材が入手できたらできた時間で、楽器の制作に取り掛かるとしよう。


Respect 雷霆RAITEI/NEMOPHILA このバンドはマツコの知らない世界で知りました。バンドメンバー全員が女性で、結構ヘビーで激しい音を出すグループです。もっと有名になっても良い思います。深夜系アニメの主題歌とか合うんじゃないかな?是非聞いてみて下さい。かなりカッコいいですよ。

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