第14話 結婚パーティー
更新が遅くなりました。これから年末にかけて仕事が忙しくなるので更新が遅れる場合がございますが、必ず話は完結させますので、できればお付き合いよろしくお願いします。
パーティーは終了し、引き続きフルストさん邸でアフターパーティの最中だ。
パーティーに出席していた人々はほとんど帰る事なく、談笑している。
俺達はというと、ずっと演奏していて腹が減ったので、とりあえず食事をとっている。
それにしても旨い。
やっぱり、メニューが豪華だな。
リューガルドとクリスも無言でガツガツ食っている。
反省会をしようと思っていたが、今は無理だな。
演奏の手応えは十分だった。
俺達の名前売れたんじゃないかな。
バンド名考えておかないと。
主催者のフルストさんが、パーティー終了後すぐに俺達の所に来て、興奮しながら『ありがとう、ありがとう』と言いながら、俺達の手を握って離さなかった。
後で話があるらしく、待っていて欲しいとの事だった。
とても楽しく充実した仕事だったが、正直疲れた。
話ってなんだろう。
実は、ほぼフレシア発案のパーティープラン。
当然、俺達のする事は演奏だ、しかしエンターテイメントに乏しいこの世界に於いて、ここまでしたら逆に引かれるんじゃないかと思ったが、ここまで上手くいくとは思っていなかった。
それにしても参加者、料理共に凄かった。
フルスト邸を解放して行われたパーティーの参加者は200人超。
地元の名だたる商人、名士、及び、この町を統括する貴族であるエドバルト=タンカレイ、この町の有名人全てが揃ったといっても過言ではなかった。豪華なメンツが揃ったものだと感心した。
しかし、俺を含め出席者全員が驚いていたのは、シークレットゲストとして特別招待されていた、この国の主要大臣の一人で、この地方を統括する貴族のプレジブ=モルスの代理として出席していた、次男のドレイク=モルスの存在だ。
貴族であるモルス家は、オーフェリエ王国建国以来、主要な役職に着き王家を支えてきた、この国を代表する四大名家の一つだ。
以前からフルストさんには、有力な貴族と付き合いがあるらしいという噂があったが、こんな上のクラスの貴族とは思わなかった。
本当にびっくりした。
周りを見ても、俺と同じ反応をしていた。
最近この国は、権力争いで有力な貴族の暗殺や暗殺未遂が頻発している為、有名人だらけのこのパーティーは、会場全体だけではなく、貴族それぞれにも、警備を付け厳戒体制を敷いた上で開催された。
そんな中でパーティーは、新郎新婦と打ち合わせをして、馴れ初めやそれぞれの思いを聞いて作った詩を、この町に伝わる樵の歌のメロディにのせて歌う事から始まった。
歌い終わってから、軽快な入場曲にのって、綺麗にドレスアップした新郎新婦が入場。
会場は割れんばかりの拍手で包まれた。
当然、ここまでの流れはフレシアの発案。
その後、中盤まではBGMに徹した。
最近、俺は歌に専念していたので、久しぶりにガッツリ弾くリュートは正直疲れた。
そして、終盤のライブではエンジン全開で今の俺達が出来る事を全てぶつけた。
フレシアと長時間練ったセットリストと、カホンが入る事で、よりノリ易くなった俺達の演奏が功を奏し、ライブは大盛り上がりだった。
クリスのデビューは、最初こそ緊張で固くなり、細かい失敗がいくつもあったが、全体的に見れば、概ね上手く演奏していたと思う。
ライブ終盤には、観客を前にした演奏を楽しんでいた。
クリス頑張ったな、お前の演奏本当に良かったぞ。
特に、クリス最大の見せ場、ライブ中盤でのソロは、必死の努力の結果が出たと思う。
普段の街角ライブでは、見向きもしてくれない様な人も、リズムを取ってくれていたし。
このパーティーで一番に盛り上がったのは、フレシアが発案した、新郎新婦がライブ最後に仕掛ける、サプライズだった。
曲が終わると、俺が新郎新婦を演者側に来るように促した。
突然の事にざわつく会場。
俺もリュートを持ち、リューガルドと一緒にオープニングで弾いた樵の歌のメロディーを弾いた。
新郎と新婦が演者側に並んで立つと、
ポケットから手紙を出した。
新郎が両親に感謝の気持ちを読みあげる。
フルストさん夫妻は最初びっくりしていたが、内容を聞き涙ぐんでいた。
新郎が読み終え、新婦の番になったが、泣いてしまい手紙を読む事ができない。
そこで、新郎が機転を効かして代読をした。
(実はこの場面もフレシアの想定内で、段取りはあらかじめしてあった)
新婦のお父さんが大号泣。
会場からも、もらい泣きの声が聞こえた。
そして、ご両親にも演者側に来ていただき、最後の曲はこの町に伝わる樵の歌で締めた。
会場のみんなで大合唱だった。
正直な話、俺はライブ最後の曲は、明るくて楽しい曲にしたかったのだが、演奏終了後の観客の反応を見たら、これが正解だったと思う。
一連の流れを見てみると、このパーティーははフレシアプロデュースと言っても過言ではないな。
さすがフレシア様、有能でございます。
けど、これって俺の前世の日本の結婚式スタイルではないのか?
リューガルドも『これって、日本の結婚式じゃないのか』って、俺と同じ事を言っていたし。
この前の件といい、やっぱりフレシアは何かを隠してそうだな。
一方フレシアは、パーティー会場で得意のコミュニケーション能力発揮し、大海の魚のごとく人から人へと自由に泳ぎ回っていた。
どうやらこのパーティーには、俺達の旅の目的地である、砂漠の町オデリアの商人を始め、王都で食堂を数件経営している人など、挨拶しておきたい人が数多く出席しているらしく、本日の彼女は気合いが入っていた。
フレシアには普段、俺達のサポートで頑張っているから、美味しい料理を食べたり俺達の音楽を聞いたりして、パーティーを純粋に楽しんでも良いと思ったんだけどね。
フレシア、俺達の為にいつもありがとう。
是非、次の目的地オデリアに繋がりをつくって、できればライブ場所の確保をお願いします。
って思っていたら、実際に取って来ちゃったよ、彼女。
宿屋と食堂が近くにある元食堂だって。
つまり空き家、住み込み可。
それって、ライブハウスって事だよね?
おいおい、上がちゃうぞ。
あー早く楽器とメンバー揃えて、バンドやりたいな。
彼女はこのパーティーで目論通り、オデリアで大手の魚問屋に挨拶する機会を得て、俺達の演奏をBGMにライブ件練習場所の話をして、元食堂の空き家の話を引き出したらしい。
条件は魚問屋の娘さんの為にライブをする事と、ライブ開始の際に魚問屋さんの紹介をする事だって。
魚問屋の娘さんはちょっと前ににステルに遊びに来た際、俺達のライブを観てくれたらしく、それ以来俺達の(特にリューガルドの)ファンらしい。
オデリアに帰ってきた娘さんはずっと俺達の話をしてたとか。
どの世界でも、父親は娘に甘いんだね。
本来このパーティーに父親だけ出席の予定だったが、父親がステルに行くという情報を母親から入手した娘さんが、半ば強引に付いてきたらしい。
その話をフレシアから聞いた時ピンとくる人がいた。
ずっと俺達の近くで演奏を聴いてくれていた娘さんがいたよな、きっとあの娘だろう。
フレシアが、俺達の演奏が終わったら連れてこようかと娘さんに聞いた所、『無理、無理、絶対に無理』と言って聞かなかったんだって。
けど、俺達も魚問屋さんに挨拶しておきたいし、フルストさんの用事が済んだら魚問屋さんにに会いに行こう。
娘さんはどんな顔をするかな。
フルストさんまだかな?
フレシアは報告したらまた、どっかに行ってしまった。
まあ、彼女はチャンネル作りに勤しんでるのでしょうね。
あれ、何か会場の中心でざわつき始めたぞ。
どうやら、VIPゲストのドレイク=モルスさんが、今まで元気にお酒を飲んでいたのに、急に酔いがまわったのか倒れたんだって。
野次馬根性でみっともないが近づいてみる。
なんと、ドレイク=モルスさんを介抱しているのはフレシアだった。
Respect HARD-Fi/HARD TO BEAT この曲はブックオフでジャケ買いして知った曲です。軽快なブリティッシュロックです。アメリカンロックとブリティッシュロックの違いって、バーボンとスコッチウイスキーの違いと似ていると思うのは自分だけでしょうか。




