第13話 できる人
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「ごめんね、勝手にトーランドの大事な本を読んじゃって。あの勉強嫌いの二人が、熱心に毎日のように見たり、音楽を聞いている『白い本』、前から気になってたんだ。文字は何が書いてあるか分からなかったけど、本と一緒に置いてあった魔石を持って本を読んでいたら、偶然音が鳴ってビックリしちゃった。今まで聞き流していたけど、ちゃんと聞いてみたら良い曲がいっぱいあるじゃない。二人がやっていた曲もあるし。」
フレシアはやけに早口で、とっても気まずそうだった。
焦っている彼女をを久しぶりに見た気がする。
そう、リューガルドのベッド事件以来だ。
もう10年位前だろうか、俺達が帰ったらフレシアがリューガルドのベッドで寝ていた事があった。
フレシアが言うには、フレシアは俺達より帰りが早く、いつも通り俺ん家に上がり込んで、俺達を待っていた。
しかし、いつまで経っても俺達は帰って来ず、眠たくなってその場で寝てしまい、
寝たフレシアを見たうちの親が、気を利かしてリューガルドのベッドまで抱えて行き、寝かしたそうだ。
フレシアが、リューガルドのベッドの上で、帰って来た俺達に、焦った表情の上、早口で、そんな感じの言い訳していたっけ。
やはり、今回もちょっと怪しいな。
「ところでフレシア、『えーあの曲もあるじゃない。』って呟いた気がしたけど、何て言ってたんだ?」
リューガルド、ナイスな質問だ。
リューガルドにも聞こえてたんだな。
俺もその一言が、気になってたんだよね。
フレシアは一瞬だけ目を閉じて止まったかの様に見えたが、目を開いて、フッっと鼻で笑う
「そんな訳無いじゃない。確か、『へーこの曲も聞いた事ある』って言ったのよ。『聞いた』って部分が小さくて聞こえなかったんじゃない?練習やライブでやってたの聞いてたし。」
「おい、ライブ観てたのかよ。」
「それは当然だよ、トラちゃん。二人がやっている曲を知らないで、場所なんか決められないよ。二人の近くで聞かなかったのは、二人を客観的に見て、観客の反応を見たかったのと、邪魔をしたくなかっただけ。」
その後、少し詳しくフレシアから見たライブの感想や、観客の反応を聞いたが、やはり、嫌な顔をして遠目から見ている人達が、ある程度いるものの、観客には大好評なようで、ライブ終了後、みんな楽しんだ表情で賑やかに帰っていってくれているらしい。
しかしフレシアには、演奏中たまに、俺達と観客とのテンションのズレを感じるらしく、その点は改善した方が良いと言っていた。
やはり、フレシアも感じていたか。
帰り道で、リューガルドとも話したが、観客のテンションが上がってくると、どうしても、前世での熱狂的な盛り上がりをみせるコンサートの記憶がよみがえって、俺達のテンションが上がり過ぎちゃうんだろうな。
俺達はこの世界では無名の新人なんだから、しっかり観客の反応を冷静に見てライブを盛り上げないと。
クリス以外にも新メンバーをいれる予定なんだから、俺達がしっかり冷静でいないといけないな。
また、場所を提供してくれた方々にも大好評みたいだ。
近接する店の客が増えるらしく、店を構える人達にも俺達の名が広がっており、ライブの依頼も増え、ライブの場所探しがかなり楽になったそうだ。
フレシアにスケジュールを見せてもらったが、予約がかなり入っていた。
本当にありがたい。
そして、今日のクレームの件だが、フレシアは今夜は用事があってライブには来れなかった。
フレシアに今日のライブでうるさいと言われた事を話し、場所選定の際に場所の提供者に説明してもらう事となった。
「あっ、そうだ。リューちゃん、トラちゃん、スケジュールしっかりみてくれた?2週間後の日曜日、気にならなかった?」
「ああ、フルストさんの息子の結婚式な。日頃、ライブ場所の提供でお世話なっているから、フレシアが出席するか、プレゼントを持っていくんだろ?」
「リューちゃん、半分正解。残りは?はい、トラちゃん。」
「もしかして、俺達が演奏するの?」
「さすがねトラちゃん。大正解よ。しかも報酬有りよ。褒めてちょうだい、私、頑張ったんだから。フルストさんの所に、日頃ライブ場所提供でお世話になっているから、お礼に行ったのね。そしたら息子さんが結婚するって言うじゃない。パーティーするの?って聞いたら、友人や普段お世話になっているお客さんを呼んで、御披露目パーティーするって言うから、私が二人の演奏で盛り上げるのを提案したの、そしたら話がトントン拍子に進んじゃって。演奏はパーティーの間ずっとよ。当然だけど、場面に応じた曲目でお願い。パーティーの進行予定も聞いているから安心してね。もちろん最後にライブもあるわ。大いに盛り上げてね。この町きっての木材卸、フルストさんのお客さんよ、今後にもつながるかもしれないから気合いを入れてね。じゃあ私、お風呂まだだったから、入ってくるね。」
そう言うと、手早くお風呂の準備をして、出ていってしまった。
リューガルドもリュートのメンテナンスがあると言って外に出て行った。
一人で何しよっかな?
それにしても、フレシア凄いな。
いわゆる世間話から仕事を取ってきちゃうんだもん。
今回の旅にフレシアが一緒だったのは、大正解だったな。
フレシアが、場所取りとスケジュール管理をやってくれるので、俺達は音楽に集中できる。
今回のフルストさんの仕事だってそうだ。
俺達だけだったら絶対にもらえてない仕事だ。
パーティーの演奏の仕事は、正直とても嬉しいけど、何か気持ちがモヤモヤする。
ああ、そうか、俺の疑問は、フレシアがなぜ白い本の曲を知っていたのかだった。
フレシアに逃げられちゃったかー。
論点をずらされて、うやむやにされちゃった。
また、彼女の術中にはまっちゃったか。
やっぱり口では勝てないな。
フレシアは頭の回転が良いので、口喧嘩で相手から攻められた時のディフェンスが上手い。
相手を正面から論破もでき、論点をずらして逃げる事もできる。
だから、俺なんかフレシアに口喧嘩で一回も勝った例が無い。
次こそはとは思うけど・・・・
けど、絶対に何か隠してるよな。
まあ良いか、今日のところは、大きな仕事を取ってきてくれたから、追及するのは止めておこう。
次に尻尾を出したら、俺達への隠し事を絶対に吐かせてやる。
という気持ちだけは持っておこう。
そして、フルストさんの仕事が終わって、楽器用の木材が手に入ったら、タイミングを見て、オデリアに向けて出発したいな。
リューガルドとしっかり話をしないといけないが、嫌とは言わないだろう。
クリスも仕事の段取りがついてるらしく、いつ出発しても良いって言っていたしな。
セルスも木材探しを頑張ってくれている。
何回も打ち合わせを重ねているが、少しずつ頼もしくなってきた。
俺達好みの木材が早く見つかるといいな。
あーあ、楽器を揃えて、メンバーも集めて早くロックがやりたいな。
リュートとカホンでできない訳じゃないけど、前世でやっていたようなロックがしたい。
よし、今日は寝て明日に備えよう。
千里の道も一歩から、明日も充実した楽しい日になると良いな。
まずはバンドメンバー
全員(とはいっても3人だけどね)でフルストさんのパーティーでする曲の打ち合わせとその曲の練習だ。
俺はフルストさんのパーティーで、クリスをデビューさせようと思っている。
リューガルドも言っていたが、カホンが入る事で音に厚みが出た。
いよいよクリスのデビューだ。
クリスよ覚悟をしとけよ、厳しくいくからな。
L'Arc~en~Ciel/夏の憂鬱
夏休みも終わりましたね。こんな気分の人も多いのではないでしょうか。 CDラックで見つけて懐かしさ半分で聞いたら、10年ぶり位にラルクにはまりました。、HYDEの声が良いです。唯一無二の声の持ち主だと思います。




