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[18万pv突破〕異世界逆襲談 貴族パーティから追放された平民のアサシン。屈辱を与える為の成り上がり  作者: ディケー
お家取り潰し

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第70話 役作り

第70話 役作り


「優しさって何!? 強い人のふりをしてこの場をやり過ごそうとした卑怯者を逃していいの!」


「わー、すごい言われよう。強い人の褌を借りても良いでしょ? 別に減るもんじゃないだろうし」


 茶化すように言った一言でさえ、やるせない怒りに腹を立てているプルエアの精神を逆撫でするには充分なようで、機嫌の悪い犬のように今すぐにでも大きな口を開けて噛みつきそうな具合だ。


「考えてみて。マジックバックを見てわかるようにマスターは何らかの方法で空間の魔力を保持してる。遠く離れた場所から魔力を送ることができるなら、攻撃魔法だって、『放出』以外の魔法も組み込めた筈。それこそ、空間の魔力で私たちの身体を抉り取る魔法とかをね」


「え!? 手を開いて攻撃しようとしたのってチープな『放出』での魔弾!? 私はてっきり、身体を潰されるのかと....」


「チープで悪かったわね!!像がうまく投影できなくなってただでさえ不安定なんだからね!組み込んであるチープな放出の魔法を的確なタイミングで発動させるのも大変なんだから!?」


 無意識になじっているプルエアに過敏に反応し、互いを睨む間ではバチバチと火花が散っていた。


「で? なんでこんな男か女か分からないような奴が施そうとしている優しさって何!!「


「言葉に気をつけて!」


「はぁ!? こんな奴に優しい言葉を掛けてあげる必要ある!? ないよね!!」


「いや、絵面と立場的に仮にも爵位を持った貴族が荒々しい言葉を使うのは....」


「そうよ!そうよ」


 優しく宥めようとするキノにマスターが同調する。


 などと体裁のことを心配するのだが、本人は気にも留めていない。よっぽど感情が高まっているのか、頭で思いついたことを直結している口でそのまま発している三歳児のようであった。


「固定術後やまじないの類は陣の大きさによって、組み込める命令式が大きくなる。このサイズなら高度な映像を映すんじゃなくて殺傷力の高くて魔力をさほど消費しない命令式を沢山組み込めた。つまり、マスターがその気になれば私は死んでた」


「だったら何でそうしなかったの?」


「言わない」


 そこまで把握した上で、口を開かない。問いをそっけなく返したせいか、プルエアの怒りはグツグツと煮えたぎっていた。


「ずっとこの調子だけど、どうするの?」


「黙るんじゃなくて、言わないって言ってる。そして、私を殺せたのに殺さなかった。だから、これ以上深入りしない」


 プルエアとは対照的に流れるように自分の意見をサラリと述べる。


「キノはそれでいいの?」


「私を助けるように色々なアイテムをくれた。敵じゃないし、今は踏み込むなって意味にもとれるから今はいいや。名前しか分かってないマジックバックの開発者を見つけて功績にしようと思ったけど別の功績で大公を目指す」


 溜息混じりに肩の力をストンと抜き、困ったような表情を浮かべる。


「案外、さっぱりしてるのね」


「もう時間切れ。こうでも言わないと自分を納得させられそうにない」


 店主を指差すと、光の粒子になって姿がゆっくりと消えていっていた。


 小さな光に分解される。影である像はかき消されてもうすぐこの術式は機能しなくなる』


「私なんかより貴方の方がいいもの持ってんだから、これから頑張りなさい....」


「ありがとう」


「何も言う気なかったけど、ここまで見透かされたならしょうがない。ヒントをあげるわ」


 自分を納得させたとか言っとおいて、キノの瞳がギラリと光る。待ってましたと言わんばかりの眼光だ。


「私みたいな魔物を使った防具店は勝手に営業してたら絶対問題になる。それに、こんな大それた事国が把握してないわけないわよね?」


「どう言う事!? 国に認可されてるの!?」


 プルエアが声を荒くし、問いかける。


「悪いけど、ヒントはこれだけそれにキノちゃんは何か思うことがあるみたいよ?」


 プルエアがキノの方を向くと、難しい顔をして考え事をしていた。


「最後に良い事教えてあげる。大公になると、あそこに行ける」


 店主が指さした先は王領の城。国の中心地から聳え立つ巨大な象徴だ。


「そうすれば私のこともわかるんじゃない?じゃあ、頑張って!」


 そう言い残し、空気に消えていった。


 頭の方からゆっくりとじわじわと消えていき、キノが撒いた鱗粉も次第に光を失っていった。


 防具店の爆発にその跡地で何やら口論する女の子達の姿は近隣の住民からよっぽど煙たがられたのか、奇異の目で見られる。


「キノ、どうする?なんか色々な人が集まり出して来たけど、これひょっとしなくても私達が爆発させたと思われるんじゃない?」


「ひょっとしなくてもそうなる。最終手段使うから任せて」


 何やらこうなる事を予想していたのかこの場から逃げ出す算段があるようだ。


 急に崩れるようにその場に座り込み、目を擦りだす。


「ふぇーん、痛いよー。買い物してたら急に爆発して身体中が痛い〜」


「は?」


キノのキャラクターが崩壊した臭い芝居を見るや否やプルエアの口から漏れる。そんな臭い芝居でこの場の者たちが満足するはずが....


「それは大変ですねー!!今すぐに私が治療いたします!! 酷い火傷もあるかもしれません!!このラウンジの2階を丸ごと診療所として使ういますので!!後、野次馬も消えてください!うるさいと治療に集中できませんので!!」


 ラウンジの2階から勢いよく降りて来たユエルがそう叫ぶと野次馬達は次第に減っていき、誰もキノ達の事を気にかける者は居なくなった。


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