第2話結婚してください!何でもします
「女の子が降って来たああああ!」
叫びながら自宅へと急ぐ。
同時に絶叫を聞いたコボルト達が畑やそこいらから集まってくる。
並走する毛並みと一緒に家へ飛び込んみとりあえず女の子をベッドにおろす。
気を失っているのがわかるがどうすればいいのかわからず、右往左往しコボルト達も同じくワフワフと騒ぎ始める。
「ワオオオオオン!」
騒いでいると、うるさいよあんた達!と言うかのごとく扉が開かれ赤ん坊を抱いたコボルト達が現れた。
母コボルト達はすぐさまベッド上の女の子に気がつくとズンズンと男衆をかき分け
ていき、慣れた手つきで少女が装備していた革鎧を脱がしていく。
やがて鎧の中からインナーが現れ抑圧されていた膨らみが存在感を放ち、それを見たクリフはゴクリと息を呑む。
「ワオン!」
それを見た母コボルトの出ていけ!と言うかのような鳴き声と眼差しがクリフと男衆にぶっ刺さり、すごすごと退散した。
自宅の外に追い出されたクリフは、さっきまで女の子を抱えていた両手を上げたり下げたりする。
コボルトとは違う感触と重さを、さらに先程見た光景を思い出す。
なぜ、これほどまでにドキドキするのだろうか?
今まで感じたことのない感情に戸惑う。
それを見たコボルト達は体調が悪いの?としきりにクリフのお腹や頭をぷにぷにとなでるのだった。
「ううん・・・・・・」
実家で飼っている犬のようなにおいがする。
あれ?そういえばなにをしていたのだろうか・・・まどろみから覚めてみれば見知らぬ部屋にいた。
木材を基調とした小屋と呼ぶべき広さのそこは魔術師の小屋のようであった。
壁に吊下げてある謎の草束、隅に積まれているやたらピカピカと光る石、きれいに畳まれた革鎧と装備一式。
「革鎧・・・は!」
あわてて自分の体を確かめる。なにもされていないに安堵しつつ再び室内を確認していく。
どれくらい眠っていたのかわからずとにかく外に出ようと扉に近づいていきいざ開けようとするとガチャリと扉が開いた。
「わふ!」
扉から出てきたのは真っ白な二足歩行するわんこだ、それも自分が知るような獣人と違ってとても小さな。
あら!起きたのねというかのように吠えたわんこは自分をベットへと小さな手でズイズイと押していき。抵抗することなくベッドに座らされた。
「ワンワン」
「ありがとうございます?」
そしてわんこは近くにあった鍋からスープをよそいこちらへと渡してきた。とりあえずお礼を言いつつ受け取るとわんこのしっぽがブンブンと揺れ始めた。
かわいいいいいい内心悶えつつもスープを口にする。
「おいしい・・・」
芋を主体としたスープであろうそれは、今まで食べたどの料理よりもおいしかった。一口口に含めば濃厚なうまみが広がり、二口飲めば香草のさわやかな風味が口を駆け抜けいつのまにか器が空っぽになっていた。
「わふうう」
しょうがないわねとわんこがスープのお代わりを注ぎにいっていってくれる。
わんこがベットのそばから離れている間に部屋の窓から外を見ると真っ暗なことから今は多分夜である事が分かる。
だが、それよりも大事なものを見つけた窓の下枠ギリギリにピコピコと耳が見え隠れしていたの。
きっと外にはわんこパラダイスがひろがっているに違いない。
私はふらふらと扉に近づいていき扉を開け放った。
目の前が真っ白になった。
直後部屋へとなだれ込んでくるわんこの洪水。扉いっぱいまで押しかけていたのだろう毛だまがどんどん小屋へと転がってくる。
私は全身わんこまみれになっていた。
発掘中「ワンワン」
顔に張り付いた子わんこをはがされ名残惜しく楽園が去っていく。ぞろぞろと白い波が引いていき、わんこの山から私と同じぐらいの少年が発掘された。
目を回している彼をわんこが肉球でぺちぺちとたたき正気に戻そうとする
{わたしもあれやられたい・・・}
少年なかなかめを覚まさない、あっ服の中から子わんこがでてきたうらやましい。
やがて二匹がかりのぺちぺちのおかげか少年が目をさました・・・とおもったら今度はこっちを向いてボーーとしはじめた。
でてきた子犬がよじよじと頭にのぼってきてるうらやましい。
「あの!」
「ひゃい!」
こえをかけてみるとびっくりしたかのような奇声がかえってきた。
「「えっと・・」」
あの今度はお互いが同時に話しかけてしまう。
「そちらからどうぞ」
とりあえず相手側を勧めてみる。
「えっでは。そのーえーと」
こんどは相手さん急にどもりはじめた。言葉を選んでいるのかうんうんと唸ったと思えば、今度はブンブンと首を横に振ったりしはじめる。
顔をみると額に汗が光り熟考の様子がうかがえる。ついでに頭のうえにしがみついてるわんこがかわいい。
やがて、決意が固まったのかこちらに向き直り。
「結婚してください!なんでもします!」
頭がまっしろになった。
ポカーンとする私。
そしてわんこ達も固まっている。
さらには言い放った本人もポカーンとしてる。
「きゃうん!」
彼のあたまの子犬が一鳴きし現場が正気にもどる。
「ワンワン!」
「「「「「「キャウン!」」」」」」
呆然となっている彼はわんこ達に引きずられていき。
部屋には固まった私のみが残された。