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芸術に関連する作品

わくわくする小説とそうではない小説

作者: 恵美乃海

  04.4.16記  


 読んで最も面白いと感じる小説は、キャラクターに魅力があって、登場人物の会話、作者の語り口が面白く、そしてユーモアに溢れた小説だ。  

 こういう小説に当たると、もう一気に読んでしまわないと気がすまなくなる。  


 これらの条件を満たす小説を書く作家は、当然、私の知る限りという限定はあるが、一に田中芳樹。そして司馬遼太郎。


 田中芳樹は、その面白さにかけて天才であると思う。

が、田中芳樹が真に天才としての力量を発揮して創作したのは、 「銀河英雄伝説」 及び 初期の「アルスラーン戦記」「創竜伝」に限定されよう。


 後者2作は、まだ完結してはいないが(注:アルスラーン戦記は、2017年に完結しました。 注2:創竜伝は、2020年12月に第15巻で完結しました)、シリーズの途中から、既に天才としての 輝きは失われていると思う。  


 さて一方、上記に対置される小説は、字義通りに書けば、キャラクターに特に魅力はなく、登場人物の会話、作者の語り口が特に面白くはなく、そしてユーモアのない小説、となる。  

 そんな小説、読む気にならないだろう、と思われるかもしれないが、そういうわけでもない。 


 例えば歴史小説で、登場人物が、単に話を進めるための記号化していると感じる小説がある。

 そこまではいかなくても、キャラクター個々がさほど印象に残らない、という小説がある。  

 センスに溢れた会話があるわけでもなく、ユーモアも感じない(無論、私の個人的感想という意味で)。


 が、このような小説であっても、読んでいてなんともいえない快さを感じる小説がある。

 わくわく感があるわけではないので、一気に読む、ということはないが、心が穏やかなとき、つい手にとって、ゆっくりと味わう。そういう小説だ。  


 そして、近年思うのだが、頭書したような魅力を感じることがないのに、読むことに快さを感じさせる小説というのは、それこそ、その作者の力量がただならない、ということなのであろう。  


 もちろん、田中芳樹や司馬遼太郎は、小説作りの天才と思う。


 が、後者に属する作家のすごさもまた認識せざるをえない。

それこそ、文章の魅力で読ませているということになるであろうから。  


 具体的な作家、作品の例をあげてみよう。

私はどういう小説にそれを感じたか 。


細雪         谷崎潤一郎

豊饒の海       三島由紀夫

孔子         井上靖

窯変源氏物語     橋本 治

チンギスハーンの一族 陳舜臣

女龍王神功皇后    黒岩重吾

クレオパトラ     宮尾登美子

岳飛伝        田中芳樹

田沼意次       村上元三

武田信玄       新田次郎  


 こういう小説を思い浮かべる。

むろん、これはごく一部で、私にとっては、かなりの割合の小説がこの範疇に入る。


 これらは再読したいと思っているが、上記のうち、これまで二度読んだのは、細雪と、田沼意次だけだ。 


 図書館に行って上記の本をみつけても、ついつい未読の本に手がのびる。

 が、これらの本を読んでいたときに感じていた快さは忘れられない。  


 だが、上記の作家、作品。

私がことさらに言わなくとも、既に高い評価を得ている作家、作品がほとんどだ。  

 

 私は、ものの見方が一面的であったのが、近年になって、世の多くの人が既に認識済みの魅力を、ようやく受け取れるようになった、ということなのであろう。  


 奇をてらうことのない重厚な魅力。それは、とても素敵だ。

2018.12.25 加筆

ここで田中芳樹先生の作品も挙げたことについて。私は、何度か、先生が真に天才であったのは、三十歳代までと思う、と書いています。

が、以降の先生の作品も愛読しています。

私にとっては、銀河英雄伝説という、最高レベルの小説を書き終えた方の、ゆとりある隠居仕事のような味わいを感じながら読んでおります(むろん、ご本人様がどのような思惑で書かれているのかは存じ上げません)。

いいなあ、羨ましいな、と思っています。

薬師寺涼子シリーズなども、愛読させていただいています。


2021.1.22未明加筆

創竜伝も、2020年12月に、第15巻で完結しました。

私は知らなかったのですが、2021年1月20日に、たまたまネットでの検索にひっかかって知りました。

アルスラーン戦記は、終盤の数巻は読んでいないのですが、最終巻だけは購入して読みました。

創竜伝もラストの数巻は読んでいないのですが、ラストがどうなったのかだけはチェックしました。

これで田中芳樹先生の三大代表作は、全て完結しました。

良かったです。


近年は、新刊本を買うことはほとんど無くて、図書館で目についた本を選んで読んでいます。

でも薬師寺涼子シリーズは、新作が出たらほぼ購読しています。主人公、結構好みのタイプみたいです。


が、作中描かれているような超美人でなくてもよいです。

むしろ、あれだけの頭脳と家庭環境のバッググラウンドがあるが、容姿にコンプレックスがあって、それが過激な言動と行動力に結びつく、というようなキャラ設定だったら、もっと萌えてしまうような気がします。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 銀河英雄伝説はめちゃちゃ面白くて、一気読みした覚えがあります。 うん、また読み返したくなってきました(笑)
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