プロローグ
俺の視界には、故郷の村が炎に包まれ黒いローブを着た人間が村人を襲っている光景が見えた。
「なんなんだお前ら、なぜこんな事を」
ある人は胸を貫かれ、
「やめてください。せめて子供だけで」
ある人は首を切り落とされる。
そう、これは俺が憎っくきこいつらを倒す為の物語だ。
俺は雲一つない晴れ晴れした朝に日課であるランニングと素振りをしていると横から聞きな慣れた男の声が聞こえた。
「カズト、俺は今から旅に出る。だから今日でお前は弟子卒業だ」
大きな図体にバカでかい大剣を背負った一応俺の師匠であるシドウが真面目な顔で言ってきた。
「ああそうか、今まで世話になった。じゃあ」
俺は特に気にせずそのまま素振りを再開する。そもそも、俺は半年ほど前にシドウから「もうお前に教えることはない」と言われているはずだが、この男には記憶力というものがあるのか疑いたくなる。
「たく、お前は相変わらず冷たいやつだな。まあいい、とにかく俺は旅に出るかな。それと、最後だから言うが魔教徒に復讐するなん」
俺はシドウが最後まで言葉を言い終える前に剣をシドウの喉元に持っていき睨みつけた。
「それ以上言うな」
「はいはいもう言わないよ。ただあいつらとやる時は気をつけろよ。お前はこの5年間で相当強くなったがそれでも魔教徒の強さは桁違いだ」
「分かってる。だからまだ戦う気は無いよ」
「なら言い、じゃあな。またどこかで会おうカズト」
シドウはそう言うと、俺に背中を向けそのまま何事もなく行ってしまった。
「よし、続けるか」
そうして俺は朝の日課である素振りを再開した。