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のふげらっ!  作者: 八雲ゆづき
第2章 のふげらっ! の世界へようこそ
8/8

異世界(2)とおっさん

「ある一定の可能性……。つまり、この世界から抜け出す術を持つものって事ですか?」

少し思考を巡らせ、そう問いかける。

男は真顔のまま首肯し、

「その通り、つまりこの世界に於けるバグのようなもの、その術を持つものはいわゆる″チーター″と呼ばれている」

なるほど、この世界の環境下において、その行動をする事はあまり良い行いとは言えないのか。

と、ここで1つ疑問が浮かぶ。

「つまり、他人に指輪を渡すことができる––––いや、指輪の効力を解除できる人が″チーター″なのですね……。となると、俺の指輪を渡してきた彼女は″チーター″である、と……」

「まっ、その可能性は高いな。しかし、″チーター″は咎められる存在。何故なら––––」


「––––この世界は″脱出不可能″であるから、でしょう?」


俺がそういうと、男は静かに首を縦に振る。

この男の話の流れと、″チーター″が咎められる存在である理由、この二つを考えるとその理由に合点が行く。

この時の俺は、幾分と平常心でいた。しかし、その現場を認識した時、その瞬間に俺はどうなってしまうのだろう。俺にもわからない。



「しかし、ARの世界で脱出不可能となるともちろん″アレ″も有りますよね。おきまりの……」

静かに問いかける。男は、少しニヤリと笑い––––

「もちろん……お前は″アレ″のことを言ってるんだろう?」

きっと、この男も同じ事を考えているのだろう。

「……せーのっ、で言います?」

「そうだなぁ〜、その方が面白いもんな……。せ〜のっ––––」


「モンスターとのバトル!(夕)」

「死ぬと復活できない!(おっさん)」


マジか……!

この日、俺は絶望を味わった。『死ぬと復活できない』か……。ハハハ……俺、生き延びる自身ないよぉ〜。



「ところでおっさんはなんていうの?」

ふと、思い出した事を口にする。

「おっさんか……俺ももう年だな……おっとワリィ。俺は、【ダァグラス】ってんだ! よろしくなっ‼︎」

ニカッと笑い、手を差し出してくる。今更感がすごいんだが、そんなことはどうでもいい。何より、このおと……もとい、ダァグラスさんは俺の初めての仲間となるんだろうからな。大切な人だ。

「よろしくお願いします! ダァグラスさん」

その、自分の手より少しだけ大きい手をガシッと掴む。

男同士の友情に、言葉なんて物はいらないんだな……と、この時の俺は何を勘違いしていたのだろう。後々気付く事である。

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