指輪(3)と異世界
「……、あれ?おかしいな……。何故つかないんだ?」
なんと、とても良いタイミングで電池切れとは……。災害時にこんな状況に陥ってしまうよりかは、まぁましか。
「えっと、電池電池……、あったあった。よし、これを入れ替えて、と……」
懐中電灯の電池を取り出し、新しい電池を入れ替える。試しに一度つけてみる。
カチッ。
よしついた。
「これを照らしてと……」
実際に照らしてみる。すると、なんと!
ホログラムのような色(宝石の色)の一部、白のなにかがあった部分が″文字″となって浮かび上がったのだ!
「……! ナニコレッ! 文字となって浮かび上がってるのはわかるんだけど……。よ、読めない……」
額に汗が流れるのが分かった。
これだけ苦労して(そこまでしていない)見返りがこれだと、なんか……釈然としないようななんというか……。
「仕方ないか、今日は諦めて寝よう……。って、風呂入んの忘れてた!」
割と綺麗好きである。いや、それが普通である。
入浴後––––––
俺はベッドに横たわった。そのまま瞼を閉じ、睡眠へと入る。″それが自分が覚えている限りの記憶だった″。
「……何処なの、ここ……」
目の前に広がる世界、それは––––––
––––現代日本のものではなく、具体的に言うなればファンタジーの世界であろうか。
そして何より、″自分の左手に謎の金属の塊が、へばりついて離れない″不可解な状況が続いているのだった。