帰宅と指輪(2)
放課後––––––
「おにぃーーーちゃーーーん‼︎ 待ってエェーー!」
でた、甘夏先輩だ……。
「放課後とか一番疲れてるからやめて欲しい……ブツブツ……」
「……?」
首を傾げている甘夏先輩だった。気づけよ!
「一緒に帰ろっ!」
「どうせ断っても付いてくるんでしょ? だから、もう諦めます……。どうぞ隣へ……」
「冷たいよっ⁉︎ 雪男(ビッグフットでは無く、雪女の″男″版)なの、きみ!」
大半を無視しつつ半分くらい進んで来ただろうか、突然話を吹っかけてくる。
「ところで、君からとても″匂う″んだけどもしかして……いや、何でも無いや、また今度にしよう。そしたら、嫌でも気がつくだろうし、ね?」
ふくみを持たせた言い方に俺の頭の中は?で一杯だった。まず″匂う″って何のことだろう⁇
「それじゃあ、私はここの角曲がるから。じゃ、また明日ね。バイバイ♪」
元気に手を振って、おそらく自分の姿が見えなくなるまで手を振り続けるのだろう彼女を見据えてそのまま歩いていく。
好かれている事に別段嫌な空気を感じる事はないし、むしろ嬉しい事なのだが何だろう。この違和感は……。いずれ気付くだろうか。
俺は家の帰路につくのだった。
家に着くとすぐに制服を脱ぎ捨て、そのままお風呂へと入る。しっかりと頭、身体、顔の順番(必要であればリンス)を終えると、そのままであがる。
ご飯の準備をし始める。今日は何を作ろうか。
俺はスマホを取り出し、クックパ○トで調べてみる。
(おっ! この料理上手そう。今日はこれでいっか。確か食材は余ってたはずだし)
一時間後、ようやく完成する。割と大変だったが、レシピが分かりやすく手際も良くできたと思う。
一口……はむ……美味しい!
口の中に醤油をベースに味付けをしたタレと、豚肉で巻かれたアスパラガスがマッチしていてとても美味しい。
ご飯、味噌汁、きゅうりの漬物と合わせて頂こう。
そして、ようやくフリータイムがやって来た。
今日は例の指輪の事が気になって仕方がなかったので、それについて自分なりに研究してみよう。
「そういや、宝石の中の白いものって結局何なんだろう?」
ここでふと気づく。光を当ててみれば丁度いい感じに反射して文字か何かが浮かび上がるのでは無いか? よし、実践してみよう。
机の上に懐中電灯を常備していたので探す手間が省ける。
カチッ……。