甘夏先輩と中森くん
「甘夏さん! 三年なんだからしっかりして下さいよ‼︎」
柏崎 甘夏さん、俺より1つ上の三年だ。普通なら受験やらで忙しい筈なのだが、何よりこの高校は大学附属の高校なのだ。甘夏さんは余裕綽々の表情(というかいつもこんな感じ)を浮かべている。
「へへっ! やっぱ最初見た時から可愛い子だなぁー、と思っていたんだよ!」
にへー、と少々下品な笑みを浮かべている。気持ち悪い……。
「と、取り敢えず学校いきましょう? ね?」
「ヤッター! 夕くんから誘ってくるなんて‼︎ 流石今日占い一位だったわけだわぁー♪」
物凄く喜んでいらっしゃる。
とにかく、先輩と二人で学校への道を急ぐのだった。この後、先輩がスキップで登校しようとしていたが、道を急いでいたためすぐさま止めた。
「それでは出欠をとる。足立」
「はい、」
「明石」
「はい」
「………東城。おーい、東城はいないのか?」
ガラガラガラ、このタイミングで扉を開けるとは……我ながらついていない……。
「すいません! 少し遅れました!」
「まぁギリギリセーフにしといてやろう。次、中森……」
先生の、出欠確認には間に合った。しかし、タイミングがタイミング故に恥ずかしい思いをしてしまったなぁー。明日からはちゃんとしよう。
昼食時にて––––––
「夕、お前今日の朝なんで遅れた?」
トレーの上に乗っているカレーを頬張りながら聞いてくる。彼は中森くん、下の名前は……何だっけ?
「いやぁ、朝ちょっとバタバタしちゃってさー、うん」
「しっかりしないとだせ? さらにさー、お前って、彼女いたっけ?」
はっ? 彼女いない歴=自分の年齢ですが?
「何の話? どうせ中森の話だからくだらないこと、ぬかすんだろうけど」
少し嫌味を交えた言い方。
「そんな言い方はねぇだろ⁉︎ 実はさ……」
俺の予想が正しければ間違い無く、〝先輩″の話だろう。3.2.1.はい。
「今朝、お前が女の人と歩いてたって聞いたんだよ」
ほら見ろ、甘夏さんのことだ。
「中森、よく聞け……。その人は、先輩だ」
「やっぱりな、お前の事だから付き合ってる人なんかいないって思ってたぜ」
ちょっとそれは心外だぜ……うん。
中森はルックスこそ悪く無いと思うけど、駄弁っててたまに毒舌になるのがたまに傷なんだよなぁー。こいつに彼女ができるか、こっちの方が不安だぜ。