第五話 師匠
久しぶりの投稿です。
投稿が遅くなってすいません。
三歳になった俺だが最近一人で町へ行くようになった。町にはいろいろ興味があったのだ。
そして今日も町に来ていた。
今日はまだ行ったことのない道を行こうと大通りとは外れた道に入ってみる。やはり大通りとは違って道が所々舗装されていないところがある。少し歩くと声が聞こえてきた。気になりその声の方向に歩いてると一件の家があった。どうやら声はそこから聞こえてくるらしい。そして家の前に見た目は四十過ぎたくらいで片目に傷がある一人の男性が剣を振っていた。
男が剣を振る姿はあまりに自然で剣を振るのが当たり前と言わんばかりに整っていた。
「誰だ?」
(おっと、見つかってしまったか。一応音をたてずに見てたつもりなんだがな……)
「出てこないなら敵とみな……」
出て行かないと敵と思われそうなのでとりあえず出て行くことにする。まさか子どもが出てくるとは思っていなかったらしく男は少し驚いた。
「ん?子どもか……。こんなところで何している?」
(何て誤魔化そうか……。さすがにこんな所を探検していたなんて言えないか)
「少し道に迷いまして……」
「そうか。そしたらその道をまっすぐ歩けば大通りに出れる」
(道を教えてくれるのか……。見た目に似合わず意外に優しいな。だけどこのまま帰るわけにはいかないな……)
「ありがとうございます。すいません、一つお訊きしてもよろしいですか?」
「何だ?」
「剣を振っていたようですが、剣士の方ですか?」
「元剣士だな」
(なるほど。剣士なら気配を察知することも、あの剣の振り方も肯けるか……)
「どうして辞めてしまったんですか?」
男は少し考える素振りを見せる
「色々あってな、子どもにはまだ早い話さ……」
(流されたか……。無理に訊いて怒らすのもな。それよりも……)
「あのー急にこんなことを言うのもなんですが……」
「ん?」
「ひとつお手合わせをお願いします」
男は驚いた顔をしていた。それはそうだろう。いきなり来た子どもが自分と闘いたいと言ってきたのだ……。
「お前とか……?」
「はい」
俺は強くならなければいけない。二度とあのようなことにならない様に……。今の段階でどれだけ強いかを。そして、元とはいえこの世界の剣士がどれだけ強いのかを……。
(それを今ここで試す!)
「無理だ」
「えーーーー!」
俺は盛大にコケる。
もしも漫画だとしたら「ズコー」という文字が書かれていただろう。
まさか実際にすることがあるなんて……。
冗談はさておき、まさか断られるとは……。こういうのって受けてくれるんじゃないのか……。
「なんで受けてくれないんですか!?」
「どこの世界に子どもとやり合う剣士がいる?」
「うっ……」
それもそうか。言われてみればこんな子どもと闘う剣士なんていないか。
だけど諦める訳にはいけない。
「どうにか闘えませんか?」
「無理だな。子どもはとっととお家に帰んな」
(これは予想外の展開だぞ。どうする……)
「お願いします!一回だけでいいんです!そしたら帰りますから」
「何度言っても無理だ。分かったら帰れ」
男は家の中に入ろうとする。
(クソっ!このままじゃ……。最後の手段だな)
俺は今背中を向けている男に殴りにかかった。
距離は約五メートル。それを全力でつめる。
そして……
パァン!
男は振り返りながら俺の拳を受け止めていた。
「何の真似だ?」
少し怒っているように見える。
「こうでもしないと闘ってくれないのかと思いまして」
男は俺の目をじっと見ている。俺も逸らさずそれを見返す。
周りはシーンとしている。どれだけ経っただろうか。
不意にそれは破られる。
「ちっ……分かったよ。受けてやるよ。そのかわり終わったらすぐに帰るんだぞ」
「ありがとうございます!」
(よっしゃ!)
思わずガッツポーズをしそうになるが、本番はこれからだ。
「どうやってする?素手でやるか?」
「剣でお願いします。」
「ほぅ〜。さっきのといいお前ただの子どもじゃねぇな?」
「まぁまぁ、そんなことはどうでもいいじゃありませんか」
まさか異世界から転生してきたって言う訳にもいかないしな。
「まぁいい。家に木剣がある。少し待ってろ」
と言いながら家に入っていった。
待つこと数分……。男が家から出てきた。
「待たせたな。これを使え」
と言って木剣を渡してくる。そして距離をとって向かい合う。
「お前から来いよ」
男はニヤニヤとしながら言ってくる。
しかも男は木剣を構えず、肩に乗せている。
(完全に舐められてるな……。絶対勝ってやる)
この見た目だからしょうがないが、何か癪にさわる。
そして向かい合って数秒……。
俺は男との距離を一瞬で詰める。
そして、木剣を左肩に向かって振り下ろす。
(左ががら空きだ!)
しかし、男は体を逸らし木剣は空を切る。
だがそれは予想してたことだ。すかさず着地し男に突きを放つ。
男はそれを木剣の刀身で受け止める。
カーンと音をたて腕に僅かな痛みが伝わってくる。
「ほぅ〜、なかなかやるな。その歳でこれだけ動けるのは異常だな。一体何をしてきたんだ?」
「普通にトレーニングをしただけさっ!」
そう言いながら上に跳躍し右から首に向かって振り下ろす。
男は木剣で防ごうとするが、当たる瞬間に俺は振り下ろすのを無理やり止めて左に回し切りをくらわす。
(もらった!)
俺は勝ちを確信した……。
だが、当たると思っていた攻撃は防がれる。
(嘘だろ!?どんな反応速度だよ!)
男は防いだ木剣をそのまま流す。体勢を崩した俺は不安定な状態で着地し素早く体勢を整えようとするが遅かった。
男の木剣は俺の首筋に当てられている。
「勝負あったな」
「くっ……」
(強い……。剣士というのはこんなに強いのか。俺はもっと強くならなければならない。こんなんじゃ……)
「さっきも言ったが、お前は強い。その歳でそれだけ強ければこれからももっと強くなるはずだ」
(このまま今のトレーニングを続けてこの男の様に強くなれるのか。俺は……)
「まぁ、頑張れよ……」
そう言いながら家の中に戻ろうとする。
俺は強くならなければならない。その為には……。
「あのっ!」
「ん?」
「俺を弟子にして下さい!」
俺は前の世界でいう土下座をしながら叫ぶ。
男は少し驚いていたが、数秒考える素振りを見せ問う。
「なぜそこまで強くなろうとする?」
俺は即答する。あの時、妹が殺された時から答えは決まっているのだ。
「大切なものを守りたいから!……もう二度と失いたくないんだ!」
男はそれを聞いて昔の自分を見てるようだった。
「ふっ……。いいだろう。俺がお前を鍛えてやる。ただし甘やかすつもりはないからな」
そう言うと男は家の中に入っていった。
俺は呆然とそれを見ていた。
そしてドアの閉まる音で我にかえる。
「はっ……、弟子にしてもらえたのか。」
俺は拳を握りしめガッツポーズをする
「よっしゃーーーー!」
(これで俺はもっと強くなれる。これからは大切なものをすべて守れるくらいに……)
そうして、この世界でも俺に師匠が出来た。
やっぱり戦闘描写を書くのは苦手です……。
次回もなるべく早く投稿出来る様に頑張ります。