第四話 初めての町
ゴブリンとの戦闘から一ヶ月が過ぎた……。
いつもと変わらずトレーニングをする日々…。だが変わったことがある。それは、トレーニングの時に隣の家の少女…ソフィリアが一緒にいるようになったことだ。一緒にいる、という言い方をしたが物陰に隠れて見ていたものが、側で見るようになっただけだが。さすがに家の近くでする時くらいで森の中まではついてこない。
ちなみに、この少女の名前がソフィリアと知ったのは最近だ。というか、前から聞いていたがどうでもよかったので覚えていなかったと言った方が正しいか…。ソフィリアは何も喋らずただ見てるだけだ。
(トレーニングをしてるとこなんて見ても面白くないだろうになんで見てるんだ?)
それがここ最近での俺の疑問だった……。
そして今日、俺はその疑問を彼女にぶつけてみた。
「なんでいつも見てるの?特に面白くないでしょ?」
「ひ、まだから…」
ソフィリアは少し考えて答える。
「そっか、暇ならしょうがないな」
この時ソフィリアも何故アルを見ていたか分からなかった。何となくこの理由が思い付いたのだ。
疑問が解消されたことでこれで素振りに集中できると素振りを再開しようとした時にふと新たな疑問が生まれる。
「あの、聞いていい?」
ソフィリアが首を傾げてる。
「何であの時一人で森にいたの?」
ソフィリアは当時のことを思い出しながら質問に答える。
「お母さんが少し体調悪くて…薬草が無かったから取りに行ったの」
「そういうことか…」
(俺が見た時は全然体調悪い風には見えなかったんだけどなー)
それも子どもを心配させない為かと納得した俺は今度こそ素振りを再開させる。
翌日、父さんが町に用事があるらしく興味があったので俺もついて行くことにした。歩いて数時間かかるところにある町でカールスという名前らしい。
「父さん、町には何をしに行くの?」
「衛兵の武器の発注とあとお母さんから頼まれた買い物だな」
「へぇー、衛兵の武器って町で買ってるのか」
そんな話を道中にしていきながら歩いていく。
そして数時間歩いたところで目的地に着く。
「ここが町かぁ。思ってたよりもでかいなー」
「そうだろ?ここら辺の町の中では一番でかいからな」
まるで自分の物の様に自慢するアルベルト。
(いや、あんたの町じゃねぇだろ……)
そう心には思っていても顔には出さないようにする。
町の周りは石壁に囲まれていて魔物の侵入を防いでる。入口は一つしかなくそこを通って町の中に入る。そして入って一番最初に思ったのは……
(やっぱ他の種族もいるんだ…)
そう、この町には人種がほとんどだが僅かだが頭に猫耳やら犬耳がついた人達もいる。
「父さん、あの人達は?」
「ん?あぁ、獣種のことか?」
俺がそれに頷くと
「そっか、お前は人種以外を見るのは初めてだもんな。あれは獣種といって、まぁ見ての通り頭に獣耳がついている。獣種にもいろいろいてな、猫や犬、狐などがいるんだ」
「へぇーそうなのか」
それを聞いて改めて俺は異世界に来たんだなと実感した。
「着いたぞ」
そうして、周りを見ながら歩いていると目的地に着いたらしい。
そこには何かの店らしい建物があった。看板に何か書いてあるがよく分からない。きっとこの世界の文字なんだろ。俺は言葉は喋れるが文字は書けないし読めない。だが店の中を見るに剣や盾などが置いてあるので武器屋か何かだろう。そう考えてるとアルベルトから話かけられた。
「ここが武器屋だ。剣や盾などが置いてある。ほら中に入るぞ」
店の中に入るといろいろな種類の武器が並べられていて、種類ごとに区切られている。
「いらっしゃい。おっ、アルベルトか。今日は何の用事だ?」
カウンターには口に少し髭を生やした男がいた。
「村の衛兵の武器を発注しにきた。両手剣が二十本と…」
アルベルトが必要な物を言っている中俺は先程からある物を探していた。それは刀だ。やはり剣よりも馴染み深い刀が使ってみたいのだがここの店にはないようだ。
(そもそもこの世界に刀はあるのか?)
まぁ、刀しか使わないと決めてる訳ではないのでこの世界に無かったら諦めて剣を使うつもりだが……。
そして発注を終えたアルベルトと母さんに頼まれた買い物をして村に帰る。
家に帰った俺は少し疲れたので横になる。
(いろんな物が見れたし、町に行って良かった)
そう思いながら瞼を閉じた……。
そして俺が生まれてから三年の月日が経った時、俺はある人物に出会うのであった……。
いろいろあって投稿が遅れました。
なるべく早く投稿できるように頑張ります
※ 村から町への距離を修正しました。