表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔剣使いの異世界ライフ  作者: 一匹狼
第一章 特訓編
4/12

第三話 初めての戦闘

ーー 一年後 ーー


一歳になった時にトレーニングをし始めた。最初は身体に負担が掛からないように腹筋、背筋、腕立てをし、村中を走っている。初めはスタミナがないのですぐバテるが続ければスタミナもつくだろう。これが午前中のメニューだ。そして午後からは落ちている枝で素振りをしている。枝なので軽すぎるが無いよりはマシなのでそこは我慢だ。そうしていつものように素振りをしていたら、それを見た父さんから木剣を貰った。なんでも、村の衛兵の訓練に使ってる木剣が余っているから貰ってきたらしい。これでやる気が上がるってもんよ。

そうしてトレーニングをして一年の月日が流れていった……。


二歳になったわけだが体力と筋力が最初の頃に比べてだいぶついてきた。筋トレの回数は増えており、走る範囲も村から森の中にまで広がった。森の中は人が通れるように道が舗装されているがそこを外れると足場は一気に悪くなる。だが敢えてそこを走ることで足場が悪い所でも安定して走れるようになる。今じゃ全速力で森の中を走っても息切れしないぐらいの体力はある。

今日もいつも通り午前は筋トレをして森を走る。そして午後には素振りをする。

家の近くで素振りをしていると、ふと視線を感じた。

その方向を見ると俺と同じくらいの子が物陰に隠れて俺を見ていた。


(あの子は確か……隣の家の子だったか)


自分に何か用なのか気になり声を掛けてみる。


「君は確かうちの隣に住んでいる子だよね?何か用かな?」


少女は気づかれてないと思ってたのか、驚いた顔をして家の中に戻っていった。


(何だったんだ……)


家に戻った少女に疑問を抱いていたが、意識を切り替え素振りに集中する。

翌日、今日は森の中で素振りをしようと家を出たら隣の家からも少女とその親が出てくる。何か言い聞かせているようだが無視して森まで走る。森で素振りをしているとお腹がなりはじめた。


(お腹も空いたしそろそろ帰るか)


そう思っていると、急に悲鳴が聞こえる。

何かあったのかと悲鳴が聞こえた方に走る。そしてすぐにそれは分かることになる。

少女が人型の魔物におそわれている。身長は一メートルくらいで緑色の体をしている。


(あれはゴブリンだろうか。父さんがこの前教えてくれた特徴と一致しているが、この森の魔物は村の衛兵が討伐している筈……。討伐し損ねた魔物なのか?)


とりあえず今にも襲いかかろうとしているゴブリンに向かって走る。初めての魔物との戦闘でしかも武器が木剣と少々心許ないがそんなことも言ってられないだろう。

ゴブリンはまだ俺には気付いていないようだ。木剣では攻撃力に欠けるから弱点を狙うのが一番だがその弱点がわからないので、とりあえず頭を木剣で撲ることにする。そうと決まれば一気に加速して距離を縮める。そして残り二メートルというところでゴブリンは気付いた。だが……


「遅い!」


ゴブリンが動こうとした時には俺は腕を振るっていた。

ボコッ

鈍い音がなり、手にも振動が伝わってくる。そして一瞬の間が空きゴブリンが倒れる。確かに手応えはあったがまさか一撃で死ぬとは思わなかった。ゴブリンとはこんなに弱いものなのか、やはりどこの世界もゴブリンはスライム相当なのだな。しかしこの世界に来て初めて生物を殺したが、自分でも驚くくらいに心が落ち着いている。やはり、前世の事があったからだろうか。そんな事を考えてると目の前の少女が口を開いて呆然としたままこっちを見てるのに気付いた。


「あの…大丈夫?」


少女がその声で我に返り首を縦に振る。


「どこか怪我したとこは無い?」


そう言いながら少女に近づいてくと少女は怖がるように後ずさった。それを見て先程まで起きていた出来事を思い返す。


(怖がるのも無理ないか…さっきまで魔物に襲われてたもんな。しかもその魔物を一撃で倒したのが自分と同じくらいの子…。俺だって怖がりはしなくても警戒はする。)


これ以上近寄らない方がいいと判断した俺は少女に帰る道が分かるかと訊く。その質問に少女は首を縦に振り立ち上がるが痛みに顔を顰める。


「足怪我してるの?」


少女は痛みに涙を浮かべながら頷く。


(逃げる時に捻ったのか…)


俺はどうするか考えておんぶすることにする。


「ほら、背中に乗って。家までおぶってあげる。」


少女はその行動に驚くが足も痛むし、早くお母さんに会いたいので素直に背中に乗る。

しっかりと背中に乗った事を確認した俺は歩き出す。帰り道は分かってるが背中に少女がいるのでゆっくりなるべく揺れないように進む。歩いてる時はお互い一言も喋らないまま三十分程経ったところで村に着く。少女の家の前には母が心配そうに帰りを待っていた。そして、俺達を見つけ少女がおんぶされてることに気付くと慌てて駆け寄ってくる。


「どうしたの!?怪我でもしたの!?」


「はい。娘さんがゴブリンに襲われていまして、ちょうど僕が通りかかってゴブリンを倒しましたがどうやら逃げる時に足を捻ったみたいです」


そう言って少女を降ろす。そこで母が少女に抱きつく。

「良かった!他には痛いとこ無い?」


「う…うん!」


少女は母に会えた嬉しさと安心感から泣きながら応える。

俺は母から何回も礼を言われ、家に帰ろうとすると


「あ、あの!」


少女から声を掛けられる。


「ん?」


「あ…ありがとうございます」


俺は初めてこの子の声を聞いたなと思いながら


「いいよ。もう一人であんなとこ行っちゃ駄目だよ?」


と言い、家に帰る。

そして夕食後、改めて親子が礼を言いに来る。そこで初めてその事を聞かされた俺の親は驚いていた。


「お前、ゴブリンと戦ったのか!?」


「うん」


「どこも怪我してないのか?何で黙っていたんだ?」


「してないよ。特に言う必要もないかなって」


そう言ったら怒られた。いくら俺がトレーニングをしてるからって二歳の子どもがゴブリンとはいえ魔物と戦ったのだから普通は心配すると。そんなに心配することかと思ったが親はそういうものか。


「本当にありがとうございます。アルくんがいなかったらソフィがどうなっていたか…。感謝してもしきれないです」


「いえいえ、僕も偶々通りかかっただけですから」


「それでもです。助けてくれたのは事実なんですから。ほら、ソフィもお礼を言って」


「ありがとう…ございます」


本当に偶々通りかかっただけなのだが、これ以上は同じやり取りの繰り返しになるので素直にお礼を受け取る。

親子が帰った後アルベルトにゴブリンとの戦闘のことを訊かれる。


「ゴブリンは倒したのか?」


俺はそれに頷く。アルベルトは溜息をする。


「いつもトレーニングをしてるから少しは強いと思っていたが、まさかここまでとは……」


「そんなに凄いことなの?その割には弱かったけど」


「当たり前だ!ゴブリンは魔物の中で弱い方だがお前は今二歳だ。そんな歳の子が魔物に倒せる筈がないんだ」


「そうなんだ」


アルベルトはそのことに興味が無さそうにしてる俺を見て呆れ、再度溜息をした。


そうしていつもよりも長い一日が終わった……。


初めて戦闘シーンを書きましたがどうだったでしょうか?今回は一撃で終わりましたが、人との戦闘シーンが上手く書けるか自信がないです。どうぞ温かい目で見守り下さい。


ヒロインの名前を間違えるという重大な罪を犯してしまった…。名前は直しました。

申し訳ございません。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ