プロローグ
パァン パァン
銃声が響いてる中彼は走り続けている。
銃弾が頬を、腕を、脚を掠めて、服が血で染められていく……。
それでも彼は足を止めない。目の前にいる奴らを全員殺すまでは。
「止まれ!止まっ…ぐっ!」
男が言い終わる前に男の首が落ちる。
彼は人を殺すのは初めてだ。だがそんなのは、今の彼には関係ない。
そして、気づいた時には銃声は止んでいた。
目の前にいるのは片目に傷があり如何にも頭という雰囲気を出した男だけ。
「どこの組かは知らねぇが、うちに喧嘩を売ってただで済むと思うなよ?」
静かな声で、脅す様に男は言った。
「知るか。お前達は俺の大切な妹を殺した…。それがお前らが消えるには十分な理由だ。」
彼が動いたのと男が銃を構えたのは同時だった。
パァン
今日何度目かの銃声が終わりを告げる。
男の首が宙を舞い、べちゃっと音をたてて地面に落ちる。それと同時に彼も倒れる。
男が撃った弾丸は確実に心臓を貫いている。
もう全身に力が入らない。
「おれ…もここまでか…。仇はとれた…のかな………美月。」
静かな空間にその声だけが響く。
今は亡き妹の姿を思い浮かべながら彼の目はゆっくりと閉じていき、やがて意識が途切れる。
彼……橋本 翔也の人生は終わりを迎えた。
初投稿なので楽しんでもらえれば嬉しいです。