◆未知との遭遇
人は迷い続けます。それが定めであるかのように。
1時間以上歩いたのだろうか、しゃぶしゃぶ屋の入ったビルを見つけた。エレベータ前の看板を見ると、どうやら2500円程度で牛しゃぶしゃぶが食べ放題らしい。ほんの少し視線を下にやると、2800円程度で「北海道産」牛しゃぶしゃぶが食べ放題らしい。私は、「北海道産」を強く主張した。「北海道産」とも記載されていない肉は、国産ですらないのだ。旅行で京都に来ているのだ、わずか300円の違いだ、「せっかく京都に来たのだし、」「どうせなら」国産を食べよう。
彼らは言った、
「高い」
「せいぜい払えるのは2500円までだ」
彼らは、私に諦めるように強く働きかけてくる。
私は、300円の尊さを知った。
私は、それでも、「北海道産」がいいと、駄々をこね、渋っていた。すると、隣の看板を見ていたTOSHIが言った。
「おい、見てみろよ……、ふぐ鍋が、同額で食べられるぞ……」
それを聞いて、その看板を見たINAMUは言った。
「食後に雑炊も食べられるぞ……」
我々はもう迷わなかった。行くべきところは決まった。誰もが、生まれて初めての、ふぐ鍋を食べるのだ。




