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光の噺  作者: 青い目の鴉
3/3

片割れ

 王子達は三人で力を合わせて、まっくろな結晶と、王様だった(・・・)"精霊"を封じ、まっくろになってしまった世界を元に戻しました。




――そうして今、この世界があるのです。




****************************************




――これで、"光の噺"はおしまい。……………そう思っているよね? ……そう、違うんだ。本当は、このおはなしにはまだ続きがあるんだよ。……それなら聞かせてあげよう。このおはなしの、続きを。




****************************************




 しかし、その救われた世界には、三人の王子達はいませんでした。

青の王子がつくりあげた術は、それはそれは強い術でしたから、その代償も大きく、三人の王子はそれぞれの瞳と同じ、紅と翠と蒼の結晶になってしまっていたのです。


 封印が成り、まっくろな世界を覆ったまっしろな光が消えた時。その三つの結晶は、火山の国と樹海の国、そして蒼氷のお城へと飛んで行き、


火口と


御神木の幹と


太古の氷の中へと


消えていきました。


 遺された片割れの"精霊"達は、それぞれの結晶を追いかけて、結晶となった王子達を守ることにしました。


王子達が王子達だったあの頃と同じように。




――片割れの"精霊"達は、今でもそれぞれの結晶を守っています。しかし、それを見た人は誰もいません。




****************************************



――どうだい、面白かったかい? ……それは良かった。………えっ? "どうして見た人がいない(・・・・・・・)のにそんなことがわかるのか"だって? ふふっ、簡単なことさ。言葉の通り、見た人()いないんだ。つまり、…おっと。どうやらもう行かなくてはならないみたいだ。


 そう言って荷物を肩に担いだ旅人は、男の子の頭をその白い手で撫で、たくさんの大人達に追われるようにして去って行った。





 その弧を描く唇から零れた小さな言葉は

空に溶け、何者にも届くことはなかった。










――ワタシが、碧の王様の片割れ(・・・・・・・・)だからだよ。

歴史の真実を知るのは、当事者のみ。

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