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「ソレハ、マタ タイヘンデスネ?」
「どうして そんな棒読みなんだ?!
まるで 興味がないようじゃないかッ!」
その言葉に 男は、ええ ありませんとも と にっこりと微笑んだ。
「しかも なんです?今 何時だと思ってるんですか。
夜中なんですよ?どこかの誰かさんのおかげで 何日も 家に帰れていなかったというのに」
悪態をついているのは、宰相。
仕事モードの眼鏡をかける堅物と違って 妖艶な姿で フェロモンも溢れ出している。
そして 彼の前でシクシクと 泣いているのは、陛下だ。
お妃様に離縁を申しだされて その足で 宰相の家に乗り込んできたらしい。
城を出ようとしていたところを 発見して ついてきた 騎士は、無言で 溜息をついていた。
「一体 どうして 妃は、あのようなことを言い出したのだろう?余は、あまりのことに 頭が真っ白になってしまった」
宰相は、その言葉を聞いて まさか……と 訝しげな表情を浮かべる。
「まさかとは。思いますが お妃様を部屋に置いたままの状態で 我が屋敷に足を運んだのでは、ありませんよね?」
陛下は、それを聞いて 目を大きく見開く。
「なぜ わかった?宰相は、本当に 千里眼があるかのようだな?」
感心している 陛下に 宰相は、顔を引きつらせている。
そんな2人の様子に 騎士は、小さく 溜息をついた。
「お妃様の心配は、ありません。
陛下が去った後 しばらくの間は、放心しておりましたが すぐに 我に返られていました。
それに 美鶴を傍に残してきましたから 大丈夫でしょう」
騎士の言葉に 宰相は、まだ 不安が消えない。
「宰相………なぜ そのように 難しい顔をしている?」
「あなたは、わからないんですか?もしも 今の間に お妃様が、御実家に帰られたらどうするんです」
その言葉に 初めて 陛下も、宰相の心配を理解する。
けれど それを 騎士は、大丈夫でしょうと 断言した。
「お妃様は、陛下の許可なく 城を出るほど 馬鹿ではありません。
そうすれば 実家に迷惑があることも理解しているでしょうから」
宰相は、それを聞いて そういえば………と 目を細める。
「景………あなたは、お妃様とは、従兄妹同士でしたね?
彼女の性格は、熟知していますか?」
「ええ 昔から 思い立つと 即 実行に移していましたよ。
さすがに 今回ばかりは、思いとどまると思っていたのですが どうやら 変わっていなかったようです。
おそらく 一筋縄では、いかないでしょう………長期戦になることは、覚悟なさってください」
陛下を睨みながら断言する 騎士に 宰相は、頭を抱えていた。
そして 陛下は、どうしたものかと 肩を落としてしまっている。




