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実行

 ジャックとエース、この呼び名は裏の世界で伝説化されている。

 ただし、このミッションが終えた後だけどね。

 俺達は殺し屋、名だたる世界最強のヒットマンと言われるまであと少し。


 大久保という男の殺害のミッションを俺達が選んだ。

 と言っても決定したのはエースというニックネームのこの俺だが。

 殺害の依頼人は、暴力団の大ボス。と、思われる。


 まあ、俺達の推測なのだが。

 基本、依頼人の情報は明かされない。


 数か月の俺たちの地道な調査で大久保の行動がおおよそ分かった。

 奴は高級マンションに愛人のジョセフィーヌというフランス人と同居している。

 ジョセフィーヌは元高級娼婦。

 日本の政財界の重鎮や官僚と呼ばれる男共を相手に商売をしていたらしい。

 実は、今回このミッションの付録としてジョセフィーヌにも殺害の依頼が入っていたのだ。

 但し、この依頼は誰か見当も付かない。

 何か日本の裏のドロドロした醜い影が見え隠れする。


 つまり、この女は日本のトップの恥部をすべて把握しているらしい。

 それをネタにユスリやタカリをして荒稼ぎをしているとの事だ。

 もちろん影で糸を引いているのは大久保に違いない。

 今まで、この大久保の殺害でヒットマンが三人死んでいる。

 殺されたのか、事故死なのかその点の詳しい詳細な状況は知らされていない。

 同じミッションでヒットマンが三人続けて死んでいること自体、ハッキリ言えば異様なことだ。

 この殺しがいかに困難なのかがわかる、がどう困難なのかがまだ不透明だ。


 大久保という男は、三流の結婚詐欺師。

 一流、二流の詐欺師がどういうものかよく分からないが、ただ、大久保という男は大した男じゃない。

 何の取り柄もない奴。ジョセフィーヌという女もただの落ちぶれた売女だ。


 謎は三人のヒットマンがなぜやられたのかだ。

 大久保は保険金殺人の疑いをかけられていた。

 結婚を約束した女性には多額の保険金が掛けられ、そして死んだ。

 ただし、保険に加入したのは女性本人の意思だという事が分かっている。

 そして、死因は自殺と事故死。

 大久保のアリバイは完璧に成立している。

 つまり警察は手も足も出ない。


 俺達の勘ではこの大久保は保険金殺人犯に間違いない。

 理由は簡単、俺達と同じ臭いがするのだ。

 人殺しのね。


 とにかく俺達はこの大久保の行動を観察した。

 大久保はめったに外出しない。

 まあ、マスコミに騒がれた男だから人目を避けているのだろうと、思いきや

大胆にも高級レストランに時折顔を出す。

 ただ、月に一、二度のペースだが。

 しかもオーダーするのは、いつもハンバーグ定食。

 デパートの中にある高級レストラン、三ツ星レストランだ。名前自体がさぞ高そうなメニューが揃っていると想像できるレストランだ。

 そこで、大久保が頼むのはハンバーグ定食。

 高級レストランに定食メニューがあること自体驚きなのに。

 しかもハンバーグ定食、俺達も参考までにそれを食してみたが、味はファミリーレストランのそれと大して変わりはない。

 しかも値段は一万円ときた。


 三ツ星レストランという名だが、正確には三ツ星高級レストランという店名だったことに改めて驚いた。

 自ら高級と名づけるオーナーの顔が見たい。


 ともあれ、俺達はこのレストランを決行場所と決めた。


 最後の問題は、どのようにしてやるかだ。

 もちろん、ハンドガンを使うのは最初から決まっている。

 つまり店内で仕留めるか、店の外から狙い撃ちで仕留めるかだ。

 できれば、レストラン内で事を起こしたくない。

 目撃者、証拠等を残す恐れがあるからだ。

 外から狙い撃ちが一番安全だ。

 だがその心配は解消された。

 神は俺達に味方した。

 もちろん、神は神でも死神だがね。


 大久保達は窓際の席で、外から狙いやすい場所に席を採っている。

 しかも、いつも同じ席だ。

 俺達は真向いのホテルの一室を借りた。


 『グリーンホテル』の十四階。

 145号室。

 その部屋を決めたのはジャックだ。

 その部屋からレストランの窓際の席が見下ろせる。

 絶好の場所だ。

 ジャックは部屋に入るとまず中をくまなく調べた。

 隠しマイク、隠しカメラが取り付けてないかを気にしたのだ。

 まずそんな仕掛けはないのは分かっているのだが、俺達の性分だからしょうがない。

 完璧に調べ終わった後、ジャックは次にライフルの銃口の角度、位置を決めた。

 ジャックはライフルの照準器を覗いた。

 その場所から目標百メートル先のレストランの窓際席に照準を合わせる。

 その角度を伸ばした先に当たる窓ガラスにテープでしるしを付けた。

 ジャックはコンパス状のガラスカッターをカバンから取り出し、窓に張ったテープの位置に

吸盤の付いたガラスカッター押し付けた。

 ユックリと半径五センチのガラスを切り取った。

 吸盤に着いた円形のガラスをユックリ外すと、丸い直径十センチの円形の穴が開いた。

 ジャックはその穴から目を近づけ、三ツ星レストランの窓際の席を見下ろした。


 「完璧だ」そう呟きタブレットガムを一つ口に入れた。


 俺達は実行することに決めた。

 

 三人のヒットマンが死んだ理由は分からずじまいだがいちいち思いを巡らしても埒が明かない。

 実行すればその理由も見えてくるはずだ。

 その時に対処すればいい。


 ジャックをホテルに待機させ、俺が大久保を見張る役目を受け持つ。

 大久保が三ツ星レストランに向かったらジャックに連絡する。

 ジャックは、ホテルの一室で狙撃の用意をする。

 大久保が窓際の席に座った時点でジャックはミッションを遂行する。



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