関東随一の大ボス
俺、鈴木欣一はヒットマン。
相棒は坂下雄一、この男も同じくヒットマン。
俺はエースで坂下はジャックと言うニックネームを持っている。
エースとジャックのコンビ名は裏の稼業で名が売れている。
俺たちのコンビ名が売れだしたきっかけは実はこの殺しの依頼からだったのだ。
仕事は、大久保雄二と言う結婚詐欺師。
奴は、保険金殺人という限りなく黒いうわさの人物だ。ただ決定的な証拠がないため検挙されることなく悠々自適な生活をしている。もちろん、何十億円という保険金のおかげでだ。
俺は、この仕事を請け負った。
もちろんジャックの意見も聞いた。
ジャックは反対した。
ジャックの意見はこうだった。
俺達に来る仕事はそれなりに困難なものが多い。
しかし、この仕事はあまりにも簡単すぎる、なぜこの仕事が俺達に来たのかもう少し調べた方がいいのではないか。と、いう意見だった。
確かに、俺達にとっては朝飯前の仕事だ。もちろん、報酬は俺たちに見合った、それなりの額が付いている。
俺だって、この仕事に関してやみくもに飛びついたわけじゃない。
ある程度、調査した。
殺人の依頼者の名前は基本ヒットマンたちには知らされない。
俺は、まず保険金を掛けられた女性の身元を調べた。
保険金を掛けられ、死んだ女性の中に鎌田ルミという女性がいた。
この女性を調べたら意外なことが分かった。
鎌田ルミは父親のいない母子家庭で育ったが、その父親を調べていくと高田克己と言う男の名前が判明した。高田克己は関東地域を支配に置く広域暴力団のボスだ。
多分、この仕事の依頼人はこの高田克己と言う男に間違いない。
報酬の大金をペイできるのはこの男しかいない。
ただ、おかしいのは、高田組には鉄砲玉のヒットマンがいるはずだ。
それを使えばいいのに、わざわざ高い金を払って俺達に仕事をさせる。何か理由があるはずだ。
ところが、俺はあまりそこのところは考えずに承諾してしまった。
その理由が後でわかるのだが、分かった時は後の祭りだった。俺達はこの大久保を殺すのに多大な危険を味わうことになる。
依頼人は確信をもって大久保が娘殺しの真犯人だと決めつけている。何か証拠をつかんでいるのかもしれない。俺達の組織も高田の依頼を引き受けたのはそれなりに大久保の確固たる保険金殺人の証拠をつかんでいるのかもしれない。
だが、それは俺たちの耳には入ってこない。
俺達は行動を起こした。
まずは、奴、大久保の居場所を突き止める事。
これは簡単だった。
大久保に関心を持っている奴は全国に相当数いた。
その中には奴を徹底的に調べ上げウェブに載せている奴がいたんだ。
奴の居場所はインターネットですぐに分かった。
大久保は都心の高級マンションにいた。
セレブが棲みついているセキュリティ万全のマンションだ。
ガラス窓は全て防弾、防音の二重サッシ。
出入り口はガードマンが二人、四六時中目を光らせている。
関係者以外はこのマンションに入れないようになっていた。
「大久保の部屋はマンションの最上階。外から奴の部屋を狙い撃ちできる高い建物はない。例え、あったところで、防弾ガラスで遮られているから狙い撃ちしても無理だ」あらかじめマンションの様子を調べ上げたジャックは俺に告げた。
ジャックは射撃の名手だ。狙った獲物は外さない。百発百中の腕前を持つ男が言う事に間違いはない。
どうやら、大久保がマンションから外に出た時を待つしかないみたいだ。
俺とジャックは奴がマンションから出るのを観察した。
ちょうど、マンションの前に喫茶店がある。
窓際のボックス席に陣を取り見張った。
大久保はめったにマンションから出ることはない。出たとしても一週間の内せいぜい二、三回。しかも、時間は決まってなく、出てきたとしても歩いて数メートルのコンビニに入るか、たまに自家用車で遠出をするぐらいだ。
一度、奴の車を付けてみたが何故か、まかれて見失った。
二回ほど奴の車を追ったがいつも見失う。
後をつけるのは得意な俺達なのに何故か途中で奴を見失うのだ。
俺達はお互いの顔を見合わせ首を傾げた。
よほど、運転がうまい奴なのか。
奴には恋人らしき女性がいる事が分かった。
大久保の今のところの恋人らしい。青い目の西洋人。
仕事を請け負って一か月ほど経った頃、ある男から封筒が私書箱に届いた。
あの広域暴力団のボス高田克己からだ。
もちろん、暗号で代筆されたモノだ。
便箋には、意味深にこう書かれてあった。
「もっとも残忍な方法で殺す事。できればそいつが苦痛で歪む顔をビデオに撮り送ること。そして、奴を侮るな。今まで、三人のヒットマンが失敗し、死んでいる」




