表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

コダマ

作者: 山羊ノ宮

その日は天気も良く、絶好の行楽日和だった。

久々の休日。

私は紅葉狩りに山へ入ったのだが、運悪く道に迷ってしまった。

私の普段の行いが悪かったのだろうか?

しかし、捨てる神あらば、拾う神ありである。

私は一軒の小屋を見つけた。

「すみません。誰かいますか?」

『すみません。誰かいますか?』

小屋の中から女の声がした。

どうやら人がいるようだ。

しかし、もう夕暮れだと言うのに明かりもついてはいない。

おかしいなと思いながら、小屋の戸をノックする。

「すみません。道に迷ったのですけどー」

『すみません。道に迷ったのですけどー』

さっきから女の人の声はオウム返しばかり。

変だなとは思うが、他に行くあてなど無い。

私がノブを回すと、ガチャリと戸が開いた。

鍵はかかって無かったようだ。

中を見渡すと誰もいない。

先程から声を返していた女性は、暗闇の中に隠れてしまったのだろうか?

「誰かいませんかー!」

『誰かいませんかー!』

何もない所から女の声がした。

目を凝らしても何処にも人などいない。

私の背筋に寒いものが走る。

もしかしたらオカルト的なものが目の前にいるのではないか。

そんな考えに辿り着いた途端、急に怖くなってきた。

変な汗が流れるのを感じながら、私は足を少し引いた。

「ふわああああーーーー!!!」

『ふわああああーーーー!!!』

堰を切ったように私は叫びながら、何処へともなく走りだした。

何処をどう走ったのかはわからない。

けれど、どうにか車道に出た。

きっとここから帰れるはずだ。

私は荒い息を整えながら、走って来た道を振り返った。

何も追って来てはいない。

ほっと安堵の息を吐いた。

「一体何だったんだ?」

『さあ、一体何だったんでしょうね?』

背後から女の声がした。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] あぁ、これ良いですね。 短いけど筋か通っていて、しかもしっかりホラーしている。情景や人物像が何となく浮かぶのは、やはり文章のベースがしっかりしているからなのだと感じます。 面白かったです。 …
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ