羞恥プレイはほどほどに⭐︎
初投稿です。
ゆるゆるふわふわ設定ですので、頭をゆるふわにして広い心でお読みください。
ナニコレ的なツッコミどころ満載ですが、笑って許していただければ幸いです。
おはようございます! こんにちは! あるいはこんばんは!
私の名前は神田優愛、十七歳の高校二年生です。
どこにでもいる普通のJKです。
恋バナにキャッキャウフフするお年頃です。
勉強もそこそこは(笑)頑張ってます。
でも、やっぱり恋がしたいですね!
「顔は可愛いのに、宝の持ち腐れよね」と、友達に言われるほど、男子に対してはコミュ障を発揮してしまうので、彼氏はまだいません。
心の中はおしゃべりなのに、ままならないものです。
どこかにイケメンは落ちてませんか?
落ちていたら是非、私までご連絡を!
◇◇◇◇◇
高校からの帰宅途中、事件は起きた。
通学路には大きな歩道橋があって、登下校には必ずそこを渡るのだけど、そこを歩いている時、後ろから小学生の男の子達が走ってきた。
前の二人は「うわー! やめろー!」と笑いながら逃げて行き、もう一人が「に…………!」と笑いながら謎の言葉を口にして前の二人を追いかけ、私を追い抜いて行った。
「に…………?」
は? に…………? 何それ!? に…………って何!?
聞いたことがない謎の言葉。意味がわからない。
そして気になる。とても気になる。気になりすぎる。なんか知らんけど凄いパワーワード感。
スマホを取り出し、謎の言葉を打ち込み、後は検索するだけ……というところで、歩道橋の階段を踏み外した。
うん。落ちたよね。見事に。
歩きスマホ、ダメ、ゼッタイ!
倒れている私に真っ先に駆けつけ「君! 大丈夫か!?」と声をかけてくれたのは、焦った顔の俳優かな?と思うほどのイケオジだった。
周りで「救急車!」とか「早く!!」とか騒いでいたけど、こんな緊急事態でも私の頭は謎の言葉でいっぱいだった。
「に、に…………って、な…んで…す……か?」
イケオジは限界まで目を開いて、もの凄い驚いた顔をしたけど、すぐに「それはね!……」と親切に説明してくれてたんだと思う。
残念ながら意識が朦朧としてきて、結局、謎の言葉の意味を知る前に、私の意識がどこかへ飛んだ。
ぅおーいっ!! マジで無念すぎるんだが!?
意識が戻ったら絶対、教えてもらう! 死んでも教えてもらう!!
歩きスマホ、ダメ、ゼッタイ!!
◇◇◇◇◇
「……う……ん」
意識が戻った!
よし! 今度こそ『に…………』を教えてもらう!
ん? んんん?
目を覚ました? はず……なのだが……?
「……………………」
病院の天井がオカシイ。
天蓋? 天蓋らしきモノあるんだが? 病院のベッドになぜ天蓋が?
よく見ると、どうやら私が寝ているのは病院にはあるはずのない、天蓋付きベッドのようだ。
そして、着ているのはフリルがたくさん付いている、フリフリな服だ。こんな服は一度も着たことがない。
夢? 夢なの? 意識がハッキリしてても夢って見るもんなんです? もしかして夢じゃなく幻覚とかです? ひょっとして、階段から落ちたときに打ちどころが悪くて幻覚見えてる?とか?
そうか幻覚か、なるほどなるほど。
いや待て、冷静になれ私! 階段から落ちて、天蓋付きベッドにフリフリな服着て寝てるとか、なんだそれ?案件である。
そもそも私は、たった今まで天蓋付きベッドの存在すら頭に無かったし、実物を見た事もないんだが?
知らないはずの細かい部分まで幻覚で見える? そんな事あるの? 知らんけど。
いやいやいや、ありえないから! 意識しっかりしてるし! 触った感触もあるからね! これホンモノ! 幻覚チガウ!
しっかりしろ私! と、セルフツッコミ。
とりあえず、頭ぐるぐるさせてみた。
ああー…。たぶん私、階段から落ちた時にお逝きになったのでは?
そしてこれは、ラノベとかでよく見るヤツぅぅぅ!ということでよろしいか?
意識が飛んだ先は異世界か!?
「マジか! 異世界転生じゃね!?」
なぜなら、記憶が二つあるから。
頭をぶつけるでもなく、頭痛が起きるでもなく、目が覚めたら普通に神田優愛の記憶がある。
これがたぶん前世になるのでしょうね。
先程まで神田優愛の記憶が優勢だったように思えたけど、目が覚めた今は、まるで優愛の人生を夢で見ていたような感じね。
ずっと『に…………』は気になってるままだけど。
まるで前世からの因縁のよう。
「お待ちになって! なんてことなの! 大変ですわ! せっかくの自己紹介が無駄になってしまったのではないかしら? それより、異世界で謎の言葉『に…………』の意味がわかる人がいるかしら?」
このままずっと意味知らないままとかモヤるぅ〜!
まず、あのパワーワードをお貴族様が知ってるとは思えない。日本人じゃないと知らないんじゃね? 詰んだ? 詰んだなこれ。
歩きスマホ、ダメ、ゼッタイ!!!
イケナイイケナイ。冷静にならなくては。
まずは、今の私の自己紹介をしましょう。
私の名前はカトレア・ブルーレイと申します。
ペールグリーン王国、ブルーレイ侯爵家の一人娘で十七歳です。ペールグリーン王立学園の二年生で、もうすぐ三年生になります。
両親は貴族には珍しい恋愛結婚です。
顔は社交界の華と言われた母にソックリなので、父に溺愛されており、金髪にエメラルド色の瞳は父譲りで、母にも溺愛されております。
頭の中は謎の言葉『に…………』で、いっぱいです。意味を知りたくて知りたくて知りたいのですが、お上品なお貴族様が知ってるとは思えない、なんとも絶望的⭐︎な、状況に少し動揺を隠せないでいます。
存在を忘れたい……思い出したくもないのですが、一応、婚約者と思われる者が存在しているようです。
公爵家三男のトレバー・ブラウン様です。同じ十七歳で、ミルクティー色の髪と青い瞳の、お顔立ちは貴族なのでそれなりに整っておりますが、頭の方はそれはそれはかなり悪……んんん、残念な方です。いわゆるお花畑系ですね。
そして浮気をするような残念な方でもあります。
婚約して一年になりますが婚約前から、それはそれは仲睦まじくしているご令嬢がおりまして、婚約後も学園内で堂々とそのご令嬢と仲睦まじくしている、とてもとてもとても嫌悪感しかな……んんん、残念な方です。
学園の皆様はトレバー様の婚約者は、このご令嬢だとほとんどの方が思っているのではないでしょうか?
それでいいのに。そうなってしまえばいいのに。いっそ、そうなれ!
失礼、本音が漏れしてしまいました。
トレバー様は私が好意を持っているという、とんでもない妄想……勘違いをしている、とても気持ち悪……気分が悪……頭が悪……本当にとてもとても残念な方です。
どうやら私が彼にゾッコンで、浮気をしてもトレバー様から私が離れることはないと、すっとこどっこいな妄想……勘違いをしている模様。
ご友人にそのようにお話ししていたと、人伝に聞いてしまい、気持ち悪……気分が悪……殴りた……頭が痛くなってしまいました。
勘違いポジディヴマンはごめんでございます。ゾッコンどころか嫌いに全振りですが?
不貞野郎は嫌いです。不貞野郎は嫌いです。
大事なことなので二度。
トレバー様が仲睦まじくしている女性は男爵家の令嬢(三女)らしいです。
三男のトレバー様は、ブルーレイ侯爵家の後継者である私に婿入り予定だったのですが、何を考えているのでしょう? 違いますね、何も考えてないのです。むしろ、トレバー様の頭では考えられないのですね!? わかりますわかります。
私の知ったことじゃないですが、三男と三女で一体どうするつもりでしょうか? お二人がどうなるのか、オモシロ……楽しみ……大変ですね? うふふ♡
そもそも、この婚約はトレバー様のお父君であるブラウン公爵が三男のトレバー様の将来を心配され、家格が上であるのをいいことに、我が侯爵家にゴリ押ししてきたのです。本当に迷惑です。
父も母も私も、嫌々、渋々、絶望しかない婚約を受けるしかなかったのですブラウン公爵はハゲてしまえばいいのに。
イケナイイケナイ、願望が漏れてしまいました。
婿入りするにも色々と、特に頭とか頭とか頭とか……足りないから、邪魔……何の役にも立たな……立場を理解していないトレバー様には、お飾り婿ですらも荷が重すぎるのに、なぜ我が侯爵家が狙われたのだろう?と、疑問に思いました。
駄々っ子のせいでした。アホな駄々っ子のせいだったのです。
ブラウン公爵家の遠縁に当たる、子爵家への婿入りが決まりかけた時、トレバー様が「子爵家なんて嫌だ! 下位なんて俺には似合わない!! 嫌だ嫌だ!」と、アホっ子のように駄々をこねたから……と、聞いた時は遠い目になりました。イヤイヤ期の子供か?
そういえば、初対面で「公爵家より下だが、仕方がないから我慢してやる! 婚約してやるから感謝しろ!」などと、挨拶より先に暴言を吐いた時には、殺意……殴りた……腹立たしさを覚えたのを思い出しました。
思い出すだけでもイラッとします。
この時、すでに男爵令嬢と親密な関係だったのに、私と婚約するとか、彼女の事はどうするつもりだったのでしょうか?
トレバー様はお父君の気持ちなどご存知ないのでしょう。何事も自分に都合よく考える……いえいえ、自分に都合よくしか考えられないが正解でしたね。
それはそれは頭が悪……頭がオカシ……残念なお花畑頭です。年中満開です。お花畑に逝ってしまえばいいのに。
イケナイイケナイ、本音が漏れてしまいました。
だいたいさぁ、下位貴族が嫌とか言ってるのに、親密な関係になったのが男爵令嬢って……。
バカなの?(笑)
◇◇◇◇◇
婚約に関しての条件は、お父様が私のために考えて決めました。
その条件が『婚約者としての義務を怠った場合や婚約者として不誠実な行いをした場合は、ブラウン公爵家有責での婚約の解消、もしくは破棄とする。婚約の解消、もしくは破棄となった場合は、再婚約することはできない』です。
とても簡単です。
娘のために考えた条件にしては、ちょっとどうかと……と、思ってます? うふふ。
常識のある方、であれば簡単な条件です。
ブラウン公爵も、そう思った事でしょう。
迷うことなく笑顔で承諾いたしましたから。
ええ、常識がある方であれば……ですがね。
トレバー様から最も遠いところにあるのが、常識です。
ブラウン公爵様は親バカなのでしょうか? 親バカなのでしょう。親バカでしかないですね。
トレバー様には、すでに親密な関係の女性がいますが、ブラウン公爵様は知らないようです。
婚約破棄の決定的な理由になりますからね、お父様も私も、わざわざ教えたりしません。
それを理由に断れば、トレバー様と男爵令嬢を別れさせ、そのような事は無かったとし、強引に婚約させられるのは目に見えてます。
だからこそ、あえて婚約をしてからの解消、もしくは破棄を狙いました。二度と婚約できないようにするために。
相手がトレバー様だからできた事ですね。
婚約したからと言って、トレバー様がその方と別れたり、距離を置くなど考えられませんでした。
距離を置くなど、トレバー様は思いつきもしな……考えるほど頭がな……うん、おバカさんなので、何事も軽く、それはそれはトレバー様の頭の中身のように、かるーくしか考えていないですね。考えてすらいないかもです。
頭がお花畑の方は羞恥心や危機感などは無いのでしょう。ウラヤマシイことです。嘘です。心にも無いことを言いました。
トレバー様の頭が悪すぎ……馬鹿すぎ……何も考えてないから、この条件すらも守れないだろうということを見越して、お父様はこの条件を出したのですが……。
案の定、婚約者になってからの一年、夜会や舞踏会などでのエスコートは一度もなく、手紙の返事もなく、贈り物もなく、お茶会なども一度もありません。
それはそれはとーっても喜ばしいくらい、見事なまでに一切、何もありません。
婚約後も変わらず男爵令嬢と大変親密な関係ですので、当然のことながら浮気になります。
婚約者としての義務を怠りまくった上に、浮気もしているので、トレバー様の有責で婚約破棄は確定!! と、お父様が喜び…申しておりました。
ヤッター!! トレバー様、グッジョブです! ありがとうございます! お花畑バンザイ!!
◇◇◇◇◇
明日は三年生の皆様の卒業式です。卒業式の後には卒業パーティーがあります。
一年後は私も卒業なのね……と思うと感慨深いものがあります。
トレバー様と婚約してからは友人達にも協力してもらい、学園ではなるべくトレバー様を視界に入れないようにしていた記憶しかないです。
あれ? 学園の思い出がこれってやばくない? 待って、私ちょっと不憫過ぎない!?
いやいや、学園生活はあと一年あるので、これから青春しますよ! 楽しみです! うふふ。
王立学園は成績でクラス分けされているので、トレバー様の頭がアレでクラスは離れていましたから、会う確率は低めだったのは幸いです一生会えない距離まで行ってしまえばいいのに。
イケナイイケナイ、願望が漏れまくってしまいました。
明日は何かが起こりそうな予感がします♡←
◇◇◇◇◇
いよいよ卒業パーティーです。
卒業パーティーは卒業生、在校生も含め、婚約者がいる人はエスコートしてもらい、婚約者がいない人は同性の友人同士や一人での参加も可能です。
私はお父様の親友の友人のお知り合いの親戚のアンバーディル公爵家のご令息、カール・アンバーディル様がエスコートしてくださいます。
金髪碧眼でお顔も頭もとても良く、女性に大変人気があるのですが、なかなか女性に靡かないので、浮いた噂もない誠実な方です。好き♡
ブラウン公爵令息とは真逆で、大変、非常に、極めて好ましいです。
学園では同じクラスです。見た目も中身も、ぶっちゃけ私の好みです! 好き♡
卒業パーティーが始まって早々に、似つかわしくない声がします……。
おやおや、声の主はおバカさ……残念ボーイのブラウン公爵令息ですね。
腕には茶色の髪に茶色の目をした、顔はそこそこ可愛い令嬢がぶら下がってます。彼女が例の男爵令嬢なのでしょう。
頭にどデカいどピンクのリボンをしてますが、あのリボンが許されるのは一桁の年齢までではないでしょうか?
ドレスもどピンクです。その色の生地はどこに売っていたのでしょう?
本人の色味が髪も目も茶系で少し地味……控えめなのでリボンとドレスはどピンクにしたのでしょうかね。正直、目がチカチカします。
お名前は存じ上げませんので、ピンク様(仮)とお呼びしましょう。
ピンク様(仮)が、ドヤ顔でこちらを見てます。
なんだか頭と性格が悪そう。
イケナイイケナイ、本音がだだ漏れ⭐︎
「カトレア・ブルーレイ! 貴様との婚約は今日この場で破棄する!」
呼び捨てやめろ! マジでムカつくから!
おっと、前世の私が少し出てしまいました。
「ブラウン公爵令息、婚約は一ヶ月前に破棄されてます。あなたの有責で。それと、もう婚約者ではありませんので、呼び捨てはおやめくださいね」
「は? え? 一ヶ月? え? 破棄されてる? え? え?」
あらあら、残念ボーイが壊れたオモチャのようです。
「婚約者としての義務を一度も果たしてないのですから当たり前なのでは? 婚約前から親密な関係の女性がいるご様子ですし、その女性をいつもエスコートして、私がエスコートしていただいたことは一度もありません。手紙の返事をいただいたことも一度もありません。贈り物などいただいたことも一度もありません。あら? そういえば、お茶会も一度もないですね? 初対面の「公爵家より下だが、仕方がないから我慢してやる! 婚約してやるから感謝しろ!」との暴言……挨拶?以外、ほぼというか、マッタク会話した記憶がないのですが? これはもう他人ですよね? むしろ他人以下です」
トレバー様の言葉をトレバー様のモノマネ付きで披露してみました。なかなかに似ていて、自分でどん引きしてしまいました。トリハダー!
会場がざわついていますね。特に女性が信じられないものを見る目でブラウン公爵令息を見てます。
「……俺の有責で……一ヶ月前に破棄……」
頭残念ボーイは途中から話聞いてねぇし!
あ、また前世の私が。
「私とはもう他人ですので、心置きなくピンク様(仮)とお幸せに」
「え? ピンク様!? え? ちょっとトレバー、ピンク様って誰!? どの女よ! ピンクは私のなのよ! 横取りしたのはどこの女なの!? ねえ、トレバー聞いてる!?」
……ピンク様(仮)も、やっぱり頭が足りな……残念なのね……。
カール・アンバーディル様が、見たこともない生き物を見るような目でピンク様(仮)を見てます。共感しかありません。好き♡
「……俺の有責で……」
頭残念ボーイはまったく話聞いてねぇし!
ちゃんと聞け?
「ねえ、ねえ、トレバーってば、聞いてる? ピンク様って誰よ! 浮気は許さないんだから! 私の方が可愛いのに! 誰が私のピンクとトレバーを取ったの? ねえってば!」
珍獣……ピンク様(仮)ちょっとうるさい。
それに、トレバー様よりピンクが先なんですね?
カール・アンバーディル様が、死んだ魚のような目で珍獣ピンク様(仮)を見てます。理解不能ですよね? わかりますわかります。好き♡
「(頭が)足りな……残ね……お花畑同士でとてもお似合いだと思います」
「え? え? お花畑? トレバーお花畑! 私もお花畑行きたい!」
どうぞどうぞ逝ってください。永遠に♡
カール・アンバーディル様が、遠い目をしています。最早、視界に入れてはいけないモノと判断したようです。大正解でしかありません。好き♡
「おい! 何で俺の有責なんだよ! 隣の男は誰だ!? もしかして浮気相手か? 浮気相手だろ! 浮気をしているのは貴様だ! 浮気をした貴様の有責だ!」
「……………」 トリ頭めっ! 婚約は一ヶ月も前に無くなってるわ!
「失礼ですね。お父様のご友人を通してお話をいただいて、エスコートしていただいてるのですよ。貴方じゃあるまし、浮気なんて最低な事はしませんよ」
あ。本音も口からこぼれ出ちゃいました⭐︎てへぺろ(笑)
カール・アンバーディル様が、コイツの頭は大丈夫か? という目で、トリ頭残念ボーイを見てますね。大丈夫じゃないです。とっくに手遅れですね。
トリ頭残念ボーイと珍獣ピンク様(仮)が、浮気したしてない、ピンク様は誰だ、そんなヤツ知らないと揉めてますが、うるさいです。とてもうるさいです。痴話喧嘩なら他でやれ!
卒業生のための卒業パーティーが台無し。
この二人は邪魔……関わりたくないから、お花畑でもどこでもいいから飛んで行けー!
はっ! 今気がつきましたが、卒業パーティーで会場にはたくさん人が集まってるではないですか!
そして今、アホ……お花畑さん達のお陰でちょっと注目されてる。悪い意味で、ではありますがね。
でも、これはもしかしてチャンスなのでは!?
アレを尋ねる絶好のチャンスではないでしょうか?
「卒業生の皆様、私事でお騒がせしてしまい申し訳ありません。もう少しだけお時間をいただく事をお許しください。皆様の中に『に…………』をご存知の方はいらっしゃいますか? 私はどうしてもどうしてもどうぅぅぅしても!この言葉の意味を知りたいのです! 知っている方がいましたら、是非教えてくださいっ!! よろしくお願いいたします!!」
あ。前世の無念のあまり、つい力が入ってしまいました。
「に…………? 何だ? 何かの呪文か?」
「聞いたことないけど、呪いか何かなのでは?」
ざわざわと会場のあちこちから疑問の声は聞こえてますが……。
誰も知らなそうです。残念無念ですぅ……。
ん? 何でしょう? カール・アンバーディル様が目を見開いています。
どんな顔もイケメンね! 好き♡
「……カトレア・ブルーレイ嬢、『に…………』を私は知っています」
「え!? マジで!? 結婚してください!!」
あ、興奮しすぎて前世と本音が出ちゃった!
これは恥ずか死ぃぃぃ!
とても淑女とは思えない、アホ丸出しの私にも動揺することなく、カール・アンバーディル様は
「はい、よろしくお願いします」
と、素敵すぎる笑顔で答えてくれました! 嬉しすぎて倒れそう! 好き♡
なんかもう飛び跳ねたい、飛び跳ねたいけど、社交界でそれをやったら完全にアウト!
心の中で小躍りしてみた(笑)
今夜は興奮して眠れませんっ!!
◇◇◇◇◇
後日、アンバーディル公爵家とブルーレイ侯爵家とで話し合いの場が持たれ、カール様と婚約する事になりました!
元々、私の婚約破棄を知り、婚約を申し込もうとしてくれていたらしいのです。
嬉しすぎて、天にも昇る気持ちとはこの事ね!
カール様は次男なので、我が家に婿入り可能なのも運命的なものを感じます。
いや、まごうことなき運命です!
「カール様も前世は日本人だったのですね」
「うん。中の人、アラフォーのおっさんだけど、いいかな?」
「いいです! 全然いいです! てか、衆人環視の中、プロポーズしたのは私ですから!! 逆にカール様は、こんな私で大丈夫です?」
「え? 大歓迎だけど? 婚約を申し込もうとしてたくらいだからね」
「ではでは、これからもよろしくお願いします」
「こちらこそ、よろしくお願いします」
そうなのです。
実はカール様も転生者だったのです。
しかも、日本人だったので同郷のよしみ? みたいな感じで、ソッコー仲良くなりました!
カトレアの人格のお陰なのか、男性に対してコミュ障だったはずなのに、コミュ障が発動しませんでした!
これは絶対に運命ですね!
『に…………』が繋いだご縁?
えー……、なんかそれはちょっと(笑)
◇◇◇◇◇
謎のパワーワードの意味は卒業パーティーからの帰りにちゃんと教えてもらいました。
パワーワードすぎて衝撃的……。
「『にぎりっぺ』の“ぺ”は屁の事だよ」
「へ?」
「屁、つまりオナラ」
「えっ!? オナラってあのオナラ!?」
「そう、そのオナラ。『にぎりっぺ』は、オナラが出そうな時に手を尻の前に持って行って、出したオナラを手で握り、他の人の鼻先でその手を開いてオナラを嗅がせることだね。まあ、イタズラとかちょっとした嫌がらせみたいなものかな」
と、カール様がジェスチャー付きで教えてくれた。
情報過多だし、斜め上にパワーワードすぎて白目。
いやいやいやいや、待て待て待て待て!
白目になっている場合ではない!
死にかけJKに『にぎりっぺ』って何か聞かれたら、イケオジの気持ちぃぃぃ!
そりゃあ、イケオジも目を見開くわ!
恥ずか死ぬ!! マジで恥ずか死ぬ!! いや死んだけど!! 死んだけどね!!
最後の言葉がソレって、前世の私、やばいな!
羞恥プレイすぎる……。
親切なイケオジ様、前世の私がなんかすいませんっ!
そして、動揺を隠して、一生懸命教えようとしてくれてありがとう。
◇◇◇◇◇
あの卒業パティー以来、なぜか『にぎりっぺ』が恋の呪文とか縁結びの呪いとか勘違いされ、夜会や舞踏会で『にぎりっぺ』と聞こえてくる。
『にぎりっぺ』の真実を知ってしまった私は、その度に笑いを堪えるのが大変。
お腹痛いからやめて! 腹筋やばい!
不本意だけど、誤解は私がキッカケのようですからね。不本意だけど。
『にぎりっぺ』を知ってる人いたら教えて→聞いた事ないけど、何かの呪文なのでは?→恋の呪いっぽい?→『にぎりっぺ』知ってる人現れる→知っていたカール様にプロポーズ→モテるカール様と婚約!?→あれは恋の呪文だったのでは?→想い人に試した人がいるらしい→本当に婚約できたらしい→やっぱり恋の呪文らしい!←イマココ。
と、まあ、偶然が重なり、皆様がとんだ誤解をされた模様。
運がいいのか悪いのか、社交界は噂が回るのが早い。
私が気づいた時には『にぎりっぺ』が間違った方向で広がっていた。
そういえば……。
『にぎりっぺ』について聞かれた時、まさか上品なお貴族様にオナラの話をするわけにもいかないから、答えに困って曖昧に笑って誤魔化してたのよね。
そしたら、いつの間にか『にぎりっぺ』が、やっぱり恋の呪文なのでは? と、誤った情報が広がったっぽい。
え? やっぱりって何!? てか、『にぎりっぺ』が恋の呪文ってウケるんだけど!
…………………あれ? 待って。
ひょっとして、私のせい? 私のせいなのか? ヤラかした?
今世の私がなんかすみませーん。
異世界で『にぎりっぺ』は恋の呪文になってしまうし、上品な淑女が『にぎりっぺ』とか言ってるし……ジワる。
カール様は笑い過ぎてお腹が捩れそう、とか言ってるし。
カール様も『にぎりっぺ』が、恋の呪文か聞かれたらしいんだけど、「『にぎりっぺ』が恋の呪文なんて面白すぎるから、適当に笑って誤魔化しておいた(笑)」って言ってました。
誤魔化し方が私と一緒じゃん!
うん! 誤った情報は私だけのせいじゃないと思う。
私の『にぎりっぺ』事件から、女性が積極的に告白したりプロポーズする様子が見られるようになった。
え? それって淑女的に大丈夫なの? なんてハシタナイ!とか、先輩淑女様達に言われない? と、心配になったんだけど、私が言うなって感じよね(笑)
どの世界も恋する女子は強い。
でも、想いを伝えるのが『にぎりっぺ』って……。
『にぎりっぺ』の真実を知ったら、どうなってしまうのでしょう……。コワイコワイ。
こうなったら『にぎりっぺ』の真実は墓場まで持って行こう。
余談だけど、珍獣ピンク様(仮)が、トレバー様に『にぎりっぺ』を連発(笑)して、婚約したらしいとの噂ですが……。
両家の親御様達が「お前達は婚約したら、三男と三女で継げる爵位も頭も無いから、学園を卒業したら貴族ではいられなくなる」と、何度も説明されたのに、事の重大さがよくわかってない二人は、自分達に都合よく脳内変換したらしく「「幸せになろうね!」」と、お花畑を存分に発揮していたようです。
さすがの親御様達も、まさかここまでアホだったとは……と、呆れて匙を投げたとか。
後継者である、ご兄弟が優秀だと末っ子は甘やかされがちですものね。
ブラウン公爵様は親バカではなかったのですね? 親バカ認定してしまって、なんかすみません。
でも、婚約をゴリ押ししてきた件は許してませんからハゲてしまえばいい。
お花畑さん達の今後がどうなるのかオモシロ……笑う……楽し……心配です。うふふ♡
◇◇◇◇◇
私とカール様は楽しい毎日を送っています。
学園でも同じクラスなので、お昼も一緒に食べてます。ラブラブです♡きゃ♡
トレバー様が婚約者だった時の憂鬱感と絶望感はカール様のお陰でどこかへ吹っ飛びました! うぇーい!
前世の話もしてます。前世の話をすると言葉遣いが前世よりになったりします。
私が、異世界に転生するキッカケが『にぎりっぺ』だったと知って、めっちゃ笑われました。
結果的に『にぎりっぺ』が縁結びに……。解せぬ(笑)
カール様は過労死だそうです。
疲れて、ベッドに倒れ込むように眠って、起きたら異世界だったそう。
そんなラブラブな私達の前に、最近、お花畑さん達がちょろちょろと現れるの、マジでやめて欲しい。不快。視界に入ってくるな。
「お花畑なりに、自分達がやばい事に気づき始めたのかも? でも視界に入ってくるのは、鬱陶しいなぁ。何かしてきたら容赦はしないけどね」と、カール様が黒い……良い笑顔で申しておりました。好き♡
二人はさっさとお花畑に飛んで行けばいいのに。
これからカール様とデートです! うふふ♡
それでは皆様、ごきげんよう。
【END】
拙い作品を最後までお読みいただき、ありがとうございました。
心優しいあなた様に良い事がありますように♡




