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嫁いびりはナンセンス  作者: 櫻木サヱ
結婚と新しい家族
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義姉との挨拶

義実家のリビングに足を踏み入れた瞬間、私は背筋がピンと伸びた。空気が変わったのを感じる。今日は、義姉に初めてまともに挨拶をする日。心の中では小さな戦争が起きていた。

「どうか、夫の妹として認められますように…」

心の底で祈る。いや、祈るというより、長男教に忠誠を誓う信者のような気持ちだった。夫、すなわち私の絶対的な守護神がいる家の中で、私はその守護神を中心に全身全霊で生きる存在でありたいと願っていた。


義姉は現れた。すらりと背の高い彼女は、笑顔を浮かべているが、その笑顔には「私は長男教の正しい信者よ」という圧が込められているように見えた。私は瞬間的に、膝の力が抜けそうになった。こんなとき、守護神である夫の存在がどれほど大事か、痛いほど実感する。


「初めまして…」

小さな声で挨拶をすると、義姉は微笑みながらも、鋭い視線で私を観察していた。まるで試されているような感覚が、全身に張り巡らされる。「ああ、私、ちゃんと夫を中心に据えて生きているってわかってもらわなきゃ…」

頭の中で念仏のように繰り返す。夫のために生きる、夫を守る、夫に甘える――それが私のすべて。義姉が私をどう思うかなど、二の次だった。だって、私にとって絶対の基準は夫の目なのだ。


会話が始まると、義姉は軽く私をからかうような調子で質問を投げてくる。

「結婚してすぐに、もう家事とか慣れたの?」

心臓がバクバクして、思わず手が震えた。だが、私は瞬時に心の中で夫を思い浮かべる。彼の微笑み、彼の「大丈夫だよ」という声。それだけで、緊張が少しずつ溶けていく。

「はい、まだ勉強中ですけど、頑張ります…」

言葉少なに答えながらも、胸の奥では「夫のために、私はどんな困難も乗り越える」と誓う。義姉に認められるかどうかは二の次。夫が私を見て、微笑んでくれれば、それで十分だった。


義姉が少し微笑みを緩めた瞬間、私は胸の奥で小さな歓喜を感じた。「ああ、守護神の家族の一員として、少しずつ認めてもらえるかもしれない…」

思わず膝の力が緩み、夫に寄りかかりたい衝動が湧き上がる。全身の神経が夫の存在に集中する感覚。まるで長男教の信者が神にすがるときのように、私は夫という絶対的存在に全てを委ねるのだと、自分の心を確認した。


会話が終わり、義姉が立ち去ると、私は大きく息をついた。肩の力が抜ける。守護神である夫がそばにいることが、どれほど私に安心と力を与えてくれるかを改めて実感する。

「よし、これで少しは家族として認めてもらえたはず…」

小さな達成感に胸を膨らませながら、私は夫の手をぎゅっと握った。その温もりに、全ての不安が溶け、私はこの家で生きていく勇気を少しずつ手に入れたのだった。


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