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静寂の密室と再び動く影
夜の家。義母の足音が遠ざかる。
夫と二人きりのリビングは、まるで戦場の静けさみたいに張りつめている。
ヒロインは微笑みながらも、胸の奥では冷たく計算していた。
義姉の敗退を見た義母は、次にどう動くか――。
夫は何も知らず、穏やかに話しかけてくる。
「最近、母さんも落ち着いてるみたいだな」
「そうね。でも、あの人は簡単には引かないわ」
その声の裏に、ヒロインは炎を隠していた。
「あなたは私が守るの。誰が何を言っても」
その一言に夫は少しだけ目を見開く。
彼女の瞳には、愛と独占が入り混じった深い闇が揺れていた。
窓の外で、義母の影がわずかに動く。
――やっぱり。見てる。
ヒロインは薄く笑った。
「いいわ、見ていなさい。あなたの“可愛い息子”が、どれだけ私のものかを」
彼女の中で、黒い沼が再び静かに広がる。
もう誰にも奪わせない。
誰が仕掛けても、すべては私の舞台の上。
義母も、義姉も、そして夫さえも――。




