覚醒☆
朝日が窓から差し込む。
布団の中で目を覚ますと、胸の奥の黒い沼が、昨日よりも少し落ち着いていることに気づく。
「…私、何してたんだろう」
小さくつぶやく。
長男教マザコンの夫への独占欲、義母・義姉との心理戦、全てに全力で巻き込まれていた自分――
その混乱とドロ沼が、少しずつ頭の中で整理され始める。
手に触れる夫の腕。
それは私の神だけど、私だけの所有物じゃない。
独占するだけではなく、信頼し、寄り添うことも大切だと、体が教えてくれる。
「嫉妬…だけじゃダメだ」
心の奥で小さな声が囁く。
ずっと埋もれていた“私自身の感情”が、ゆっくりと目覚める瞬間。
布団から起き上がり、鏡を見る。
瞳はまだ甘く、ねっとりした余韻を残すけれど、そこには昨日までの悪魔的嫉妬とは違う、自覚と覚悟が宿っている。
「私…私の神様を守るだけじゃなく、自分の感情もちゃんと持たなきゃ」
小さく笑う唇。
胸の奥の泥もまだねっとり絡んでいるけれど、それを制御できる力を自分で握る――
そんな感覚が、体全体に広がる。
夫が寝起きのまま部屋に入ってくる。
「おはよう…」
その声に、私は微笑んで応える。
「おはよう…今日も、あなたのそばにいるよ」
以前のようにただ縋るのではなく、心の芯で自分の感情を握ったまま。
胸の奥で、ずぶずぶだった沼は、まだねっとり残っているけれど…
少しずつ、自分の中で整理され、コントロール可能になってきた。




