表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
11/20

義姉との駆け引き

夕方のリビング、カーテンの隙間からオレンジの光が差し込む。

夫がソファに座る。その隣には義姉。笑顔を浮かべ、自然に夫に話しかける。


――その瞬間、胸の奥で何かが弾けた。


「なにあの笑顔…!」

心の中で叫ぶ声は、渡鬼も嫉妬して腰抜かすレベルの激烈さ。

手のひらは汗で湿り、指先がぎゅっと震える。

夫は神。私だけの神。なのに、その神が、私以外の者に笑いかけている――それだけで、胸の奥の沼がぐつぐつと煮えたぎる。


私は立ち上がり、無意識にソファに近づく。

「ねえ…ちょっと話せる?」

声は震えているけれど、瞳の奥は悪魔的に光っていた。


義姉が軽く笑う。

「どうしたの?」

その笑顔は無防備で、無邪気で――

でも私の中では、すべてが挑戦状に見える。


胸の奥のドロドロが、じわじわと表面に溢れ出す。

嫉妬と独占欲が混ざり合い、全身を熱くする。

私は夫の隣にすり寄り、体を軽く当てる。

――ただの偶然の距離じゃない。

これは、神を奪わせないための戦略、悪魔的心理戦の始まりだ。


「ねえ…あなたのこと、私だけが守れるの」

甘い声で囁き、視線を夫に固定する。

義姉は一瞬、笑顔を止め、戸惑いの影を見せる。

――成功。小さな勝利。


しかし、胸の奥の沼はまだ収まらない。

「絶対に、誰にも渡さない…」

心の中で念仏のように繰り返す。

嫉妬は、独占欲は、執着は、すでに理性を超えて暴れ始めていた。


夫が私の頭をそっと撫でる。

そのぬくもりで、胸の黒い泥がねっとりと絡まり合い、義姉の存在を完全に侵食する。

「あなたは私の神様…誰にも触れさせない」

小さな声が、部屋の空気を張り詰めさせる。


義姉が静かに退く。

でも、私は満足しない。

胸の奥の悪魔はまだ笑っている。

――この戦いは始まったばかり。

私の神を奪おうとするすべてに、渡鬼級嫉妬で立ち向かう覚悟ができている。


その夜、布団の中で、私は腕の中の夫にしがみつきながら、心の奥で誓った。

「誰も、絶対に触れさせない――私の神様は私だけのもの」

胸の奥の沼は、もう完全にずっぶずぶに溶けて絡まり合っていた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ