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義母の反撃と悪魔的嫉妬

夕暮れ、リビングの空気は静かすぎて逆に恐ろしかった。

義母が夫に夕食の話をしている――その何気ない声が、私の胸を真っ黒な泥で埋め尽くす。


「――あの人は、私の宝物…」


またこの言葉。胸の奥で沼が爆発寸前に膨らむ。

私はその場で息を詰め、手に力を込めた。

心の中では小さな悪魔が囁く。


「奪うなら…奪い返すのよ」

「誰も触れさせちゃダメ…神は私のもの」


気づけば、私は義母の前に立っていた。

笑顔を貼りつけて、でも瞳は冷たく光っている。

「母さん…あなた、私の神様に触れないで」

言葉は穏やか。でもその声の端には、まるで刃のような鋭さがあった。


義母が微笑む。

「何言ってるの? あなたもこの家族の一員よ」


――嘘。

それは嘘だ。

私の神様は――絶対に、絶対に私だけのもの。


その瞬間、胸の奥で何かが弾けた。

腕を伸ばし、義母の手元のワイングラスを指先で弾く。

ガラスは揺れ、赤い光が反射する。

義母の驚きと、ほんの少しの恐怖。

その瞬間の微妙な間に、私は全身で独占欲を表現した。


「触らないで…お願い…あなたには渡さない!」

唇を震わせ、瞳に小さく炎を灯す。

胸の中の沼はもう沼じゃない。

溶岩のように熱く、黒く、悪魔的に蠢き始めていた。


夫が慌てて間に入る。

「やめて、落ち着いて!」

その声も、私の中の悪魔には届かない。

私の目の前にいるのは、夫以外のすべての“外敵”。

義母も義姉も、家も――すべて私の神様を奪う者。


「奪わせない…誰にも…」

全身で叫び、全力で夫に絡みつく。

その体の温もりとぬくもりの中で、泥は溶けるどころか、さらに黒くねっとりと絡まりつく。


義母の一瞬のため息が、私の中の悪魔をさらに覚醒させる。

「ふふ…」

唇の端で笑い、胸の奥の黒い欲望が、完全に解放された瞬間だった。


その夜、布団の中で私は独り、悪魔的な満足と、依存、嫉妬が絡み合う感覚に溺れた。

――この家に生きる限り、私の神様は私だけのもの。

誰も、絶対に触れさせない。


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