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嫁いびりはナンセンス  作者: 櫻木サヱ
結婚と新しい家族
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結婚式の喜び

青空が澄み渡った秋の午前、私は真っ白なドレスを身にまとい、両親の腕に抱かれながら祭壇へと歩いた。外から差し込む日差しが、ドレスのレースを透かし、まるで光そのものが私を祝福しているかのようだった。花嫁としての緊張と、これから始まる人生への期待が入り混じり、胸が高鳴る。


「大丈夫、笑顔で」と自分に言い聞かせるが、手のひらはじんわりと汗で湿っていた。周囲の親戚や友人たちは満面の笑みで私を見つめ、歓声と拍手が会場を包む。聞こえてくるのは、笑い声、祝福の声、シャッターの音、そして自分の心臓の鼓動。すべてが私の胸に鮮明に刻まれる瞬間だった。


歩きながらふと思った。「本当に、私はこれからこの人生を歩むのだろうか」と。喜びだけではなく、小さな不安も胸にあった。両親や友人たちの前では笑顔を作るけれど、心の奥底では、知らない世界に飛び込む恐怖がほんの少しだけ顔を出していた。


祭壇の前に立つと、夫が優しい眼差しでこちらを見ている。長い間、一緒に未来を夢見てきたはずなのに、いざ現実の場面で向かい合うと、その表情に言葉では言い表せない緊張が交錯しているのがわかった。


司祭の言葉が静かに流れる。誓いの言葉、愛の宣言、二人で歩む未来。ひとつひとつが心に深く染み込む。夫の手を握ると、その温もりに安心感が広がり、「どんなことがあっても、私たちは一緒に乗り越えていける」と自然に思えた。


式が進むにつれて、参列者の顔や表情がひとつひとつ目に入る。笑顔の中には涙を流す人もいて、感情の波が会場全体を柔らかく包む。友人の「おめでとう!」の声や、母の小さく震える手のひらの感触。すべてが、私にとってかけがえのない瞬間だと胸に刻まれた。


しかし、その幸福感の裏側で、心のどこかに小さな不安が芽生える。義母や義姉、そして新しい家族と過ごす日々…私はうまくやっていけるだろうか。笑顔で祝福されている今だからこそ、逆に「まだ知らない現実」が心にちらつくのだった。


誓いの指輪を交換する瞬間、指先から伝わる温かさに、私は言葉にならない決意を抱いた。「これからの人生、どんな困難も乗り越えよう。私は私らしく、でも家族の一員として生きていこう」と。


式が終わり、カメラのフラッシュが光る中、私は深く息をついた。涙と笑顔が入り混じるその瞬間、世界は鮮やかに輝いて見えた。喜び、期待、不安、緊張…すべてが私の胸の中で混ざり合い、ひとつの強い感情になった。「これからの人生は、私の手で切り開くのだ」と、静かに心に誓った日だった。

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