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ひと雫  作者: ジヘイ
6/8

結局、わたしとマコは擦り傷と打ち身だけで、コウはわたしたちの代わりに瓦礫の大半を受けたにもかかわらず、奇跡的にも腕の骨折、肋骨のひびと軽度の頭の裂傷だけで済んだ。

なのに、1週間たった今も、コウの意識は戻らない。


わたしのせいで、コウは傷ついてばっかりだね。



あれから、わたしとマコは母の所で世話になっていた。

精神的に参ってしまったわたしを見かねてのことだった。

それにマコを見舞いへ連れて行くわけにもいかなかったから。


毎日見る、眠り姫のようなコウ。


キスをすれば目覚めたりして。

そういえば、コウの寝顔っていつから見てないんだっけ?


とりとめなく話しかける。

毎日、毎日。


「まま、コウ、どうしちゃの?」


隣でベッドの上のコウを見上げてる、マコ。


「コウはね、今眠ってるのよ。だから、シーっね。」

「うん、シーッ。」


今日は、マコがどうしてもわたしについて来ると言い出して。

おとなしくすることを約束させて連れて来た。


静かにしているように言っても、もう飽きてしまったのか、そわそわし出している。

ベッドの横のイスに座り、マコをひざにだっこする。


「マコ、じゃあ、ちっさい声でお話しよっか。」

「うん、ちさいこえ。」

「マコは、コウのこと好き?」

「うん、しゅき!まお、およねしゃんなゆの!」

「コウのお嫁さん!?」

「うん、およねしゃん!」

「そんなにしゅきなのねー。でも、だめなんだよ~。」

「えぇ!だめ!コウ、まお、きらい?」


もう、そんなにウルウルしちゃって、かわいいんだから。


「違うよ、コウはマコのこと大好きだよ。でも、ねぇ。マコひみつまもれる?」


悪戯心が出てきちゃったかな?


「ひみちゅ?」

「そ、絶対他の人に言っちゃだめだよってこと。守れる?」


ひみつという言葉に反応して、顔が輝いてるぞ。

必死に首を縦に振るマコに、さらに小声で伝える。


「コウはね、マコのパパなんだよ。これはひみつのひみつだからね。」

「ぱぱ!?」

「こら、シーッ。」


慌てて、口を手でふさぐマコ。



ピクッ


視界の隅で何かが動いた気がした。


え?

手?動いた?


はやる気持ちを抑えて、視線を顔の方へ上げていけば、ゆっくりとまぶたが開いて。


「ま、り?」

小さく、かすれた声が名を刻んだ。


「こ、コウ!」


あふれてくる涙は止まらないのに、声はつまって出てこない。

何が起こったかわかっていない、大小の2人は首をかしげている。


パニックになりながらも、マコをひざから下ろし、先生を呼んだ。


とりあえず、先生の診察が終わるまでの間に、マコを母へ預け、すぐに戻ってきた。

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