表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
96/98

第96話 読書タイム

 騒がしいメーゲンとのやり取りを終えて読書タイム。


 メーゲンがお茶を持ってきてくれたりしながらゆったりとした時間を過ごした。


 ザンカは本を目にするやいなや突っ伏して寝てしまう。


 本を読むような奴には見えないからなぁ。


 とりあえず俺とリィナ、ニャーで読み進めていく。


 なんとなく予想はしていたけれど勇者に関する本のほとんどは伝承やら英雄譚が大半を占めていた。


 物語調に綴られたものから淡々と事実のみを記録された史実まであるのに驚く。


 そして女王の話していた神龍についての記述を見つけた。


 あの時は気が引けて神龍について聞けなかったけど、こうして神龍についての情報を見つけられたのは幸運だっただろう。


「女王様から神龍の話があったけど……これが復活したってだいぶまずくないか?」


「あまり実感はないですけどそうですね」


「この7人の勇者が力を合わせて大地に封印したというのが物語の最後だけど封が破られたってことかな?」


「すみません。私もお伽のお話を少し知っているだけでどのようなものか……」


「あ、いや。ただ単純にどうなんだろ? って思ったこと言っただけ。リィナの知識には助けられてばっかりだから感謝してるよ」


「えへへ」


 リィナの照れる仕草はまあ……なんとまあ言葉に言い表し難い。


「竜種の頂きにありし黒き龍。二対の翼は山を崩し海を荒らし地底に眠りし凶悪な魔物を従え地上に災厄をもたらす……かぁ」


「実際に遭遇してみないとわからないにゃ」


「ああ……」


 これは他人事ではないだろう。


 7人の勇者が力を合わせてようやく封印できた存在ということはよほどの強敵だ。


 時が来たら俺もこの神龍と戦わないといけない。


 その時、俺はリィナを守りきれるだろうか。


 それ以前にそんな強大な敵を前に俺は戦えるのだろうか。


 ああ、もう。


 とりあえず考えてもらちが明かない。


 その日を迎えるまでに何としてでも強くならなくちゃいけない。


 今のままじゃだめだ。


 思わず拳に力が入ってしまう。


 それから他の勇者についての話を読み進めていくと6番目の勇者についての記述も見つけた。


 勇者となり称えられた存在ですら力を持て余し魔王となった。


 数々の人々を手にかけ一切合切を斬り刻んだと。


 詳細の記録はない。


 ただ淡々と事実だけが述べられているようなものだった。


 マーレクラム王国を滅ぼし王族を惨殺。


 以降、力による戦いが蔓延る王国となり聖剣の勇者、紅蓮の勇者に討伐された。


 6番目についてもあまり詳しい内容は知ることはできなかったか。


 勇者の有名な話はいろいろ残ってるもののやはり詳しく記されているものは少ない。


 唯一詳細が残ってる者というと。


 魔獣使いの勇者だ。


「このさ。英雄譚のお話があった場所でここから一番近い所がシルヴァヘイローって森林なんだね」


「魔獣使いの勇者様のお墓がある場所ですね?」


「うん。学術国家セイエンティアへと向かう道中でもあるし行ってみない?」


「そうですね。私もどんな場所か興味があります」


 それからいろいろと読み漁っている最中にメーゲンがとても古めかしい本を持ってきてくれた。


 カバーは真新しいものであるがページがボロボロだ。


 しかし、それ以上にとても目を引くものがあった。


「日本語だ」


「はい。大体の書いてあることはもう解読済みではありますがいかがですか?」


「そう……だな」


 ページをめくるとそこには文字が滲んだり破れてわからなくなってしまった箇所がところどころあった。


 題名はかすれてて読めない。


 次の勇者へこの手記を書き残すの出だしからこの世界で生きて人を愛してこの世界を護るべく戦ったことが書いてあった。 


 私達では成しえることのできなかった────をいつか果たせる日が来ることを祈る。


 この手記を書いた人の名は金剛こんごう いさむという。


 中学五年という将来の選択をした日ってあるけど日本か?


 でもこの世界に私が生まれた帝国はないなんて書いてある。


 もうよくわからない。


 その後は天性の英霊の加護やら魔術の面白さに魅入って魔術師になった経緯などが書かれていた。


 しかし、序盤は読めたけれどところどころ切れてて肝心なところが読めない。


 すっごい今知りたいことが書いてある感じなのにとても残念だ。


 あとは龍脈の秘跡についてだ。


 どういうわけか龍脈の秘跡は全てつながっているようで一度訪れたことがあるのなら龍脈の秘跡を介して瞬時に移動できるのだそうだ。


「あの秘跡ってすごい便利なんだな……」


「つまり私達が旅に出たとしても出先で龍脈の秘跡があれば、すぐにアーグレンに帰ることできるのでしょうか?」


「そういうことになるにゃ」


「あ! ニャーを連れて龍脈の秘跡に行った時にニャーの多機能な画面にそんなのがあったような……」


 俺が無用にへこんでたせいで大事な情報をすっかり見落としてしまっていた。


「すまん……」


「あの時ソラにゃへこんでたからにゃぁ」


「あぁ、そうですね」


「とりあえず一度龍脈の秘跡に行ってみよう。ここにもあるの?」


「はい。アーグレン城にありますよ」


「結構至る所にあるんだ。他の場所にもあったりする?」


「アーグレンには全部で六ケ所ありますね」


「その場所に行ってみるのもいいか……行きたいところが多すぎる」


 時間が経つのは早いもので気が付くと日は傾いていた。


 扉が静かに開くと別のメイドが来た。


「失礼します。勇者様方、お夕食の準備が整いました」


「飯!!」


 ザンカがパッと立ち上がる。


 そう言えばずっと寝ていたな。


 伸びをしてリィナ。


「わかりました。ソラさん今日はそろそろ切り上げましょう」


「ああ、そうだな」


「ニャーも目がしばしばにゃ」


「ほんとにな。久しぶりにこんなに読んだなぁ。それじゃ夕飯行こうか」


 するとメーゲンがさっと俺に手紙を渡してくれた。


「今日はソラ様とお会いできてとても嬉しかったです。これは桃源郷の果実について詳しい友人の紹介状です」


「お、ありがとう。世話になったよ」


「いえいえソラ様のお役に立てて光栄にございます。私の友人はフラン・レトリーバーという名の者です」


 なんだか犬みたいな名前だな。


「とても変わり者ではありますがソラ様達のお役に立てるでしょう」


「わかった。それじゃまたこっちに来た時はよろしくな」


 するとメーゲンはとても嬉しそうににっこりした。


「はい。その時を私は楽しみにしております」


 それから俺達はアーグレン城の豪華な食堂へと向かい豪華な食事に舌鼓をうつのだった。


 天使の爪痕が残るような今の状況でこんなことをしていていいのだろうかとなんだか心が痛む。






────「ライト」


 暗がりの禁門の書庫。


 光の玉が浮き出て静かな本達を照らす。


「桃源郷の果実……ソラ様達がそれを欲し動くとなればどうなりましょうか。とても良いですねぇ。動かなかった研究が進みそうですね。フラン」


 不敵な笑みを浮かべるはメーゲン。


「ソラ様の冒険譚。どう見せていただけるのか……とても楽しみですね」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ