プロローグ
新作始めちゃいました! 今回はコメディ風味です!!
「ふああ……やっべ、もう2時か」
金曜の深夜。ここからが、俺――**倉田 真也(31歳、彼女募集中)**の真のゴールデンタイム。
冷凍餃子をレンジに突っ込んでスタートボタンを押す。電子レンジの低い唸り音が、深夜の部屋にやけに響いてる。
今夜の相棒は、発売されたばかりのスキル制スペースシムRPG――
**《SPACE FRONTIER》**。
「リアル系ってだけあって、キャラクリ凝ってんな……」
画面には、宇宙に浮かぶ全裸アバター(リアルすぎてちょっと引く)と、無数のスライダー。
顔、体格、身長、声、皮膚の質感――果ては“そういうところ”まで調整可能というこだわりよう。
「……イケメンすぎるとちょいと背中がムズムズするし、ちょいマシ程度でいくか」
身長は現実+5cm、あそこは……まあ少し盛った。社会人ゲーマーの小さな夢。
「次、出身……惑星コロニー、機械化都市、放浪ステーション、バイオラボ……お?」
――**出身:バイオラボ(被検体)**
機密施設にて育成・管理された存在。異星生物との遺伝子統合実験の生き残り。現在は脱走中。
「なにこの中二病テンプレ……完全にヤバいやつじゃん。……でも、ちょっとアガる」
迷った末に、ポチっと。
「よし、ネタ全振りで行こう」
背景設定はひとつだけ選択可能。
――**背景:遺伝子改変実験の被検体**
異常適応性と回復力を持つ。記録の一部は抹消済み。人間扱いされない可能性も。
「設定が雑というか、扱いが雑っていうか……」
次はスキル選択。最大3つ。
【✔】パイロット ――宇宙船の操縦技術。戦闘回避や着陸時にも恩恵あり。
【✔】武術 ――白兵戦における近接格闘スキル。艦内での自衛や強行突破、敵艦への乗り込み時にも有効。
【✔】セキュリティ――電子ロック解除、監視回避、ハッキングなど現場対応力が向上
「よし、これで生き延びられる気がする。てか、実験体にセキュリティってどんな皮肉だよ」
スキルを選び終えると、画面がスッと切り替わり、最後の選択肢が現れた。
『艦載AIのパーソナリティを選択してください』
「あー、そういやこれあったな。AIボイス……最近のは喋り方も性格も選べるんだっけ」
画面には、AI候補のリストが並んでいる。
[ 冷静・無機質タイプ ]……任務遂行重視。無感情だが誠実。
[ 陽気・フレンドリータイプ ]……テンション高め。癖が強い。
[ 天然癒し系タイプ ]……ふんわりマイペース。宇宙の危機でものんびり対応。
[ 敬語・しっかり者タイプ ]……秘書系。真面目で几帳面。
[ ミステリアスタイプ ]……語るたびに意味深。情報が漏れる。
[ 毒舌タイプ ]……一見丁寧だが、言葉のナイフで確実に刺してくる。
[ 自動設定 ]……内容はお楽しみ。
「……毒舌とか絶対選ばねぇわ。深夜にそれはメンタル削れるだろ……」
一応そう言いながら、カーソルは“自動設定”に吸い寄せられていく。
「ま、ランダムでいいや。どれも試してみたいし」
ちょっとだけ口元を歪めて、ポチッと選んだ。
その後に、プレミアムオプションが表示された。
『現在、戦闘艦クラス初期搭載パッケージが30%OFF中です』
「……おっと、課金アイテムか。うーん……」
画面には豪華仕様の艦船モデルと、スキルに連動した拡張装備のセットが並ぶ。どう考えても初期装備より強い。
「こういうのに課金するのが、大人の余裕ってもんだろ?」
ためらいなくクレカを通して、戦闘艦パックを購入。
「社会人ゲーマーなめんなよ。……明日の晩メシもまた冷凍餃子でいいや」
そして、最後は名前の入力。
『キャラクター名を入力してください』
「……“StrayCaptain”でいいか。迷子の艦長、ってことで」
決定ボタンを押した――その瞬間、画面がブラックアウト。
「おいおい、フリーズすんなよ……」
と思ったのも束の間。
そのまま、俺の意識も――ブラックアウトした。
……次に目を開けたとき、俺は見知らぬ艦橋の艦長席に座っていた。
「……は?」
聞き覚えのない、しかしどこかクセのある女の声が響く。
『やっと目を覚ましましたか、艦長。あまりの寝起きの悪さに、AIの私が呆れるレベルです』
よろしければ、評価やブックマークをお願いします!
執筆の励みになります!!m(_ _)m