68話 親子の再会
⸺⸺ガーネット騎士団ベスティーノ支部、個別相談室⸺⸺
「失礼致します。フィル団長とレベッカ皇女をお連れ致しました」
シフォンはそう言って部屋で待っていた人たちへお辞儀をする。僕とレベッカも軽く会釈をした。
待っていたのは獣人の男と、人間の……男の子と女の子? の、3人だった。
いや、待って……女の子の方……レベッカにそっくりだ!
⸺⸺まさか……。
「「レベッカ!」」
男の子と女の子は同時に立ち上がり、ボロボロと泣き始めた。
「えっ、えっ……?」
戸惑うレベッカ。もしかしたら本人も薄々気付いているのではないだろうか。
「もしかして……レベッカのご両親ですか……?」
僕は恐る恐るそう尋ねると、2人は泣きながら何度もうんうんと頷いた。
「お父さんと……お母さん……」
呆然とするレベッカ。
彼らは人間ではなく小人族の大人。行方不明だったステラン帝国の元皇帝エリックとフィアナ皇妃だったのだ。
「と、とにかく座らせてもらおうよ、れべちゃ」
「はい……」
シフォンと一緒に彼らと向かい合うように座る。レベッカの両親はしばらく泣き腫らし、やがてフィアナの方が話を切り出した。
「レベッカ、わたくしはあなたの母親のフィアナです。あなたは覚えてはいませんよね?」
「あの……はい、すみません……」
レベッカは申し訳なさそうに頭を下げる。
「いえいえ、謝ることはありませんよ。あなたの記憶を封じたのは、わたくしなのです」
「「えっ!?」」
記憶がないって……そういう事!? てっきりショックな事があって、的な理由かと思っていたけど……。
ここで、エリックが口を開いた。
「私ら親子3人は精霊ノームに助けられステランから脱出をし、エリージュ王国へと逃れた。しかし、追手が追いかけてきており、逃げ切れないと悟った私たちは、お前を人混みに逃して囮となることにしたのだ……」
「そ、そんな……」
フィアナが話を続ける。
「わたくしには不思議な力があります。その力を振り絞り、あなたの記憶に封印をかけたのです。わたくしたちの事は忘れて幸せに生きてほしい、そう、願って……。しかし、わたくしたちはその後獣人の方々に保護をされ、今の今までずっと反クルーア組織に匿ってもらっていたのです。その後あなたの事も捜索してもらいましたが、見つけることはできませんでした、ごめんなさい……」
「私を……逃がすために……。あの、その封印を解くことはできませんか!? 私、受け入れる覚悟は出来ています。このまま知らないままは寂しいから……」
フィアナはゆっくりと頷いた。
「分かりました。きっと今のあなたなら受け入れられるでしょう。レベッカ、こちらへ来なさい」
「はい……」
レベッカがフィアナの隣へ腰掛ける。こうして見ると母と子、本当にそっくりだ。
フィアナがレベッカの頭部へ両手をかざすと、すぐにレベッカが淡い光で包まれた。その光が収まると、レベッカは号泣していた。
「うぅ……私……私の故郷ステラン……毒薬がまかれて……ノーム様に助けられて……お父様とお母様が、犠牲になって……うぅ……うわぁぁぁん……!」
彼女が落ち着くまで、みんなは心配そうに彼女を見守っていた。
⸺⸺
「フィル様、レベッカと共に過ごしてくださり、ありがとうございます。レベッカが今こうして無事でいられているのは、あなた方ガーネット家のおかげだと伺っております」
フィアナはそう言って僕に深くお辞儀をする。
「いえ、僕もれべちゃ……あぁ、レベッカ皇女殿下には、たくさん助けてもらったので……」
「れべちゃ、と言う愛称で構いませんよ。それだけ仲良くしていただいていると言うことでしょう」
と、エリック。僕は「ありがとう」と返す。
「そんな娘の大恩人に更にこんなお願いをするのは図々しいと分かっているのですが……どうか、ステラン帝国を皇帝クルーアの手から解放するために、ガーネット騎士団のお力をお貸しいただけないでしょうか?」
と、フィアナ。
「もちろん。一緒にれべちゃの国を取り返そう!」
僕は二つ返事でそう答えた。




