61話 道がなければ作ればいい
⸺⸺アース地下空洞⸺⸺
「ノーム! ただいま!」
『無事に戻ってきて何よりだ』
ノームは大きな腕をぶわんと振りかざし、手を振って出迎えてくれた。身体が大きい分1つ1つの動作が大振りだ。
でも、今はそんな大振りの彼の力を借りたい。なぜなら……。
「ノーム、僕たちこの空洞からアマツ山の外へと出たいんだ。手伝ってくれない?」
『ふむ、ワシでできることであれば力を貸そう』
「ありがとう! ノームがいたあのフロア辺りが丁度良いと思うんだよね。まずはそこまで戻ろう!」
『承知した』
ドシン、ドシン、とゆったり歩くノームを連れて、再びすり鉢状のフロアへと戻った。
⸺⸺アマツ大空洞⸺⸺
僕は東方面の岩壁をポンポンと叩く。
「この辺りかな……。れべちゃ、ノームに風属性をエンチャントだ」
「はい! エンチャント・風!」
ノームの両腕に風がまとわりつく。
「ノーム、突貫工事だ! 斜め上にガンガン掘っちゃって!」
『承知!』
ノームの腕にまとわりついた風がドリルのように激しく回る。ノームがその両腕を僕の指定した岩壁へと押し付けると、岩壁がものすごい勢いで砕かれて大きなトンネルができていった。
⸺⸺ドガガガガガッ!⸺⸺
「いけぇー! そのまま全速前進だ!」
『承知!』
「ノーム楽しそう……」
と、ライカ。
「ま、鬱憤は溜まりまくってるだろうから、ストレス解消には丁度良いな」
グレンはそう言ってあっはっはと笑った。
⸺⸺数分後。
『フィル、そろそろ外の気配がする。このくらいでいいか』
と言いながらノームがトンネルから降りてきた。
「分かった! 最後は慎重にいかないと、向こう側に人がいたら危ないもんね。ありがとうノーム、本当に助かったよ」
『それはこちらのセリフだ。ワシを長きに渡る苦しみから解き放ってくれて感謝する。ワシもひとまずフィルと共に地上へと出るとしよう』
⸺⸺
みんなでその突貫工事でできたトンネルとズンズンと登っていく。そして行き止まりまで来たところでスズランとシギュンが壁に攻撃をした。
壁はボロボロと崩れ去り、途端に陽光が差し込んでくる。
「出れたー!」
喜ぶ一同。みんながキョロキョロと辺りを見回すと、目の前に“火の神の神殿”がそびえ立っていた。
「うおっ! カグツチの神殿か! 神殿の真下じゃなくて良かったな、ギリギリセーフだぜ」
と、グレン。
「本当だね……危なかった……」
山道よりも上の方に出れば大丈夫だろうって思ったけど、火の神の神殿の存在を忘れていた。危ない危ない。
すると、神殿の裏からサクラとカグツチがひょこっと顔を覗かせた。
「ガーネットの皆様!? も~、驚かせないでくださいよー!」
『ノームか、ノームではないか、久しいな』
2人は僕たちだと分かった瞬間にこっちに走り寄ってきた。どうやらめちゃくちゃ怖がらせてしまっていたようだ。
⸺⸺
ノームはこのままアマツ山で待機をする事となったため、サクラとカグツチへの説明は彼に任せることにした。
僕たちはその足でひとまずペリドット領へと入り、ガーネットの町を目指した。




