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小さな元大賢者の幸せ騎士団大作戦〜ひとりは寂しいからみんなで幸せ目指します〜  作者: るあか
第四章 魔竜の生贄と悪事の鱗片

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55話 増える団員と伝令ジャンケン

⸺⸺ヨルムン軍宿舎ロビー⸺⸺


 翌朝。ガーネット騎士団はロビーでくつろいでいて、僕はそろそろみんなへ声をかけて地下空洞へ出発しようかと思っていた時だった。


 ロビーに鳥人族と妖精族の人々が続々と顔を出す。何事かと思い人数を数えてみると、鳥人族は20人、妖精族は10人いた。

 その時を待っていたかの様にシギュンにフレイヤ、そしてヨルムン軍の竜人族も12人ロビーへと集まった。


「な、何、みんなどうしたの? あ、お見送りしてくれるとか……?」

 僕がキョトンとしてそう言うと、シギュンが代表して一歩前へと出た。

「フィル様、我らガーネット騎士団へと参加したく、()せ参じました!」

「えっ!?」

 と、ガーネット一同。

「ここにいる人たち全員!?」

 僕が驚いてそう聞き返すと、フレイヤも一歩前へ出て彼女が答えてくれた。

「そうです。私たちはみんな、“生贄本人”とその者に近しい者たちです。フィル様が来てくださらなかったら、私も、妖精と鳥人の生贄の者も、我を失ったニーズヘッグに無駄に殺されてしまうところでした。私たちの命は、あなた様のものです」


「そんな、みんなの命はみんな自身のものだよ。でも、こんなにたくさん参加してくれるのはすごく嬉しいよ! 本当に良いんだね?」

 僕が最終確認のつもりでそう問いかけると、参加表明をしてくれたみんなは大きく頷いた。

 鳥人の一人が代表して前へと出て口を開く。

「我ら鳥人族は、竜人のようにブレスを吐いたり力強く攻撃をしたりする事はできませんが、その代わりにとても速く飛び、素早い動きで魔物を圧倒することができます! 戦闘員としても、急な伝令としてもお役に立ってみせます!」

「おぉぉ、頼もしい!」

 と、僕。次にシギュンが口を開く。

「逆に俺らは素早い動きは苦手だけど、ドシッと構えて力強い攻撃で敵を迎え撃つぜ! ブレスによる遠距離攻撃も任せてくれ!」

「いいね、かっこいいね!」


 更にフレイヤ。

「私は、実は竜人なのにブレスを吐くことができません……。ですが、“魔竜の巫女”としてニーズヘッグを召喚したり、ニーズヘッグの力の一部を使うことができます」

「魔竜の巫女!?」

 何それチートじゃん……。サクラみたいな感じか。それにしても召喚って……。

 フレイヤは手のひらを上へ向けて魔力を込める。すると、お化けの火の玉にドラゴンの角と翼と尻尾の生えた可愛らしいニーズヘッグがポンっと生まれた。

『このように狭い場所でも思念体として主らと連絡を取り合うことができる。普段はアース山脈を見守らねばなるまいが、主らの力になれるときはこのニーズヘッグ、全力で召喚に応じよう』

「なんて心強いんだ……」

 いつかフレイヤがかっこよくニーズヘッグを召喚するところも見れるんだろうか……いや、見たい。


 最後に妖精族。

「わたくし共は戦闘には不向きですが、主に回復魔法で皆様のサポートをさせていただきます。また、雑用でもなんでもこなしますので、どうか我らもお仲間に加えてください」

「もちろんだよ! ニコラスの回復魔法にはとっても助かっていたから、妖精族の仲間は僕もとっても嬉しいよ。一緒に頑張ろう!」


⸺⸺


 こうして34人の仲間が一気に増えたガーネット騎士団。遂に全体で100人の壁を突破した! おそらく戦闘員の50人も確保できていそう。ガーネットに帰ったら中級に上がる準備をしなくちゃ。


 ここで、鬼の幹部4人の内の1人がシギュンとフレイヤを除いた32人の仲間を連れて、伝令も兼ねてガーネットの町へと帰る事となった。しかしみんなやりたがらない。僕と一緒に地下空洞へと行きたいからだ。


「ここは公平にジャンケンと行きますか、恨みっこなしだぜ?」

 と、グレン。

「うむ。後出しは負けとするからのう、ズルはなしじゃぞ」

 スズランはそう言って服の袖を捲った。

「負けない……」

「こう言うのはだいたい、言い出しっぺのグレ兄が一人負けするんだぜ。ドンマイ、グレ兄」

 と、ライカにフウガ。


 そして盛大にジャンケンが行われ、20回のあいこを経た結果⸺⸺


⸺⸺フウガの一人負けで終わった。


「あああぁぁぁーっ! フィル様ぁ~! 俺を置いていかないで~!」

 床に這いつくばって全身で悔しさを表現するフウガ。まぁ、自分でフラグ立てちゃったからねぇ……。

 僕はそんなフウガを励ますようにこう(ささや)いた。

「伝令だって立派な仕事だし、新しい仲間を無事ガーネットの町へと案内するのだってとっても重要だ。それに何日も帰れなくなるとは思ってなかったから、領内の治安も心配で団員のみんながちゃんとやれているか、困っていることはないか見てきてよ。ふうちゃなら安心して任せられる」


 最後の一言が響いたのか、フウガはガバッと起き上がると、「このフウガにお任せください! 立派に務めを果たしてみせます!」と意気揚々と下山していった。


 さて、フウガが抜けた代わりにシギュンとフレイヤを仲間に加えた僕らも、その新たな姉弟(きょうだい)の案内のもと、アース地下空洞を目指して出発した。


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